拝啓 愛し人へ

恋は苦しいものです
深く思えば溺れる魚のように
勝手に思えば息が出来なくなるようです
もう二度と恋をしないと決めた矢先の脳内に
まるで大蛇がいるように
貴方のことしか考えられなくなるのです
今まで何度も恋をしてきた私ですが
その度にもう二度と人を愛さないと思ってここまで一人で歩いてきました
しかし、目の前に深く澄んだ池を見つけてしまったとき
飛び込まずにはいられない衝動に駆られています
溺れて息が出来なくなるほどに
私は勝手に貴方を思ってしまっています
月が満ちる夜、水面は星を映します
貴方の手招きするその池に
一か八か、私は最後に飛び込まずにはいられないのです
たとえ行先に火まつりが待っていても
報われないとわかっていても
誘うものに飛び込んでしまいたいのであります
人は弱く狡い生き物です 儚く脆い弱さと
あいにく自己保身だけの強さしか持ち合わせていません
その毛皮を剥がしてでも
たとえ欲望の塊になっても
貴方のものになってみたいのです

追伸

月夜の晩です
貴方はいかがお過ごしでしょうか