米国のトランプ大統領がイランへの攻撃を始めたのは2月28日。その後、2週間が経とうとしているが、この間に中国は目立った動きを見せていない。習近平国家主席の考えはどこにあるだろうか。
一つの可能性として、中国はいまだにグローバル大国ではなく、「東アジアの地域大国」にとどまるということが考えられる。実際、米国が1月2日~3日にかけてベネズエラを攻撃して大統領を拘束した際も、中国は効果的な動きを見せることができなかった。中国がグローバルパワーであれば、米国に対抗して何らかの対応をすることができたはずだ。
今回のイラン攻撃についても、中国は米国に対して攻撃を非難しながら、イランに対してもホルムズ海峡の通過を要求するなど、米国の攻撃を止める有効な手立てを打てていない。やはり、これは中国がグローバルパワーになり切れていないのだ。
ただ、中国が地域大国の地位に満足しているとは考えづらい。2023年3月、中国はイランとサウジアラビアの国交回復を仲介した。地域大国の殻を破りたいという願望があることは明らかだ。
では、中国が今回のイラン攻撃で静観を続けている理由は何だろうか。ベネズエラはあまりに短期間で決着がついたため、そもそも介入することは困難だった。イランについては、米国とイランの間に割って入る「時間的な」余裕があるかどうか見極めていると考えてるのが妥当だろう。
つまり、短期間で決着が着けば主要なパートナーの一つであるイランを見放すが、戦争が長期化すればいずれ仲介に動くつもりではないか。
仮に中国が介入する形で停戦が実現した場合、戦争が世界経済に及ぼす影響を考えれば、中国の国際的な地域は大きく向上する。グローバルパワーへの足掛かりになるこの一手を、習近平国家主席は狙っていると見るべきだ。
ただ、短期的にはうまく行くとは限らない。中国の介入前に中東諸国が間に入って停戦になる可能性もある。現に、欧州や中東諸国が和平の提案をしているとの報道もある。一方で、従来の経緯を考えれば、これらの諸国による仲介で恒久的な和平が実現するとは思えない。
イランの現体制をロシアか中国が支える形での和平しか長続きしないが、ウクライナ問題を抱える限りロシアにその余力はないだろう。
一方で、中国がグローバルパワーになろうとした場合、米国は欧州一致して抑え込もうとするだろうし、ロシアもそれを容認するとは限らない。グローバルパワーとなった中国がロシアの援助を必要とするかは分からず、中華思想の強さを考えれば中国とロシアの間にある根強い不信感が表面化するだろう。
また、イランで宗教色の強い政治に対する反発から現体制が転覆される可能性も残っている。そうなったら、中国は東の日韓台だけでなく西にも米国の勢力を抱えることになる。
さまざまな可能性を抱えて動き続ける現状。先ごろ、軍のトップを粛清した習近平主席も、ルーレットの玉がどこに落ちるかを真剣に見つめているだろう。