みなさん、
おはようございます。
【朝の道標】を見に来ていただき、
ありがとうございます。
今日も夏休み特別企画、
「学校教育の闇」をお届けします。
今回も昨日に引き続き、
【私立学校の熾烈な生存競争】をテーマについて、
お話していきます。
昨日は「少子化による受験生奪い合いの影響」を考え、
今後さらに私学教員の積み重ねがなくなり、
結果的に私学の価値が低くなる危険性が高いと予測しました。
今日はその私学の価値について、
「流行りに便乗して失われる理念」という、
現状をお話します。
こんな話を聞いたことありませんか?
美味しいレストランがあったのに、
近くに似たようなレストランができて、
安売り競争をするようになった。
最初のころは、
近所の人は美味しくて安いレストランが2軒もできて、
喜んで食べに行っていた。
しばらくすると、
2軒とも味が落ちてサービスも悪くなったので、
誰も食べに行かなくなった。
結局最後には2軒とも潰れてしまったという話。
この話の裏側には、
お店の考え方の変化があります。
最初からあったレストランは、
美味しい料理を作ることを大切にしていたので、
いい材料を使い時間をかけて料理していました。
ところがライバル店ができて、
お客の数が減ってしまったので、
料理を安くしようと材料にこだわらなくなってしまった。
さらに安い料理は利益が少ないので、
より多くのお客をこなさなければならず、
接客態度までおろそかにするようになってしまったのです。
もしこのレストランが学校だったら、
どうなっているでしょう。
隣の私学が英語に力を入れたから、
うちも外国籍の英語の先生を増やそう。とか、
難関大学への進学コースが人気だから、
予備校の先生を採用して特別コースを作ろう。とか、
目先の流行りごとに振り回されて、
新しいことにどんどん手を出す学校って、
本当に信頼できますか?
そもそも保護者や子供達は、
私学に何を求めて入学するのでしょうか。
それはどこでも同じ平均的な公立にはない、
私学だけの独自性を求めているはずです。
その独自性とは伝統的な校風や、
創立者の強い想いなど、
当初から貫いている「理念」のはずです。
確かに時代とともに紆余曲折はあると思いますが、
その「理念」は学校の軸となるものなので、
簡単に変えられるものではないはずです。
カトリックの教えを理念としていた学校が、
突然、宗教の自由を言い出して、
お祈りをやめてしまったなら、
その校風に魅力を感じて入学したご家庭は、
どう感じるでしょうか。
また創立者が儒教を根本理念にしていたのに、
突然、国際化の波に乗ろうと、
西洋の経済主義的な思想を授業に組み込んだら、
上手く馴染めるでしょうか。
時代の変化に柔軟に対応できるのは、
本当に素晴らしいことだと思いますが、
その学校の軸となっている「理念」を大切にしてほしいのです。
私学財団の行ったアンケートで、
私学を選んだ理由の統計を見ると、
確かに「進学率」や「国際化」で選んだ人が多いようです。
しかし、
「教育目標」や「校風」など、
学校の「理念」で選んでいる人が多いことも、
忘れてはなりません。
(資料のリンク先を添付しておきます。PDFのP16を参照)
https://www.shigaku-tokyo.or.jp/pdf/school/r2_chosa.pdf
この傾向は、
少子化の影響が顕著になった2000年頃から始まっています。
今ではいろんな学校が見栄えのいい理念を新たに打ち出し、
カタカナで彩られたキャッチコピーが、
学校のホームぺージを飾るようになりました。
けれどもそんな時流に流されず、
決して有名な学校ではないのに、
創立者の熱い思いを貫き「理念」を守っている学校があります。
最後にそんな学校を紹介したいと思います。
それは岡山県にある、
「清秀中学校・高等部」です。
ぼくが学校を見学させていただいた時、
どこの誰かも分からないようなぼくに対して、
職員も生徒もとても礼儀正しく挨拶してくれました。
まあ一応ぼくは部外者なので、
お客として挨拶ぐらいはしてくれるでしょう。
でも、何気ない職員同士の会話が、
管理職、事務員、非常勤と立場を越えて、
仲よく声を交わしていたのです。
公立や他の私立ではそんなことなかったので、
ちょっと気になって、
ホームページで「理念」を確かめてみました。
すると、
どこにも着飾ったようなカタカナ表記はなく、
理事長の言葉の中に小さく漢字で、
「家族」、「利他の心」とありました。
(資料のリンク先を添付しておきます。)
https://www.gakugeikan.ed.jp/seishu/introduction/message.html
これを見た時、
ぼくは「信頼できる学校の在り方」を、
まざまざと見せつけられた気がしました。
それは、
看板やネット上のキャッチコピーで、
目を引くような表現をするよりも、
現場で理念を貫いたほうが中身が充実するということ。
そしてその中身は、
何気ない職員同士の会話に出るということ。
先述したレストランのお話でも、
安売り競争をせずに、
美味しさを追求するという信念があれば、
従業員もプライドを保つことができ、
準じて接客態度もよくなり潰れることはなかったでしょう。
なぜならそれが、
レストランの本分だからです。
もし、あなたが私学を選ぶ立場にあるのなら、
目を引くキャッチコピーよりも、
現場の職員同士の会話に耳をすますことをお勧めします。
そしてそこに流れている雰囲気の中にこそ、
その学校が貫こうとしている理念が見えます。
もしその雰囲気が気に入ったのなら、
あなたの理想とする学校なのかもしれないので、
ぜひいろいろ調べてみてください。
きっといい学校に出会えるはずです。
さあ、今日も新しい一日のスタートです。
元気に、行ってらっしゃい!