ちょっと思うところがあって、なん年ぶりだかのSSを書いてみました。
明らかな元ネタはあるけど、とりあえずコレはワシの創作であり、100%フィクションです。
実在する人物、団体、場所とかにはいっさい関係ありません。
心当たりがあるひともいるかもしれないけど、とにかくただの作り話なので「表現の自由」を振りかざしますから、くれぐれもよろしくお願いします。
この話はフィクションです‼︎
大事なことなので2回言っとくからねっ‼︎
「ひまわりのきもち」
私は「花」と呼ばれる。
小さい子からお年寄りまで、普通のひとは私を花と呼ぶ。
少し知識のあるひとは「ひまわり」と呼んでくれるし、もっと知識のあるひとは、私にもわからない呪文のような名前を私に向ける。
でも、私は「お花」とか「ひまわり」と呼ばれるだけで充分。
柔らかな土の中で芽を出して、水と光とひとの手で私は育った。
花を開くまであと少し。
花が開いたら、風や虫たちに助けられて、実を結び、小鳥や小さな生き物のお腹を満たしながら、いくつかの種子を残して、また、次の花を咲かせるのが私の望み。
でも、満開を待たずに私の身体はふたつに切り分けられた。
もうすぐ綺麗に開く私の花弁。
それを愛でるために、ひとは私を切り花にする。
別に痛い訳じゃないし、私の美しさを愛してくれるのも、悪い気はしない。
ただ、次の花を咲かせる事が出来なくなった事だけが、ほんの少しだけ残念。
そして私は、同じように切り花になった他の仲間たちと一緒に、花屋のショーウィンドウに並ぶ。
花屋に来るひとたちは、みんな笑顔。
たまに恥ずかしそうなひとや、照れくさそうなひと。
嬉しそうに、楽しそうに愛でてもらうのは、最高の気分。
そして、ほんの少しだけど、哀しそうなひともいる。
哀しい心、寂しい心、悼む心を慰める事が、もう実を結ぶ事ができなくなった私に出来る、最後の仕事。
そのひとは、きっと「悼む心」で私を選んだ。
たくさんの仲間たちも次々と選ばれて、私たちは誰かの死を悼むための花束になった。
車に揺られて私たちが着いた場所は、静かな場所だった。
日差しは強く、ちょっと蝉の声がする。
風は熱くて私たちを生かしてくれている保水材の温度が上がる。
でも、まだまだ大丈夫。
私たちを花束にして、誰かを悼むそのひとの祈りが終わるまで、私たちも頑張るから。
花束になった私たちは、そっと地面に置かれた。
もう直接触れることはできないけれど、懐かしい「土」との距離。
すぐそばに私たちを育んだ土がある。
そのひとの祈り。
誰を悼んでいるんだろう?
私たちにはわからないけど、きっとその思いは届いているよ。
哀しみと、優しさと、少しだけど怒りもあるのかな?
祈りに込められた思い。届いているよ。
祈りを終えて立ち上がったそのひとは、静かに花束になった私たちを見降ろした。
そしてゆっくりと私たちに背を向けた。
私たちを置いて、そのひとは行ってしまった。
そのひとの祈りの時間が終われば、また車に揺られて、今度はたっぷりと水が張られた花瓶の中で、私たちは残された時間を、共有できると思っていた。
誰かを悼むそのひとの尊い思いが、私たちの存在で、また新たになるのだと思っていた。
でも、私たちは置き去りにされてしまった。
強い日差し。熱い風。
私たちの命を繋いでいるはずの保水材が、煮え湯のように熱くなってくる。
暑さに弱い仲間たちが、どんどん萎れていく。
カサリと小さな物音がした。
ふわふわとした毛皮に包まれた小さな生き物が、私たちのすぐそばにいる。
仲間の誰かが泣き叫ぶような悲鳴を上げた。
【お願い‼︎ わたしを食べないで‼︎ わたしはあなたを殺してしまう‼︎】
ああ。彼女は百合の仲間。小さな生き物は、たしか「猫」という。
熱に茹だり、萎れながら、それでも彼女は小さきものに訴える。私たちの声が届くはずもないのに。
陽が落ちても空気の中の熱はそれほど変わらない。
花束になった仲間たちは、みんな枯れてしまった。
もしも今日が寒い冬だったら。
無理。私たち切り花は、保水材では生きていけない。
花瓶の中でさえ、数日しか生きられないのだから。
明け方、少しだけ雨が降った。
蒸し暑い空気の中、綺麗だったラッピングも、華やかなリボンも重く湿って、枯れてしまった仲間たちが腐り始める。
このあたりに住んでいるのだろうか、通りがかったひとが醜い塵に変わりつつある私たちに一瞥をくれ、忌々しそうに舌打ちをして通り過ぎた。
朝の日差しがしだいに強くなってくる。
私ももうダメかな。
お湯のような僅かな水分を吸い上げるちからはもうほとんど無い。
このまま私も仲間と一緒に腐っていくのかな?
せめて土に還りたいけど、私たちを包んだ透明な薄いモノが、土に触れることを阻む。
またひとの気配がした。
私たちのすぐ隣に、小さな花束がそっと置かれる。
私たちとは違って活き活きとした花の群れ。
もちろん少しは暑そうだけど、その花たちには生気が溢れて……。
私たちも昨日はそうだったのに。
小さな花束を手向けたひとからは、昨日のあのひとと同じ、哀しみと、優しさと、やっぱり少し怒りの混じった祈りの気持ち。
ここを訪れるひとは、みんなそうなのかな?
祈りを終えたそのひとは、手向けた花束を大切そうに取り上げた。
片手に収まる小さな花束。
そしてそのひとは、もう片方の手を醜く朽ち始めた私たちに伸ばした。
枯れてしまった仲間たちはもういないけど、いま、私は小さな花束だった花たちと一緒に、たっぷりと水を湛えた花瓶の中にいる。
そのひとは私たちを見ては、哀しく、優しく、そして少しの怒りを含んで微笑む。
あと数日かもしれないけれど、切り花の短いいのち、あなたに愛でてもらえてよかった。
END
Twitterがお手軽すぎて、すっかりブログ放置中の今日この頃。
とりあえず、8月の営業予定など……。
6日(月曜)19:00~ 約90分
sukunabikona鍼灸院の院長福田氏による「夏バテ防止のサムシング」セミナー。
中二テイストなノリで夏バテ防止に関するあれこれを、東洋医学的な見地から面白おかしく解説してくれます。
店長特製の「謎ドリンク」こと夏バテに効きそうなモノを色々混ぜ合わせた、ちょっとインスタ映えとかもするかもしれないオリジナルドリンク用意しておきます。
首・肩・腰の矯正つき。定員14名。
参加費用は2,500円になります。
18:30までは通常営業しています。
11日(土曜・祝日) 本来なら祝日は定休日なんだけど、とりあえず通常営業します。
16日(木曜) 11日の振替休業とさせていただきます。
17日(金曜) ほぼほぼ通常営業だけど、イオンシネマ板橋の上映時間の関係により、少しだけ早く閉店する可能性があります。銀魂2を初日に観たいという店長のワガママ!!
特に夏季休暇とかは考えていませんが、なんかの弾みで急に「休む!!」とか言い出すのが最近の店長なので、動向はできればTwitterの方でご確認ください。
「さばとら店長」で検索して、こっそりフォローしていただければ有り難いです。
フォローバックはしたりしなかったりなので、常連さんは積極的に「常連アピール」してください。
そんなわけで、今月もよろしくお願いします!!
店長体調不良のため、本日臨時休業させていただきます。
ご迷惑をおかけしますが、ご了承ください。