SPEAK(Penguin)
YL 6.0-7.0
49569 words
オススメ ★★★★★
著者:Gayle Forman
映画:イフ・アイ・ステイ・愛が還る場所(2014年)


泣き過ぎて鼻セレブが半分消えた

なるべく短く内容を紹介しますと、17歳の女子高校生が父母弟と一緒の車で事故に遭い、自分以外の家族は亡くなってしまい、自分は丸一日生死の境をさまようが最終的には生きることを選ぶという話です

幽体離脱して自分が救急車で搬送され治療を受けている姿を見ながら、体の方が意識を取り戻すまでの間に、家族、親友、恋人との関係を回想しています
(物語のほとんどが一人称の回想シーンで成り立っています)


今まで同じような小説を読んだことはありませんが、ヤングアダルト向けとはいえとても楽しめました
アメリカの女子中高生が「今一番好きな本」に挙げるのもわかります



オレゴンの学校は雪が1インチ(2.5センチ)積もると休み。Miaの高校も弟Teddyの小学校も休み。父は小学校の教師なので自動的に休みになり、母もパート先に休むと電話を入れた
朝食を終えたら皆で車で一時間ほどの(父方の)祖父母の家に行くことにして、四人は車に乗り込んだ

しばらく走ると、雪でスリップしたらしい4トントラックが正面から突っ込んで来た


Miaは父と母が息絶えているのを確認し、自分が血まみれで骨まで見えていることがわかる。Teddyは見当たらない
肉体を離れた存在になってしまい、「体」と一緒に救急車に乗り込み病院に行く

病院でMiaがやってみたのは、
「精神だけならば、願っただけで一瞬でハワイに行けるのかな?」→行かれない
「映画の『ゴースト』みたいに壁をすり抜けて隣の部屋に行けるかな?」→壁にぶつかるけど痛くない

自動ドアを通るナースにくっついて待合室に行くと、祖父母やいとこが来ていた
おばあちゃんはガーデニング用の長靴に、泥が付いたスモックを着ていた


ICUや廊下や待合室をうろうろしながら、Miaは色々なことを回想していきます


父と母はそこそこ売れているパンクバンドをやっていたけれど、Miaが10歳の頃弟が生まれる前に父は一切の音楽活動をやめて教師に転職した

母が弟を出産する時は、Miaがそばに付き添いへその緒を切るところまでやった(父は観葉植物の陰で震えてた)

小学校から始めたチェロで将来は演奏家になることを決め、ジュリアード音楽院のオーディション(入試)では人生で最高の演奏ができたので、絶対に合格してるはず

親友のKimとは最初は反目しあってたけど、「拳で語り合って」から仲良くなったこと

一つ上の恋人Adamとの初めての会話、初めてのデート、初体験…


この先の人生では孤児と呼ばれるんだろう、生の世界にとどまっても体は元通りに動かないかもしれない、それでも生きていくと覚悟を決めた時、全身の激痛とともにAdamが手を握っていることに気付きます


英語と日本語では「愛」の意味が少し違うかもしれないけれど、家族や恋人や友人から受け取った「愛」は、自分からも注いだり持ち続けたりできる、お互いに与え合うことで世の中は回ってる、と思いました

ヤングアダルト向け小説なのに、Miaの視点でなく親の気持ちで読んでしまったのは年のせい…出産シーンで泣いたのはババアだから

たまには泣いてスッキリしたい人は是非読んでみて下さい