昨年からいつ発売になるのかずっと気になっていたビーチ・ボーイズのBoxセット『Made in California カリフォルニアの夢』がついに発表となりました。8月28日発売です。
まぁビーチ・ボーイズの場合、出る出ると言われながら、なかなか出て来ないのはいつものことなので、1年待たされるくらいたいしたことではありません。(SMiLEなんで30年以上「出る出る詐欺」を繰り返してましたし…)
国内盤の記事はこちら(収録全曲のリストあり)
基本的には93年のボックス・セット『Good Vibration』(以下GV Box)と同様にデビューから現在までの既発曲に未発表曲を混ぜた年代順のベストに、ライブ&セッション音源Discをプラスした内容。
記事によると全174曲中60曲以上が未発表音源だそうだが、既発曲と未発表曲が混ざっている構成なので、パッと見そんなに未発表が多い感じもしない。
そこで、未発表(と思われる)ものを抜き出して、手持ちの音源とネット情報などを頼りに整理してみました(我ながら随分と暇な作業だ…)。知識不足や勘違いによる間違いも多いと思うが、間違っていればそれだけ発売時の驚きが大きいということで…(あくまでも予想で書いています)。
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《未発表曲など》
D1-15「Back Home」
D6-21「Back Home (1970 Version)」
公式バージョンは1976年の『15 Big Ones』収録。
そもそもは1963年『Surfer Girl』のアウトテイク(リードボーカルはブライアン)、1970年『Sunflower』の頃に一部メロディを変え、アルのリードで再録音したもののまたもやお蔵入り、1976年にリードをブライアンに戻し再々録音と、紆余曲折の末にやっと陽の目をみたという曲(このパータン結構多い…)。
D4-25「Goin' To The Beach」
1980年『Keepin' The Summer Alive』のアウトテイク。ブートではその年の5月のTV special「Goin' Platinum」で披露されたVocalセッションの様子と、バッキングのみのトラックが聞けたが、ここに収録されたのはどんなバージョンだろう?完成形があるのか?
D5-2「Why Don't They Let Us Fall In Love」
D5-3「Da Doo Ron Ron」
D6-18「You've Lost That Lovin' Feeling」
スペクター作品のカバー。いずれもブートでは流出済み。
「Why Don't-」は1980年頃のブライアンの録音、「Da Doo-」も同じ時期のアウトテイクでカールがリード、「You've-」は1976年頃の未発表アルバム『New Album』の収録予定曲でブライアンのリード。「Da Doo-」は後にMike Love & Dean Torrenceのアルバムでもカバーされていた。
D5-7「You're Still A Mystery」
D5-8「Soul Searchin'」
この2曲は90年代後半の“Andy Paley Session”から(基本的にブライアンのソロ・プロジェクトで、ビーチ・ボーイズ参加はこの2曲のほかはサビのコーラスのみ残っている「Dancing The Night Away」のみ)。
「SoulSearchin'」はカールのリードヴォーカル以外を差し替えて2004年のブライアンのソロアルバム『Gettin' in Over My Head』で発表された。
このセッションは、良い曲が多くあるにもかかわらずお蔵入りしてしまった曲が多く、今までに公式発表されたのは「This Song Wants To Sleep With You Tonight」と「In My Moondreams」のみ(そのほか「Gettin' in Over My Head」「Desert Drive」「Soul Searchin'」がリメイクされて『Gettin’~』に収録)。こうして少しずつでも公式に陽の目をみるのは嬉しい限り。
D6-6「Sherry She Needs Me (1965 Track w/1976 Vocal)」
この曲も前述の「Back Home」と同じく何度も録音された曲。
まず最初は1965年に「Sandy」というタイトルで録音。その1965年のトラックに、1976年にヴォーカルを重ねたのがこの「Sherry She Needs Me」。更に1998年に再録され、Brianのソロアルバム『Imagination』で「She Says That She Needs Me」として発表された。
それにしても1965年のリード・ヴォーカル入りはやはりないのか?ブートで聞けた1965ver.もボーカルはのエンディングだけだったし、残念。
D4-19「California Feelin'」
D6-22「California Feelin' (Original Demo)
1979年『L.A. (Light Album)』アウトテイク。カール・ブルース・ブライアンが交代でリードを歌う。2002年のブライアンの再録(本人選曲のビーチボーイズベスト収録)、2010年のアルのソローなアレンジでの再録(『A Postcard from California』に収録)は発表済みだったが、ビーチボーイズ版もついに公式初登場!
