みなさま、こんばんわ🌜

今日の大阪は猛烈な暑さでした😅

 
1 7・30 医療観察法を廃止しよう! 全国集会

本日は日曜日のお休みの日ということで、図書館にノートパソコンを持ち込んで、Python の勉強をしていました。

 

昨日、虐待事件が発生した滝山病院の動向を追っている 日本臨床心理学会 から「滝山病院関連のオンラインイベントがある」との連絡をいただきました。

 

午後13時30分から滝山病院関連の「7・30 医療観察法を廃止しよう! 全国集会」があるとのことで、図書館からオンライン参加させていただきました(イヤホンで)。

2 大畠さん裁判勝訴講演

まず、最初に 大畠さん裁判勝訴 の講演がありました。

 

大畠さん訴訟とは、精神科病院での身体拘束をめぐる裁判です。

大畠さん訴訟とは

2016年12月、石川県の ときわ病院(精神科)に入院治療中だった 大畠一也さん(当時40歳)が、入院中に亡くなりました。

大畠さんは同月、統合失調症で同病院に入院したばかりでした。

 

看護師への暴言や粗暴な行動がみられたとして、6日間身体拘束を受けていましたが、拘束解除直後に死亡しました。

死因は肺血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)でした。

 

両親は病院の母体組織を相手とり、損害賠償訴訟を起こしました。

最高裁が病院の母体組織の訴えを棄却したことにより、病院の母体組織は両親へ3500万円の賠償金を支払うよう命じられました。

参考 朝日新聞デジタル

 

講演では以下のように話されていました。

大畠さん訴訟について

精神病院は長期入院者が滞留している現象が起こっています。

元々は治療反応性の高い人(薬が効く人)が優先的に入院していたが、今は18ヵ月の入院では到底及ばない。

認知症や発達障害などの医療観察法の対象ではないはずの人たちが入院しているが、どんなに手を尽くしても18ヵ月で退院というわけにはいかない。

医療観察法の対象でないのに、なぜ精神病院に入院しているというと、やってしまったことが法的にあまりにもひどいことをやってしまった場合に、刑事裁判も起こさない、刑務所にも入れない等、何もしないわけにはいかないので、措置として精神病院に入院となる。

そういう方々は、その後病状が酷くなっても家には帰さず、病院で息を引き取らせるということが行われている。

3 青山浩平さんの講演

続いて、青山浩平さん の講演がありました。

 

青山さんはNHKのディレクターをされていて、滝山病院で行われていた虐待事件を取材した「ルポ 死亡退院 〜精神医療・闇の実態〜」という番組制作に尽力されました。

 

青山さんの講演内容をまとめると以下のようになります。

🍀 60歳からの青春 精神科病院40年をへて

青山さんは2018年に放送された「60歳からの青春 精神科病院40年をへて」という番組を制作されました。

 

番組に出演されていたのは 伊藤時雄さん という男性で、1972年から39年間、精神病院に長期入院されていました。
2011年3月に東日本大震災が発生し、伊藤さんが入院されていた精神科病院も被災しました。
避難指示が出て、39年ぶりに退院が決まり、伊藤さんは地域に帰ることができたのです。

 

伊藤さんの番組を拝見すると、「人生とは何か❓」について深く考えさせられます。

🍀 30年以上の長期入院

精神病院では多くが30年以上の長期入院です。
9割の患者が入院治療の必要なし。
ほとんど寛解で、何かには知的障害や特に問題がない人もおられます。

🍀 長期入院を作り出すもの

人生の大半を精神病院で過ごす人々。
何が長期入院を作り出すのでしょうか❓

 

🔷 1951年 厚生省「生産阻害論文」

精神科の長期入院のはじまりは、厚生省が発表した1本の論文でした。

精神障害者のために、年間1000億円をくだらない額の生産を阻害されているとする内容でした。

厚生省「生産阻害論文」

生産離脱による損失については精神障害者中、精神病者の八割及び精神薄弱者の高度の者、即ち白痴、痴愚にあたる者は生産離脱者と考えられ、これらの者の保護にあたる家族の生産離脱を加えるならば、精神障害者のために社会は年々1,000億を下らない額の生産を阻害されていると予想される(厚生省公衆衛生局1951:11)

参考 竹端寛(2018)「「家族丸抱え」から「施設丸投げ」へ ─日本型“残余”福祉形成史」『学術の動向』2018年9月号. 公益財団法人日本学術協力財団

 

1951年当時、精神病45万人、精神薄弱58万人、その他27万人、合計130万人。
そのうち93%が何の治療も受けていませんでした。

施設収容43万、在宅治療39万(合計82万人)では足りず、35万人分の入院が必要でした。

 

🔷 1958年「精神科特例」

精神科特例とは、「入院患者に対して医師数は一般病床の3分の1、看護師・准看護師は3分の2でいい」という取り決めです。

このように設置基準を緩める代わりに、診療報酬は一般病床より低く設定されました。

 

🔷 1960年「医療金融公庫法」

精神科病院設立にあたり、長期・低金利の融資ができるように法律を整えました。

 

