アロハ〜🌈
海外ドラマ評論家&映画ジャーナリストの村上淳子です。

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韓国映画『ラブ・イズ・ザ・ビッグシティ』(6月13日公開)



 ヒロインのゲイの友達が脇役じゃなくて主役なのが新機軸。こんな親友がほしいと思わせるストーリーです。

https://en-pare.com/entry/2025/06/10/164906


 これまで人気米ドラマ『SEX AND THE CITY』をはじめ、ヒロインにゲイの友人がいるパターンは多々ありましたが、あくまで脇役。がっつりふたりの関係にスポットを当てた作品は稀有。


 それにしてもノーベル文学賞と並ぶ、世界三大文学賞の国際ブッカー賞を受賞したパク・サンヨンのベストセラー小説を映画化した本作が韓国で多くの共感を得たことに時代の流れを感じずにいられない。

 

 25年前、初めて韓国でゲイをカミングアウトした俳優ホン・ソクチョンは激しいバッシングにあい、母親が「一緒に死のう」と懇願したほど露骨に差別されたのです。


 フンスのお母さんが息子がゲイだと知ってから教会に通いひたすら神に祈り、ジェヒを恋人だと思い込み、「治ると思った」というセリフは当時の韓国社会における認識を描写しています。


 その母親が息子を理解するため見に行く映画がひと夏のボーイズラブを描いたイタリア発『君の名前で僕を呼んで』(2017)なのがニンマリてした。


 フンスを好演したノ・サンヒョンは、ドラマ『Pachinko パチンコ』(22〜24)の牧師イサクでブレイク。たぶん他の俳優はオファーされてもリスクを考えて断る可能性が高いこの役にチャレンジし、新境地を開きました。


 ジェヒを演じたキム・ゴウンは社会現象を巻き起こしたドラマ『トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜』(16)のヒロインから、映画『破墓/パミョ』(24)のシャーマンまでまさに変幻自在の演技派。本作でもコロコロ変わる表情でジェヒの心情を巧みに表現しておりさすが!でした。