今回のボックスにはこうしたソロ曲の元バージョが結構あり、これが嬉しい驚き。ソロバージョンが出た時点でビーチボーイズ版はもう出ないと諦めてた。
D6-7「Mona Kana (Instrumental Track)」
ブートで「Mona Kani」と表記されていた曲と思われる。1968年頃?のデニスの作曲。
D4-4「(Wouldn't It Be Nice To) Live Again」
D6-9「Where Is She?」
D6-14「I Believe In Miracles (Vocal Section)」
D6-15「Why (Instrumental Track)」
D6-16「Barnyard Blues」
D6-26「My Love Lives On」
このあたりは正体不明。ブートでも聞いたことはないと思う。
「I Believe-」はThe RamonesとJackson Sistersに同名曲があるが…違うよな。ネットの記事によると「-Live Again」「Barnyard-」「My Love-」はデニスの曲とのこと。
《既発曲の別バージョン・デモ音源など》
「Amusement Parks USA (Early Version)」
「Meant For You (Alternate Version)」
「Be With Me (Demo)」」
「It's OK (Alternate Mix)」」
「It's Over Now (Alternate Mix)」
「Brian's Back (Alternate Mix)」
「Surf's Up (1967 Version) (2012 Mix)」
既発バージョンとの違いが気になる。「It's Over Now」は『GV Box』で初出、1977年の未発表アルバム『Adult Child』収録予定曲。「Brian's Back」は2002年のレア音源集『Endles Harmony』で初出、1978年頃のマイクのソロアルバム収録予定曲(アルバム自体が未発表)。「Surf's Up (1967 Version) 」は2011年の『Smile Sessions』で初出、たった2年前のことだがどうミックスが変わったのだろうか?
《セッション音源・インストオンリーなど》
「Home Recordings / Surfin' Rehearsal Highlights (2012 Edit - Mono)」
「Don't Worry Baby (Stereo Session Outtake w/ Alternate Lead Vocal)」
「Pom Pom Play Girl (Vocal Session Highlight)」
「Good Vibrations (Stereo Track Sections)」
「Had To Phone Ya (Instrumental Track)」
「Don't Go Near The Water (Instrumental Track)」
「Transcendental Meditation (Instrumental Track)」
「Our Sweet Love(Vocals w/Strings)」
「Guess I'm Dumb (Instrumental Track w/Background Vocals)」
ボックス・レア音源集定番のセッション音源。「Good Vibrations」は2001年のレア音源集『Hawthorne, CA 』収録と同じものな気もするがはたして…。
インスト・オンリーは従来60s前半~Smile期の曲が中心だったので、70s曲中心の今回の選曲は結構珍しいかも。
「Guess I'm Dumb」は一時期ブライアンの代役としてツアーにも参加したグレン・キャンベルのソロ曲で『Pet Sounds』へと繋がるサウンド。
《with Session Intro》
「Surfers Rule (with Session Intro)」
「I Get Around (with Session Intro - Mono)」
「Graduation Day (Session Excerpt and Master Take, 2012 Mix)」
「There's No Other (Like My Baby) (2012 "Unplugged" Mix with Party Session Intro)」
これもベスト盤などで定番の、曲頭にちょっとしたイントロ(セッション時の未使用部分やブライアンの声など)を付け足したものと思われる。
《アカペラ・ミックス》
「Slip On Through (A Cappella Mix)」
「This Whole World (A Cappella)」
こちらも定番のアカペラミックス。今回は『Sunflower』から2曲。『Hawthorne, CA 』で「Add Some Music To Your Day」と「Forever」のアカペラミックスが発表済みなので、これで『Sunflower』からは4曲がアカペラ化。
《新ステレオ・バージョン》
『Pet Sounds Sessions』や『Endles Harmony』以降、ベストやレア音源集が出るたびに、少しずつ発表されるステレオミックス。昨年のstereo/monoシリーズで『Today』『Summer Days』の全曲ステレオ化が終了し、ひと段落しと思いきや今回も結構な数の新ミックスが登場。
「Our Prayer (2012 "Smile Sessions" Stereo Mix)」
『Smile Sessions』ではモノだったがここで初ステレオ化。とはいっても『20/20』のヴァージョンはもともとステレオだった。
「Country Air (2012 Stereo Mix)」
去年のステレオ化シリーズで発売されなかったされなかった『Wild Honey』収録曲。『Wild Honey』からは『Hawthorne, CA 』収録「Let The Wind Blow」、昨年のベスト『50 Big Ones』収録の「Wild Honey」「Darlin'」に続き4曲目のステレオ化。これからは『Wild Honey』と『SMiLE』が小出しにステレオ化されていくのだろうか…?