🔷 1961年 措置入院全額国費負担

措置入院は全額が国費負担で賄うようにして、精神病院に入院しやすくしました。

 

こうして、我が国では民間の精神病院が林立していったのです。

 

🔷 1964年 ライシャワー事件

有名な障害事件が発生し、マスコミも「精神病者を野放しにするな」という論調に代わっていきました。

 

福祉もないのに家族も責任を持たされた「保護者制度」も制定されました。

 

精神障害者を国・メディア・行政・地域・家族から排除し、本人以外みんな幸せシステム が確立していったのです。

4 持丸彰子さんの講演

次に、持丸彰子さん の講演がありました。

 

持丸さんは、NHK大阪放送局のバリバラ班で活躍されているディレクターの方です。

 

持丸さんは2020年に「ドキュメント 精神科病院×新型コロナ」という番組を制作されました。

 

「ドキュメント 精神科病院×新型コロナ」では、コロナ禍での精神科病棟の衝撃の事実が語られていました。

 

精神病院内でコロナが蔓延したとき、病院は精神科病棟の大部屋の真ん中にポータブルトイレを設置し、病室に外から南京錠をかけて患者さんを病室に閉じ込めました。

 

ポータブルトイレは設置されていても、間仕切りも何もありません。

誰もがポータブルトイレの使用をためらっていました。

 

患者さんは排泄物とともに病室から出られなくなり、飲料水も与えられませんでした。

 

恐怖に駆られて泣き出したり、叫んだりする患者さんもおられたそうです。

 

持丸さんは精神科患者さんの置かれている非人道的な境遇に憤りを感じ、番組の制作を決意されたのです。

5 質疑応答
 

次に、質疑応答がありました。

様々な意見が出されました。

 
ダンディーな高齢者の男性

参加者

こういうことが起こると、大騒ぎになるけど、しばらくすると元通りになる。
これだけ叩いても、強制力はないんじゃないかと…。
大阪の大和川病院は廃院になったけれども、宇都宮病院は罰金だけで済み、何も変わっていない。
相変わらず今も、他県から問題行動の多い患者さんを引き受けている。
こういう状況を変えるにはどうすればいいんでしょうか❓

 
青山浩平氏

青山氏

最終的にはお金が地域に流れるようにするのが問題解決なんじゃないかと妄想していますが、どうなんでしょうか❓

 
持丸彰子氏

持丸氏

運動もメディアも継続して連動しながら取り上げていくことが重要だと思っていまして…。
1960年代のメディアが「野放しにしている」と書いたことは、同じメディアの人間として反省しています。
大部屋にポータブルトイレを投げ込んで、患者さんを南京錠で閉じ込めたり、暴言・暴力がはびこっていたりすることが、もし精神科病院以外だったら、もっと大問題になっていたはずだと思います。
メディアの側にも精神科に対するスティグマがあります。
1960年代から少しずつ良い方向に進んでいっていると思うので、私たちメディアもこの事件を風化させないように、継続的に取り組んでいきたいと思います。

 
ネクタイの男性

参加者

入院が3ヵ月を超えると診療報酬が下がる、ということと、滝山病院に頼らざるを得ないという事情との連関がよくわからなかったのですが、もう1度説明していただけないでしょうか。

 
竹内真弓先生

竹内氏

私は代々木病院の竹内と申します。

精神科医をしております。
ある程度入院が長くなると審査会に送られるが、そのために滝山病院に送られるわけではありません。
入院期間が3カ月を超える(医療保護入院は10カ月)と病院にお金が入らなくなるので、安く入院を継続させてもらえる病院を探す必要があり、バックベッドとして滝山病院が考えられます。
抜け道としては任意入院にして、そのまま強制的に入院をするという方法がありますが、このように任意入院が悪用されている恐ろしい事実があります。

 
ネクタイの男性

参加者

なるほど。

3ヵ月越えて、安い報酬になっても継続して引き受けてくれる場所として、滝山病院が重宝(?)されている+インチキ高額医療で設けている、ということですね。

よくわかりました。

 
有賀譲慶氏

有賀氏

私は精神科の看護師ですが、正規職員が1割しかいない状況で、ちゃんとした看護ができるとは思えません。
滝山は透析が必要ない人に無理やり透析をしたりして、不必要な治療で高額療養費をとっているから成り立っているんだと思います。
外来がないということが考えられないです。
ちゃんと入院をとっていないということだから。

