実は本当は、自分の中の悲しみを見いだせないまま生きていて。

あおくんが旅立った時、私の中に悲しみはなく、覚悟とありがとうと、本当によく頑張った。という誇らしさしかなかった。

悲しみというものはそこにはなくて。

あおくんの旅立ちに、誇らしさ、清々しささえあった。

だけど、あおくんがいない、あおくんがいない、「あおくんあおくん」、って行き帰りの車の中で叫ぶ日々。

子を亡くした私の悲しみってなんなんだろうって、

私は見つけられずにいてて。

私が悲しみの感情に打ちひしがれない理由は、あおくんと共に過ごした1年4か月8日の中にある。

あおくんの頑張りをそばで見続けることができたこと。

あおくんがいつ旅立つか、いつも覚悟を持っていたこと。

先生から言われる言葉はいつも重くて、でもそれに負けてられない、だけど、受け止めなきゃ、希望はもってる。だけどそれだけじゃだめ。あおくんにとって死ぬ事とは。いやだ、一緒に生きるって決めたでしょう。だけど、あおくんがそうするなら、私はそれを受け止めるから。悲観的に思ったら、あおくんが悲しむじゃない？

とか、本当にずっと思ってきていた。

私の心は、病院や色んな場所では強くいたけど、

本当は受け止めたくない事、「呼吸器を外せない…」等を口にしないといけないときなんかは、それが事実になっちゃいそうで、心が簡単にぽきっと折れそうだった。

「口にする」ってなんて、苦しい事なんだろうって思ってた。

だから口にしなくていいこの場所(ameblo)は、私の心を折る事なく、現実にちゃんと向き合って心の整理ができる場所だった。

私の悲しみはこの1年4か月に詰まっていたんだと思う。

だからいざあおくんが旅立った時、私は受け止める事ができたんだと思う。

しっかり見送れたから。

私はある時から、なんでも意味があるって考えるようになった。

あおくんが私を選んだのも、あおくんが死んだのも。

この人生を歩んだのもあおくんが意味をしっかり持って選んだんだって。

そして私はそのあおくんの親になる、その意味。

全部に意味があって、

あおくんが生きた時間は私は一つずつ、その意味を探す作業。思考をしてきたんだって思う。

そして、あおくんには本当にかけがえのないものをたくさん教えられた。大切な出会いもたくさんくれた。

あおくんからのプレゼント。

私がこの先もしっかり人生を生きるために、かな。

そうだ、私は「しっかりしていないと」

全てに意味があるんだから。

と思う事で、自分を気丈にさせていた。

無理矢理元気に、とか、強がりみたいな心持ちはなんとなく自覚していたけど、

家に帰って、我慢し過ぎてわー！と泣くなんて事はなかった。

だから自分を保ちながら生活できているんです。

今日は「悲しみ」のセミナーを受けてきました。

私にとっての「悲しみ」の理解を深めるために。

誰かの悲しみを知る事で、自分の悲しみを探る。

悲しみを学んだら、強がってきて、見えずにいた私の中の隠された心の声に、気づく事ができるのかなぁと思って。

「月とあざらし」

小川未明さんの絵本。

舞台は遥か北の太陽の当たらない海。

太陽は、陰気な場所を嫌っていて、北の海を照らさなかった。

氷の山の頂上に子どもを失ったあざらしのお母さんが悲しみに打ちひしがれてそこにいる。

あざらしに常に降りかかる冷たい雪と風。

温かみ、明るさのない冷たい、暗い氷山にあざらしのお母さんはただひたすらそこにいて、赤ちゃんが戻ってきてくれるのを待っている。

風があざらしに、自分はこの海をよく知っている。

あなたがどうしてそこにそうやっているのか、分からなかった。あざらしの子どもは今のところ見ていない。どこかに隠れて泣いているのか。見つけたら今度伝えにくるから。だけど、人間の漁が近くでいたから、捕まったしまったかもしれない。それなら、諦めなさい。

