目が覚めたか 傷は痛むか
三日三晩死んだように 寝とった
もう少し休ませてあげたいが
追っ手も馬鹿じゃない
明日ここをたつ
お礼を しっ!
お前が 柄でもない
お前に お礼されたら
坊主 失格だ くそ坊主だが
休んで いい顔になった
醜いお前が消えた
小便を垂れ流し くそを垂れ流し
ヨダレ 涙も垂れ流した お前
そのお前が 醜いんじゃない
それを垂れ流すのが 人だ
愚かな 獣の お前が醜いと
お前 俺に ツバをはきけかけたろ あれが いちばん 良かった
いい顔だった
お前はなぜ 生かされると思う
お前に救われた
本当にそう思うか
俺は、罪人を吊るし 死んだ罪人を下ろしただけ
お前は 物心つくかつかぬ時に
親から捨てられた
親を憎み 村人を憎み 人を憎み
人から孤立して 山 に住んだ
不敏な山に 独り 親を憎み
人を憎み 親の愛をしらず
不敏な山で 独り 野獣になった
それを このくそ坊主が 惨めに
思った 野獣をな
お前を 助けたのは 捨てた親と
不敏な山だ お前が憎んだな
山は お前の親だ そして師だ
お前は 山に 愛されて
生かしてくれた お前の師だ
お前は そして俺にあい 闇をしった 闇をしらんと わからんものもある だからお前は闇を
お前が人に近づけば 罪に苛まされるだろう
逃げてもかまわん
だが忘れてもならん
闇を負うて 生きろ 人として
後はお前しだいだ
泣くな 泣くなら 生き延びて
泣け