#420
『Harry Potter and the Deathly Hallows』
(Kindle)
YL 6.0 - 7.5
198227 words
著者:J.K.Rowling
オススメ ★★★★★
映画:ハリーポッターと死の秘宝(2007年)
最終巻読み終えました!
頑張ったよ!
20年くらい前に1,2巻がベストセラーになってた時に人に勧められて読み、その勢いで原書を買い、読み始めて………
辞書を引きながら悪戦苦闘して、結局ハグリッドがハリーを訪ねて来て「お前は魔法使いだ」と告げるシーンにたどり着く前に挫折して放り投げたのでした
ハリーが自身が魔法使いだと知らされないまま十数年
でも日本語では読んだし映画も見た
さて
あらすじとかはググって下さい
ここを読んでいる人は映画を見たか、洋書を読むことに興味があるかどちらかだと思うので
ハリーポッターシリーズのテーマは「母親から我が子への愛」だと思いました
これはよく知られていることですが、作者のローリングさんが第一巻を執筆していた時に乳飲み子を抱えたシングルマザーだったことも大きく関わっていると思います
ローリングさんがこのハリーポッターの物語を思いついたのはいつ頃なんだろう
子供の頃かな?
学校に通ったり恋をしたり働いたり結婚したり出産したり離婚したり、その間ずっとこの物語を心の中で温めていて、ハリー達が作者の頭の中では勝手に会話していたのかもと思うとワクワクします
頭の中から取り出して文章にして、ハリー達に会わせてくれてありがとうとローリングさんにお礼を言いたい
ハリーポッターシリーズについて色々感想やら述べるのはこれが最後の機会だと思うので長文で書きます
ハリーポッターシリーズは登場人物それぞれの成長と母親の愛を描いてますが、一歳三ヶ月で両親を亡くしたハリーは親の愛情を知らずに育ちます
ストーリーはハリーの魔法学校での生活と、両親の敵であるVoldemortを打ち破り魔法界に平穏な日々を取り戻すまでの闘いが中心です
第7巻ではハリーロンハーマイオニーの3人は、最終学年の学生として学校には通わずにある目的のために旅に出てさまよってます
命を狙われてるから密かに各地を転々とする3人
お金も食べる物もなく、ガリガリに痩せてそこでハリーは初めて「今まで生きてきてこんなに飢えたことはなかった。おじさんの家でひどい扱いをされていたけど、食事だけはちゃんと与えられていた」と気づきました
ハリーの母親のお姉さん、ペチュニア伯母さんにもほんの少しだけ母親っぽい愛情があったことを、読者も初めて気づくわけです
母親からの愛情を知らなくても、親友ロンのお母さんの子供たちに対する言動を間近でずっと見ていれば、ハリーにもどんなものかわかるようになっていました
ロンママの息子達への愛は熱い
そしてたぶん湿度も高い
クリスマスプレゼントの手編みのセーターに、息子達それぞれのイニシャルがドーンと編み込まれてるとか、そんなセーター70年代の少女漫画でしか見たことない(ハリーもHと編み込まれたロンとお揃いのセーターをもらってました)
末っ子だけが娘で、娘の命はママが盾になって守っています
娘が闘いのさなかに死の呪文を投げかけられてすんでのところで逃げたシーンでは「うちの娘に何すんじゃー!」とブチ切れて、相手を石化させてから粉々に粉砕して息の根を止めてます
母は強い
ハリーのお母さんも自分の命と引き替えに、ハリーが17才になる日まで守れる魔法をかけてました
だけど父親からの愛情を全く知ることができないままハリーは大人になりました
続編の『呪いの子』ではハリーも3人の子の父親になってます
父親のモデルケースを知らないまま自分が父親になるってしんどいだろうな
ハリーのお父さんは学生時代は4人組で行動してました
お父さんが亡くなっても父親代わりに見守ってくれる人が本当は3人いたんだけど
シリウス→長くアズカバンにいてその後死亡
狼人間のルーピン先生→7巻で死亡
あと一人誰だっけ→裏切り者
あのペティグリュー(ワームテール)の役者さんは、『ラストサムライ』でトムクルーズと一緒に明治天皇に拝謁してました
陛下!ソイツ裏切り者ですよ!そのネズミのせいでハリーの両親は死んだんですよ!
最終巻の最後の方で、実はスネイプ先生が一番ハリーのことを大切に思っていた人だったと判明するのは泣けます
しかも亡くなった後で
スネイプ先生は初恋の女の子が好きで好きで独身を貫いて、ハリーのことを命に代えても守ると決めて実行していたなんて、クールで意地の悪い先生が本当はハリーを我が子のような目で見ていたとは全く想像すらできませんでした
スネイプ先生の「記憶」によって
、ハリーは自分が死ぬことでしか闇の帝王Voldemortを倒せないと知ってしまいます
ダンブルドア校長がハリーを「死なせるためにいままで生かしておいた」ことも同時に知ります
そしていよいよ決戦の時
夜明けまでに学校の敷地内の森に一人で来いと闇の帝王Voldemortに呼び出され、ハリーはたった一人で真夜中の森に歩いて行きます
自分一人の命を差し出せばいままで関わった大切な人達は助かる
自分が死ぬことでしか救う手立てはない
死を覚悟したハリーの透徹した心理の描写はまさに圧巻でした
この場面を描くためだけにこの長い物語はあったとまで思えました
英語で読んでいることすら忘れて物語の世界に浸ってました
なのに!
このハリーが一人で死地に赴く場面のしばらく前に、校内での魔法使いが入り乱れての呪文掛け合いの大混戦があるんですよ
そこでハグリッドが巨大な蜘蛛の群れの中に階段の上からダイブして、そのまま森の中に連れ去られてしまうシーンがありました
森の中に一人で向かうハリーは様々なことを思い出しながら歩き続けます
蜘蛛に連れて行かれたハグリッドはおそらくもう生きてはいないだろう……
森の入り口にあるハグリッドが一人で住んでいた小屋……
ここでも色んなことがあった……
ロンがナメクジを吐き続けたこともあった……
一番大事な場面でハリーが余計なことを回想するもんだからもうダメ
胸が締め付けられるような緊張感で読んでたのに、かわいかったロンを思い出して笑ってしまいました
あ、ハグリッドはちゃんと生きてます
ロンも完璧に呪文を使いこなせるように成長しているのでもう「あなたのはレビオサー」なんて言われたりしません
子供向けのファンタジー小説と侮らず、時間があったらチャレンジしてみる価値はあります
読破後の達成感は凄まじい!
2020年10月31日読了 584万語
全7巻の総語数 1084772 words
* 本を買ってきた頃 *
英語力ゼロ。「doesって何だっけ」の状態
* 読み始めた頃 *
TOEIC700点overが三回連続でとれた一年半後
GRのlevel-6よりやや難?くらいの体感。先に日本語で読むか映画を見ていれば「魔法界の言葉」「呪文」「人名」も怖くない
ただし読んでいるとハリーロンハーマイオニーの会話は
私の脳内で日本人の声優さん達が超スピードテキトー翻訳で日本語で話してました
たぶん皆そうなるよね
十年くらいたって内容を忘れた頃にまた1巻から読んでみたいと思います