ハワイ島 写真撮影 写真教室「三日月カメラ」「三日月写真教室」 -5ページ目

ハワイ島 写真撮影 写真教室「三日月カメラ」「三日月写真教室」

ハワイ島・ビッグアイランドの写真教室・写真撮影「三日月カメラ」のブログです。


私がハワイ島に住み始めて、今年で8年目になります。

不思議なもので、8年前には縁もゆかりもなかった「ハワイ島」が私の人生の中でいちばん長く住むことになる場所になりそうです。

この8年間、「写真」を生業にしている者として、いろいろな季節のいろいろな時間に、この島のあちこちに行き、ほんとうに素晴らしいたくさんの景色を見てきたつもりでいました。

それでも、雑誌やテレビの撮影などで「ハワイ島」とより深く関わる機会をいただくたびに、この島の新しい部分を知り、この島のフトコロの深さを実感させられます。そこで出会う、この島で生きている人たちもまた、この島の魅力の一部であると思うほど、素敵な人ばかりです。

年末から、ご縁をいただいて「コナ・コーヒー」に関する日本のテレビ番組のお手伝いをさせていただいています。
(番組については後日あらためてお知らせさせていただきますね)

取材と撮影の過程で出会った「コナ・コーヒー」と、それに関わる人々に魅了される濃厚な日々。

知れば知るほど「コナ・コーヒー」を好きになり、この島を好きになりました。

ここへ私を連れて来てくれた「運命」に感謝をしつつ、ひとまずの撮影を終え、サドルロードを通って急ぐ家路。

今までに見たことのない、壮大な場面に遭遇しました。


マウナケアへのアクセス・ロード付近。

ここではたまに、たくさんのヒツジ(つい先日までヤギだと思い込んでいましたが…)が溶岩大地の中に芽吹く貴重な草を食べている光景に出会うことがあります。

だいたいは、数十頭くらいの「チーム」になっていて、その光景を見るたびに、彼らはふだん、このゴツゴツの溶岩の中のいったいどこで暮らしているんだろう?と不思議に思っていました。

それが今回は、数十頭どころではなく、千…いや、万はいるんじゃないの???と思うほどの大群が1列にならび、ハイウェイを横断しようとしていました。

すぐに車を道路脇に停め、iPhoneとカメラを持って彼らの近くへ。

車が来ないタイミングを上手に見極めながら道を横断していく、ものすごい数のヒツジたち。
(その様子を収めた動画は こちら からどうぞ)

観察していると、彼らはとても賢く、臨機応変の行動を取っている様子。
横断の途中で車が近づいてくると即席のリーダーが現れ、彼の判断で歩みを止めたり、再び歩き出したり、場合によっては来た道を戻ってルートを変更したり…と、残りの群れを誘導していきます。


…群れが「一旦停止」している最中のこと。

彼らにカメラを向けている私のことを、まっすぐ見つめてくる1頭のヒツジがいました。


ほんとうに何もない、不毛の地だと思っていた溶岩大地にこんなにたくさんの「命」が息づいていたこと。たくましい彼らの姿にただただ感動し、文字通り「息を呑んで」いた私に向けられた、まっすぐな視線。

まるで、このヒツジに「お前、ちゃんと”生きてる”か?」と問いかけられたような気がして、そこから動けなくなってしまいました。

彼らのように、ちゃんと地に足をつけて、大地を踏みしめて、まっすぐに前を見て、強くたくましく美しく「生きて」いかなくちゃ、と思ったらまた、涙が溢れてきました。

この「涙」。
この島の、言葉にならないような美しい景色に出会うと、いつも出てきます。
そして心の底から「ここで生きさせてくれてありがとう」と感じる。

これ、なんなんだろう?ってずっと思っていました。
涙もろくなるのは、年を取ったからなのかしら?と。

この答えをくれたのは、ワイピオ渓谷に下りた時に案内してくれたハワイアンのお兄ちゃんでした。

美しい景色に出会うと、彼は "I feel blessed" (神様が祝福してくれているような気がする)と。

あぁ、それか!
この島の素晴らしい光景に出会うたびに、なんだか、すべてを許してもらったような気がして、ハワイ島ではあくまでも「外国人」の私に、神様が「ここにいていいんだよ」と言ってくれているような気がして、だからなんだか泣けてきちゃうんだ…。


そして今回は、このヒツジさんに「お前、ちゃんと”生きろ”よ」と言われているような気がして、サドルロードの冷たい空気に、シャキッと姿勢を正した、そんな2016年の幕開けでした。


ハワイ島、これからもどんどん、知らない景色を見せてくれるはずです。

この島の果てしない魅力を、私が撮影する写真や、お手伝いさせていただく雑誌やテレビを通して日本の皆さんにお届けすることが、私に与えられたお役目なのかしら?…と思っております。


ぜひ、この光景をご自身の目で見にいらしてください。
この大地を、ご自身の足で踏みしめてください。


いつか、ハワイ島でお会いできますことを楽しみにお待ちしております。


今年もどうぞよろしくお願いいたします。