みなさま、こんばんわ🌜

今日の鹿児島はよく晴れた良いお天気でした🌞

日臨心 当事者研究ワークショップ

 
 

8月19日(月)の夜は 日本臨床心理学会 で、当事者研究のワークショップ がありました😄

南部紀子さん

 
 

主催してくださったのは、この方、南部紀子さん。

 

南部さんは名古屋のこども園の園長さんをされています。

 

その傍ら当事者研究を学ばれ、最近は当事者研究ワークショップも開催されています。

 

すごい方ですよね😉

当事者研究とは何か❓

 
 

南部さんはワークショップの開催にあたって、当事者研究ネットワークの方々を連れてきてくださいました。

 

こちらの方も南部さんのお仲間の方で、この方から「当事者研究とは何か」についてご説明いただきました。

 

素晴らしいお話で、必死にノートにメモをさせていただきました。

 

あまりにも素晴らしかったので、こちらに書かせていただきました😊️

当事者研究とは❓

 当事者研究とは、当事者の抱える生きづらさの世界にともに降り立ち、研究するアプローチです。当事者研究には治療の側面を持たせていません。ソーシャルワーク的な側面をもたせたアプローチです。

 

 人と問題を切り分けて考え、問題と思われる点に向き合います。問題を解決するんじゃなくて、解決しなくてもなんとかなるんじゃないかと考え、共存を図ります。自己対象を肯定的にとらえることで、うまくいかなかったときに循環が可能になります。病的な症状だけが苦労ではありません。日常的な問題を切り分けます。

 

 精神障害者はそもそも苦労ができなかった人たちです。苦労する権利を剥奪されてしまった状態です。福祉のレールをひかれてしまい、ちょっとでもはずれると「再発したんじゃないか❓」とか言われます。当事者研究をすることで、苦労の権利を取り戻します。当事者研究は苦労するので、体調悪くなるのが普通なんです。

 

 当事者研究が目指しているのはパーソナルリカバリーです。障害があっても卑下することなく、仮説を立て、リカバリーを続けていく。苦労して試行錯誤して生きる。苦労を取り戻すんです。

 

 苦労を丸投げせずに取り戻すために、自己病名を決めます。自分が人生の主人公になれるように。人とのつながりを続けていけるように。お互いの苦労、弱さは力。苦労を見つめることに不安や恐れがあるのは当たり前です。だから「見つめる」んじゃなくて「眺める」んです。これがソーシャルワークに則った自己実現にちりばめられた当事者研究の理念です。

 

 熊谷医師は「当事者研究は人は誰でもやっている」と言います。井戸端会議のようなものです。

 

 当事者研究では精神症状を意味のある行動と考えます。精神医療では病理として扱われ、病状の優位性として捉えられます。相談しようにもできず、病理としてなくそうとしていた。でも、変わることが期待されているのは本人というよりも仲間全員として無知からの脱却を図りました。当事者の生活を豊かにするために、周りの人にも苦労について知ってもらうことが大切です。今、自分に何が起きているのかを聞いてもらう。

 

 当事者研究では、自分の考え方や行動を変えることを「実験」と言います。

当事者研究の理念がとても良くわかりました😊️👏👏👏

向谷地生良さんご登場

 
 

向谷地生良さんが遅れてご登場されました👏👏👏

 

向谷地さんはこの日、北海道の刑務所で当事者研究を実践されていて、そのために少し遅れて参加されたのでした。

 

向谷地さんのお話も素晴らしく、私はノートにメモをしながら感動して泣いてしまいました🥹

 

あまりにも素晴らしかったので、こちらに掲載させていただきました。

向谷地生良さんのお話

 当事者研究はともに弱くなることです。鎧を身にまとうんじゃなくて脱いでいく。当事者の対話目線が目指す専門性。生身の身体でその人の生きている現実をともに立ち会うんです。

 

 子どもの当事者研究が始まっています。子どもにとって当事者研究は遊びの延長戦。理論立てて科学的に基づいたというよりも、遊びの世界。

 

 オープンダイアローグの説明をしている人の中にバフチンという人がいます。ロシアの人で、カーニバルという概念、おまつりのことがその人の本に書いてあります。その人の本のおかげで、べてるまつりを30数年もやり続けているのかが何となくわかります。

 

