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HarperCollins
Little House Books
YL 4.5-5.5
66993 words
オススメ ★★★★☆
著者:Laura Ingalls Wilder
『大草原の小さな家』のシリーズです
インガルス家の家族構成は
お父さんとお母さん
長女メアリー(16)病気のため三年ほど前に失明。教師になりたかったが断念。盲人の為の大学があると聞き、向学心に溢れるメアリーのために家族はお金を貯めている
次女ローラ(14)主人公で物語の語り手。姉の代わりに教師になれと親に言われているが考え中
三女キャリー(10)
四女グレイス(3)
場所は横長長方形のアメリカ大陸の真ん中あたり。上の方のカナダに近いダコタ州 (テキトーです)
ダコタには木が一本も生えておらず、猫も一匹もいないそうです
鉄道の敷設に伴い駅ができる!町ができる!ということで一家で越してきた二度目の冬の話です
1881年から82年にかけて
町の人口は八十人ほど。
記録的な大雪に見舞われ、食糧も燃料もなく餓死寸前まで追い詰められます
「鉄道も走り、電報で連絡がとれるほど文明は進歩したのに、こんなにも自然災害に弱いのか!?」と人々は嘆いていますが、さらに進歩した21世紀でもまだ自然は脅威です
異常気象の予兆は夏の終わりから
夕方、お父さんとローラが沼地のそばを散歩しているとマスクラット(大型のネズミ)の巣を見つけます
巣は泥で作られた高い塚で、外からは出入口がなく、巣の底のトンネルは沼の水中に繋がっています
泥を重ねた巣は分厚く、石膏のようにカチカチに固められていて、お父さんは「こんなに厚くて大きな巣は見たことがない。きっと寒い冬になるはずだ」と言います
十月になったとたんにブリザード
ついこの前まで暑かったのに
作物の収穫を終えた男たちが食料品店に集まり、ウイスキーを飲みながらワイワイ喋っているところにインディアンの長老がたった一人で馬に乗り訪れます
映画の『ラストサムライ』の冒頭にもあったけれど、アメリカ人はインディアン狩りみたいなのをしてましたよね…
この頃はもうインディアン居留地が定められていて、白人社会とは離れた所で暮らしています
店にたむろってる男たちの中にトランプみたいなのがいなくて良かった
もしいたら「居留地と白人の町の間に壁を作って、壁の建設費用はインディアンに払わせる」とか言い出すよアイツ…
インディアンの長老は店にトランプがいないのを確認してから、白人達にたどたどしい英語で警告をし始めます
"Heap big snow come,big wind"
"How long?"と聞くと、
"Many moons"
そして指を三本、四本と立てて七ヶ月間を示します
その後の補足説明は
指七本 "Big snow"
指七本 "Big snow"
指七本 "Heap big snow,many moons"
そして手のひらで自分の胸をトントンと叩きながら
"Old! Old! I have seen!"
と誇らしげに言い去って行きます
男たちはインディアンの長老の言葉を
「七年ごとに大雪が降る。その三回目、つまり21年目はとてつもない大雪が七ヶ月間降り続く。それが今年の冬だ」と解釈します
警告に従い町の住人は皆、食糧と家畜の飼料、石炭(暖房と調理用)と灯油(ランプ用)の備蓄に励みますが、十月のブリザードの後は付近一帯から野生動物が姿を消し、鳥も一羽残らず飛び去って行きます
本当に生き物の野生の勘というか、察知する本能というのは凄い
そして長い長い冬がやって来ます
汽車も走れず町は外の世界と隔絶されます
線路の上に積もった雪を丸一日掘っても、まだ下に12フィート(365センチ)あるというのを読んで、今の時期にテレビのニュースで見る、立山黒部アルペンルートの雪の壁の間を走る観光バスの映像を思い出しました
種籾も種芋も食べつくし、小麦はコーヒーミルで家族が交代しながら粉にして茶色いパンを焼いています
雪を融かしてお湯を沸かすにも石炭もなくなり(井戸には行かれない)、お父さんとローラの二人が納屋で藁を束ねて結び目を作り、それを燃料にしました
吹雪と吹雪のわずかな晴れ間に住人達はお互いに訪問しあい生存確認をしますが、2月の末にはどの家も食糧が尽きてしまいます
町の窮状を救うために名乗りをあげたのは、種と肥料の店を経営するワイルダー兄弟の弟のアルマンゾ
(アルマンゾは数年後にローラと結婚します)
アルマンゾはこの時19才
同級生のキャップと二人で300キロ以上離れた所まで出かけて、住人達のために食糧を持ち帰ります
四月になり、前夜はブリザードが吹き荒れうるさかったのに朝になったら不思議な音がする…どこかで聞いたことがあるような…
雪が融けて流れてる!
暖かい風が吹いている!
一夜にして冬から春になり、5月にようやく蒸気機関車の汽笛が響き渡ります
この本の最後の章は
"Christmas in May"というタイトルです
この作品を含むシリーズはすべて、作者が経験した実話です
今回の分を三日がかりで長々と書いていたら熊本で大きな地震
北海道の吹雪の中ではためく鯉のぼりもニュースで見ました
この本に書かれた出来事から百年以上経っても、人にはどうすることもできない自然の脅威があるということを実感しました