毎年この時期

阪神大震災の話になる


あの時どうだった?って


今でも鮮明に覚えている

体も覚えている

音も覚えている



普段は忘れている

心ももう大丈夫だと思っている


だけど


数年前の大阪の地震に遭った時

震えの止まらない自分がいた



今でも

地鳴りのような音に

ビクっとする

遠くから聞こえる電車の音は

不意にいまでも

ビクッとする時がある




人間はとても賢い

心に刻まれた衝撃は

しっかりと残る



アル中のお父さんが呑んでいた

いいちこの瓶を見ると

不意になんとも言えない気持ちになる



子どもを落としてしまいそうになるぐらい

悩んでいた時のマンションを見ると

あの時の私がいるような気がする




そうやって

過去の傷は

完全には消えない



消えないけれど

今の私には必要だったのだと

受け取れている



あの時の悲しみや辛さは

完全には消えないけれど


少し抱えながらも

こんなにも幸せに生きれている




あの時の

怖さも

辛さも

ぜーんぶ自分だから

ぜーんぶ私だったんだって

消さなくて良かったなぁって 

そんな風に思えたら




あの時の私も

今の私も

あって当たり前

あっていい



きっと

体も心も感覚も

覚えているはず

それを

失くさなくていい

忘れなくていい

ただ

事実あったんだなって

わかればいい





あの日の空の色は覚えていないけれど



この空を見て

幸せだと感じられているなら


私は

幸せだ