とあざらしに言う。あざらしは、子どもを探してくれるという風の言葉を信じて、待つようになった。

だけど、幾度待っても風はもう来ない。

その時、月があざらしを照らすようになった。

月はあざらしに、悲しいか？と聞く。

悲しい、とても悲しいです。とあざらしは月に言う。

月は世の中の悲しい出来事をたくさん見てきた。

月はその哀れなあざらしに、どうか元気になってほしいと、声かけをする。

別の国の楽しい話を聞かせようか。

でもあざらしは、今は自分の子どもに関する話以外は聞きたくないのです、と。

月は、あなたが少しでも元気になれるものを持ってくるからと。月は自分の言ったその言葉を忘れませんでした。

南の国は温かくて、毎日人が陽気に楽しく踊っていました。

その場所に転がっていた太鼓を、月は哀れなあざらしに持っていってやろうと、手を伸ばしました。

北の海には、幾分痩せたそのあざらしが同じ場所に変わらずいました。

月はあざらしに太鼓を届けました。

あざらしがその太鼓を叩く音が、北の海に風の音の合間に聞こえてきました。

と言うお話し。

私は、太陽は明るくて忙しい日常社会であって、私にとっては職場だと感じた。

風は医療従事者だと感じた。風が言ってくれる事に期待する。そしてシビアな事も言う。

そして、月みたいな人に、心が救われる。私にもいる。月みたいな人。

月が1人でもいたら、太陽が照らす社会でしっかりやっていかなきゃって思える。

月みたいな人って、すてきな人だと思う。

セミナーの参加者さんで、絵本を見て聴いて、皆さんの感じた事や解釈を聞かせてもらった。

参加者さんは、子を死産流産で亡くした方。

皆さんの感想は、

小川未明さんって男の人。男性が、子を失った母親の気持ちを絵本に書くという作者さんに目を向けられたご意見や

あざらしの一途な悲しみと、一途な希望をもつ気持ちを感じた。

風は一見優しくみえるけど、風のような言葉で私たち当事者は傷つく。思って言ってくれた事、浅はかな発言に、深く傷つけられる事がある。、

って。

皆さんの解釈の言葉を聞く事で、私が思ってもみなかった事が起こって。

私はすっかり、このあざらしの姿が私と重なった。

あざらしは「子どもを亡くした悲しみに打ちひしがれた存在」と見て聞いていた。

私は、冒頭に書いたけど、私にとってのあおくんの旅立ちは決して「悲しみ」じゃなかったから。

私があざらしだとすれば、風は医療者さん。

先生(医師)を医療を、ただひたすら信じるしかなかったし、

発せられる重たい言葉は、受け止めたくない、そんなことはない、奇跡を信じるとか、受け止めなきゃ、そして前を見なきゃって思っていたあの頃とぴったり重なった。

寒い北の海。あおくんが生き抜いたあの1年4か月間の世界。それは明るい社会(一般)ではなく、そこに知られる事のない太陽が照らさない厳しい世界。

月さんみたいな存在は、amebloにたくさんいてくれてたよね。

身近にもその存在はいてくれています。当事者じゃないけど、私の事を思ってお気持ちを示してくださる方。

そして、太鼓🪘

太鼓を鳴らすあざらしは、少しだけでも悲しみが癒えた。私も、月がくれた太鼓のようないただきものに、癒されています。物、言葉、文字。

北の冷たい海で哀れにそこにいるあざらしと自分を重ねて、涙が出ました。

私の悲しみのカタチ。

あおくんが生まれてきてくれてから、ずっと戦闘モードで前を向くしかなかったから。

自分に起こった現実を「つらいです悲しいです」って言えてきたのかな。

言えてきてなかった気がするな。

悲しさ、希望、優しさ、癒え。

あざらしが負ったその悲しみに触れて、

あざらしの姿を自分に重ねる事ができて、あの時の自分を外から見れたと感じた貴重な時間でした。

絵本ってすごいですね。

小川未明さんって、大人だからこそ見る、聴くと心に響く作者さんなのだそうです。

月とあざらし

すてきな本との出会いでした。

こころに残るおはなし「月とあざらし」　作／小川未明悲しくて辛くてどうしようもない、見兼ねた月が探してきた癒しの物とは？深い悲しみに、偽善ではなく真にそっと寄り添える姿、優しい想いを感じてください。

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　　　　　　　　　　にまっ✨