 浦川は貧しい地域です。その浦川では精神病院に入院することが最もみじめな生活だと考えられていました。私は最初病院のソーシャルワーカーとして働いていました。そこに入院していた統合失調症の若者。家庭内暴力をやり、入院すると他害行為、そして爆発する。ほとほと疲れ果てていた時に、ともに研究するということで立ち上がったのが当事者研究です。本当に惨めで情けない暮らしの中で、惨めさ、情けなさの中でともに笑おうと、意図してというよりも立ち上がって来たんです。治療や援助の世界に立ち上がってきた当事者研究は、水と油とされていたナラティヴの領域を医療や援助と融合させました。

 

 当事者研究ではユーモアを大事にしていましてね。ひとつ面白いのは、日本の最果ての地の浦川で興った当事者研究ですが、今は東大の先端研究所に当事者研究棟ができています。完全にパロディです。面白いでしょう❓

 

 私たちは北海道の辺鄙な街に生きながら、気持ちだけはグローバルに向きつつ、志だけはワールドワイドです。浦川にいながら世界の文献をかき集めて、私たちは格闘していました。どこから生まれてくる出来事とともに、私もいっしょに泳いできた。もうすぐアメリカのジョン・ホプキング大学からハニラーマンという研究者が浦川にやってきます。

 

 法務省も色々やらかしたことが報道されていて、これから刑務所では受刑者は「さん」付けになります。番号で呼ぶのは止めることになりました。法務省が刑務所での対話の方法として取り上げていこうとしているのが当事者研究です。現場が対話的であること、民主的であること、人が人として大事にされること。それがともに研究するということです。

 

 私の自己病名は「先天性わすれもの症候群 あきらめ型」です。もう1つ「メール未読症候群」というのもあります。一時は未読メールが3万5千通までいったんですが、今は10分の1まで減っています。

当事者研究は、向谷地さんが迷える統合失調症患者さんを救わんとして始まったことがわかりました。

 

向谷地さんが当事者研究で実現したことは、精神障害者の皆さんのエンパワメントだったのかもしれないと思いました。

 

本当に偉大な方です。

当事者研究ネットワーク

 
 

向谷地さんはこうおっしゃっていました。

 
向谷地生良氏

向谷地氏

北海道の辺鄙な街、浦川から始まった当事者研究ですが、今では世界中で研究が進められています。

 
向谷地生良氏

向谷地氏

お隣の韓国にも研究機関があるし、オープンダイアローグがはじまったフィンランドともネットワークがあります。

 

当事者研究は既に我が国を飛び出して、世界中の国に伝わっているのです。

当事者研究の変化

 
 

1人の参加者の方が、「最近の当事者研究の変化」について質問されていました。

 
セミロングのメガネの女性

参加者

知人に勧められて東大の熊谷先生のYouTubeの動画を見たんですが、熊谷先生が当事者研究を「リーダーが導く組織マネジメントの方法」とおっしゃっていてびっくりしました。

 
セミロングのメガネの女性

参加者

当事者研究が変わってしまったような気がしましたが、向谷地さんはどう思われますか❓

 
向谷地生良氏

向谷地氏

・・・。

 

向谷地さんは何ともおっしゃりませんでした。

気づいたこと

 

当事者研究に触れてわかったことがありました。

 

それは・・・。

 

当事者研究は弱い人が弱いままに生きていくための方法論なんだ。

だから弱さを肯定している。

実希

実希

 

弱さを肯定することで、逆にエンパワーメントが生まれる。

これはすごい。

実希

実希

 

でも、弱さを肯定しても、そこから自立に向けようとはしていない。

弱いままで生きることを目指しているように思う。

実希

実希

 

弱い人が自立できない場合、弱いままで生きていくためには誰かの支えが必要。

弱いままで生きていけるのは、誰かが支えてくれる場合のみ。

実希

実希

 

これからはソロ時代がやってきて、支えが必要でも、支えてもらえなくなる時代がやってくる。

その時に、弱いままで生きていくことはできない・・・。

実希

実希

 

私は心のどこかでナラティヴ・セラピーにもモヤモヤしていました。

 

ナラティヴ・セラピーが弱い人のためのもののように思えたからです。

 

ところが当事者研究の方がもっと仰天で、弱さを肯定し、弱いままで生きていくことを推奨するアプローチだったのです。

 

当事者研究は素晴らしいアプローチではありますが、たとえ障害があっても自立を求められる時代には、合わなくなりつつあるのです・・・。

 

やはり、私はナラティヴ・セラピーでないとダメだとハッキリと悟りました。

 

でもせっかくなので、これを機会にしばらく当事者研究を学ばせていただきたいと思います😊️

 

日本臨床心理学会の会費(年8,000円)お支払いしたし🧡

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました😄

また来てね~😄👋