昭和61年にヨーロッパ(スペイン)で大規模なプラント建設工事に、現場責任者(サイトマネジャー)として携わりました。
現地企業2社、日本2社のコンソーシアム契約で、受注から22ヶ月での生産開始という世界記録の最短記録の工事でした。
日本では考えられない事態が発生したのは、工事も完了し試運転が佳境に入っていたときでした。
ドイツ製の機械を一部組み込んだ製造設備だったのですが、その機械の調整員が、約束の日が来たので韓国に行かなければならない、と言い出したのです。確かに当初の計画からは10日程度遅れていたのですが、こちらがその業務が止まれば全部のスケジュールが遅れてまいます。総勢50名程度が待ちになってしまうのです。
当然、我々は期間の延長か代理人の派遣をドイツに要請しましたが、何度交渉しても都合が付かない。
結局試運転のスケジュールを全面的に組み替えるはめに。
日本であれば(ほら、すぐこんな発想になるんです、日本人は)現場の調整員が一所懸命本社を説得して現地が止まらないように工夫してくれますし、本社も要請に応えようと努力します。
しかし、ドイツ本社は、『契約通り』の一点張り。現場の調整員にも何の調整権限もなく、淡々とさよなら、またね。
一方日本人である我々は、それでもスケジュールがくれないよう、スケジュールを組み替える、お客様のために。
これって、いい面と悪い面がありますよね。
いい面:
これが日本の今はやりの『おもてなしの心』『お客様満足』なんでしょうか?
悪い面:
金銭的にも、精神的にも相当損をする。お客様のミスを補ってなったばっかりに、逆に責任までかぶる。行為でやってやった事をアピールできない、追加コストが発生しても、回収できない。
そしてお客様がやるべきことをやらないおかげで、お客様もメーカーも不幸になる。つまりLose-Loseの完成。
私の知っている限り、ほとんどの現場でこの現象が発生しているようです。
まさにマネジメント力の低さ!
日本が国際化するには、このような事のマネジメント力が必要なんですけどねえ。
この対応方法についてはまた別の機会に。
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