「Sail Plane Song (2012 Stereo Mix)」
「We're Together Again (2012 Stereo Mix)」
「Sail-」は『Endles Harmony』で、「We're-」は2in1再発シリーズで初登場のどちらも『Friends』~『20/20』期のアウトテイク。今回の新ミックスでどう変わったか?
【We're Together Again- is a new stereo mix with strings also from a newly recovered 8 track master】
「Do It Again (2012 Stereo Mix)」
セッションテープが紛失という話だったが発見されたのだろか?それとも昨年の「Good Vibration」「I Get Around」のようなExtraction Mixだろうか?
【Do It Again is a true stereo mix made from the recently found 8 track master】
「Susie Cincinnati (2012 Mix)」
「Rock And Roll Music (2012 Mix w/Extra Verse)」
このあたりとなど元々がステレオにもかかわらずリミックス。Boxやベストが出るたびに新しいミックスが増え、買わなきゃならないCDがどんどん増えていく。
《そのほかのレア音源》
「Sound Of Free (Mono Single Version)」
Dennis Wilson and Rumboのシングル「Lady/Sound Of Free」のB面。「Lady」の方は2009年のベスト『Summer Love Songs』にリミックスバージョンが「Fallin' In Love」として収録されていたが、「Sound of Free」はたぶん今回が初CD化(だと思う)。
「It's A Beautiful Day (Single Edit) (2012 Mix)」
1979年の映画『Americathon』サントラより。ビーチボーイズのアルバムとしては1981年の『Ten Years Harmony』以来の収録?。さらに今回は初登場の新ミックス。
「Vega-Tables ("Smile Sessions" Stereo Mix)」
「Wind Chimes ("Smile Sessions" Stereo Mix)」
2011年の『Smile Sessions』よりステレオバージョン。この2曲はLP盤にしか収録されていなかったため、めでたく初CD化。ほかにも「Surf's Up(stereo ver.)」「Good Vibes (SMILE stereo ver.)」「You're Welcome (stereo ver.)」などがLPオンリーだったので、これらも早くCD化されないかなぁ…。
《ライブ音源》
「Summer In Paradise (Wembley 1993) 」
おそらく1997年のコンピレーション『MOM II:』収録のものと同じ。
「Runaway (Chicago 1965 -- w/Concert Promo Intro - Mono)」
「You're So Good To Me (Paris 1966 - Mono)」
「Friends (Chicago 1968 - Mono)
「Little Bird (Chicago 1968 - Mono)」
「Help Me, Rhonda (New Jersey 1972)」
「Wild Honey (New Jersey 1972) 」
「Only With You (New York 1972) 」
「It's About Time (Chicago 1973) 」
「I Can Hear Music (Maryland 1975) 」
60年代後半から70年代のライブ音源が中心。ベストヒット的な近年のライブではあまり取り上げられない、当時ならではリアルタイムの新曲が多い。
【All I Want To Do is complete and contains elements not heard on the mix on the Rarities album】
【Help Me Rhonda features Dennis on the lead vocal】
【Wild Honey features Blondie Chaplin on lead vocal and guitar】
「Wendy (BBC -- Live in the Studio 1964 - Mono)」
「When I Grow Up (To Be A Man) (BBC -- Live in the Studio 1964 - Mono)」
「Hushabye (BBC -- Live in the Studio 1964 - Mono)」
新発見のBBCライブ。
「Vegetables (New York 1993) 」
「Wonderful (New York 1993) 」
『SMiLE』期の2曲。このライブ『GV BOX』発売の時期だったためか、レア曲や普段と違うアレンジが多かった。まるごとCDにならないかな~。
「Sail On Sailor (Louisville 1995) 」
オリジナルのリードは70年代に在籍した黒人ミュージシャンのブロンディ・チャップリン。ブロンディ脱退後は歴代のバックバンドメンバーに歌われたり、2012年の再結成ツアーではブライアンのリードだったが、1995年頃~死の直前である1997年頃はカールのリードだった。ソウルフルで力強いボーカルが魅力。