 
セミロングの女性

参加者

私の職場にも、10年前に滝山病院でアルバイトをしていた人がいて。

亡くなった人にラシックス(利尿剤)をいったりして、無理やり高額療法費を請求したりして、無茶苦茶なことがされていたらしいですよ。

その人は数日で辞めたらしいですが。

 
青山浩平氏

青山氏

まあ、死亡診断書を書くのは医師ですからね。
我々も後に残されたカルテやレセプトなどから、何が行われたかを推理しながら取材を進めています。

 
セミロングのメガネの女性

参加者

滝山病院はまだ正直です。
私の息子は優秀で、学校に少し遅刻が多くなったので精神科を受診しました。
薬をたくさん処方されて、どんどん増えていきました。
30歳を超えて、医療保護観察に入院をしていた時、「今更ですが、あなたの息子さんは病気ではありません。あなたがお金を出して裁判をして、病院から退院させてあげてください。」と言われました。
お金がないので、やっと国選弁護士の方を頼んで裁判をすると、法廷に現れた息子は体を二つ折りにおって、髪も伸び放題になっていました。
医療保護観察の素晴らしさばかりがうたわれていますが、実際にはいつ自殺しても良いように部屋も荒れ放題で、排泄は部屋の中の箱でしていたので、非常に臭い状態でした。
私は息子のことを何度も保健所に掛け合いましたが、誰も聞いてくれませんでした。
職員はどんどん変わって、申し送りがされていないので、全然話が通じませんでした。
あるとき、保健所の職員の人に囲まれて私は手錠をかけられ、留置所に連れていかれました。
そして、私は私なりの薬を投与されました。

 

聞いているだけで恐ろしい精神科医療の現実に、私は大きな衝撃を受けました。

6 医療観察法の処遇を終えた⼈たち

続いて、医療観察を受けて精神病院で入院治療された後、社会復帰された方 の講演がありました。

 

医療観察制度とは、心神喪失又は心神耗弱の状態で、精神の障害のために善悪の区別がつかず、殺人・放火等の重大な他害行為を行った人の社会復帰を促進するための処遇制度です。

 

発表者

発表者

僕は今46歳で、僕は保護観察が終わった後の人なんですけど、自分の場合、治療は処罰でした。
今はベーシックインカムと呼称する障害年金と、週5回のアルバイトをしていますが、ここまでくるのに10年かかりました。
保護観察にかかると全て報告しないといけない。
お友達の関係とか、お仕事のこととか。
それがやっと解けたということです。

 
発表者

発表者

僕が入院していた病院に、他府県から入院してくる人がいたんですけど、その人とも連絡をとっています。
その人は退院した後、元の地元に帰ったんですが、その県は医療観察がゆるくて助かったそうです。
医療観察は、医療と司法のコラボなんですが、その人はハローワークに行って頑張って就職を決めたんですが、主治医の先生が「ダメだ」と言って、就職できなかったこともありました。
その人は頑張って正社員で働いて、つい先日「入籍した」という連絡をもらいました。

 
発表者

発表者

みんなそれぞれ、社会復帰とか処遇終了をやっている。
これは僕が痛切に訴えたいことは、医療観察が終わった後、みんな自宅に帰れてないんです。
ある方は退院して施設に入りました。
家族が被害者だから帰れないかもしれないんですが、家族がOKを出さないと帰れないんです。

 
発表者

発表者

社会復帰といっても、元に戻れないんです。
元々準公務員みたいな仕事をしていたんですが、みんな僕がやったことを知っているので、どこに面接に行っても落とされます。
僕の場合は、病院が地元に言って全部しゃべっちゃったので。

 
発表者

発表者

元々子ども関係の仕事をしていたんですが、ボランティアでもやらせてくださいよ、と町内に行ってみると、「誰があなたなんかに❗ あなたは犯罪者扱いですよ。」と言われたことがあります。

 
発表者

発表者

やっぱりコミュニティを作っていたという。
こんな問題やっぱりわかんないですよ。
ある調査によると、精神科医の4割がこんなことを知らないということもあります。
わからない中で、体験してきた者同士がつながってきたということが大きかったと思います。

 
発表者

発表者

僕は社会復帰できたと思っていません。
症状もありますが、時々「消えてしまいたい」「死にたい」と思います。
僕が傷害事件を起こす前、そんなことは考えていなかったんですよ。

施設に入った殺人未遂をした女性は、自責感で自殺しちゃったんですよ。
周りに誰もいない、つながりもないということで。

 
発表者

発表者

ジャーナリズムの人に聞いたら、自殺者65人だと。
去年、75人に増えたと。
これ追い込む人は追い込まれるんです。
この制度はそういう人に何をさせるのかというと、反省させるんです。
内省させるんです。

 
発表者

発表者

医療観察後は、コロナで自殺が増えたところじゃないぐらいの自殺が出てきています。
この制度に限らず、つながりができること。
つながりができると衝突もあるでしょうし。
でも分かり合えるということもあって。
精神疾患があるということで、わかりにくいこともあるんですが、できたら分かり合える存在を求めて僕は発表させていただいてます。

 

とても貴重な講演でした。

 

医療観察を受けて入院されている方に対する クロザピン(クロザリル)の使用率も高く問題になっている、とのことでした。

7 集会参加を終えて
 

今日の講演で、目からウロコの貴重なお話を聴かせていただきました。

精神障害者に対する処遇がこんなに大きな問題になっているのに、私には何もできないという悲しい現実を思い知りました。

 

医療観察法の処遇を終えた発表者の方に、チャットでメッセージを送らせていただくと、返信をいただきました。

 
発表者

発表者

ありがとうございます。
「繋がりたい」という気持ちと「繋がっている」という事実があってこそ、生きていこうと思っています。

 

発表者の方の「繋がりたい」という気持ちを応援するために、医療観察法の処遇を終えた方々が繋がれるようなアプリを作ろう と思いました。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました😄

また来てね~😄👋