「All I Want To Do (London 1968)」
『Rarities』で既出
「The Letter (Hawaii Rehearsal 1967)」
「California Girls ("Lei'd In Hawaii" Studio Version)」
「Help You, Rhonda ("Lei'd In Hawaii" Studio Version)」
1967年ら未発表ライブアルバム『Lei'd In Hawaii』用の関連録音。「The Letter」はおそらく1983年の『Rarities』で既出。
「Help You, Rhonda」はもちろん「Help Me Rhonda」のこと(歌詞の"Me"と"You"がすべて入れ替わっている)。
『Lei'd In Hawaii』関連は今までに『GV Box』に「Serfer Girl」、2in1再発シリーズに「Heroes And Villains」「Their Hearts Were Full Of Spring」、『Endles Harmony』に「God Only Knows」、『Hawthorne, CA 』に「Good Vibrations」が収録済み。同時期の『Smiley Smile』にも通ずる、オルガンを中心としたユルめのサウンド。ほかの時期にはない面白いアレンジのものも多いので、どんどん発表されて欲しい。
《ラジオ・スポット》
「Radio Spot "Wonderful KYA" (Mono)」
「Radio Spot "Murray The K" (Mono)」
「Radio Spot (1966 -- Mono)」
「Radio Spot (1964 - Mono)」
アカペラコーラスで局名を歌うジングルはそれなりに面白いのだが、メンバーが話してるだけのRadio Spotは正直あまり期待できるものではない。"Murray The K"などは既出かも。
「Carl Wilson: Coda (2013 Edit)」
『Hawthorne, CA 』収録の「Carl Wilson: Coda」は「Good Vibration」のインストに生前のインタビューを被せたものだったが果たして今回は…。
《既発(と思われる)レア音源》
「Surfin' (with Session Intro - Mono)」
「Their Hearts Were Full Of Spring (Demo - Mono)」
初出は『GV Box』。デビュー前後の初期音源。
「All Dressed Up For School (Mono)」
初出は2in1再発シリーズの『All Summer Long』。1969年のアウトテイク「I Just Got My Pay」(『GV Box』収録)、1972年の『』収録の「」の元曲。
「Heroes And Villains: Part 1 ("Smile Sessions" Mix - Mono)」
「Heroes And Villains: Part 2 ("Smile Sessions" Mix - Mono)」
「The Elements: Fire (Mrs. O'Leary's Cow) ("Smile Sessions" Mix - Mono)」
「Cabin Essence ("Smile Sessions" Mix - Mono)」
「SMiLE Backing Vocals Montage (from "The Smile Sessions")」
2011年の『Smile Sessions』より。
「Fallin' In Love (2009 Stereo Mix)」
初出は『Summer Love Songs』。前述のDennis Wilson and Rumboのシングル「Lady/Sound Of Free」のA面。
「Wild Honey (2012 Stereo Mix)」
「Darlin' (2012 Stereo Mix)」
初出は昨年発売のベスト『50 Big Ones』。『Wild Honey』からのステレオ化。
「Old Man River (Vocal Section)」
「Can't Wait Too Long (A Cappella)」
初出『Hawthorne, CA 』。
「Break Away (Alternate Version)」
「Soulful Old Man Sunshine」
初出『Endles Harmony』。
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こうして全部整理してみると確かに初出音源は60曲以上はありそう。それと感じたことは今回の初出音源は過去の『GV Box』など違い70年代以降のものが多いということ。ヒット曲は60年代に多いが、『Smile Sessions』で60年代音源の発掘がひとくぎりついた今、70年代以降が中心になるのは自然なことかもしれない。
整理を終えたところで、手持ちの音源を聞きながら発売されるのを楽しみに待ちたいと思います(その前に購入資金をどうにかしなければ…)。
それから繰り返しになりますが、これはあくまで、手持ちの音源とネットの情報などを頼りに、自分の想像でまとめたものです。間違いも多いと思います。
(ほぼ書き終わったところで、Brian Wilsonのオフィシャルサイトに一部曲の詳細が掲載されたのに気づきました。それぞれ該当のところに【】で付け足します。)
