"大林宣彦監督からの最期のメッセージ"
エンドロールで「大林組」の俳優さんがかなり多数出演されていたのに驚きました
というコピーがチラシにありました。
まさに監督の作品の集大成のような映画でした

コロナ禍で待たされましたが、
絶対映画館で観ようと決めていました
若い頃、大林監督の「尾道三部作」や「廃市」などは見ましたが、
長いこと映画から遠ざかっていたこともあり、後期⁈の作品はご縁がありませんでした
ストーリーです
広島県尾道の海辺にある映画館・瀬戸内キネマが閉館を迎え、その最終日に日本の戦争映画大特集と題したオールナイト興行が行われる。
3人の若者が映画を観ていると劇場に稲妻が走り、閃光が彼らを包むと同時にスクリーンの世界に押し込んでしまう。
戊辰戦争、日中戦争、沖縄戦、原爆投下前夜の広島と上映作品の劇中で描かれる戦争をめぐる中で、三人は桜隊という移動劇団の面々と出会い、史実では原爆の犠牲になってしまう劇団員たちを救おうと手を尽くす。(シネマトゥデイより)
尾道の映画館の話なら、監督の幼い頃の出来事を元に、きっとノスタルジックなムードの作品になってるだろうと予想していました
見終わると……少しイメージは違いました
確かに監督の家族の半生を織り込みながら、映画と関わって行く過程も描かれていましたが、さらりとしたもので
大半は反戦のメッセージです

最初は語り部的な高橋幸宏などが、交代で観客向かってに話しかけ、何やら説明していました
(後から考えると正面のアップは小津安二郎監督のスタイルなのですね)
こういうの、どこかで見た…
古くは筑波の科学万博…そうバブル期に「○○博」があちこちであったっけ
企業の"パビリオン"でよく見た映像だ
夫の仕事の関係でチケット買わされて、母を連れて行ったなぁ
…なんてことを考えていたら少し眠くなりました
青年3人(厚木拓郎 細山田隆人 細田善彦)に託された映画の世界への旅になると、目が覚めました!
戦争映画だけに次々とタイムスリップする3人
タイムスリップして映画の中に入るなんて、「時をかける少女」のまんま
時をかける3人組
それぞれの戦争の悲惨な場面に遭遇して、
歴史を変えられないもどかしさを味わいます
広島で原爆の犠牲になった桜隊との同行は、悲しいお話で
亡くなられた方が「ピカ」は即死「ドーン」を聞いた人は数日生きておられたということ、知りませんでした
私の両親は戦争の話は全くしませんでした。戦後の食糧難の話だけはよく聞きましたが…
今年は戦後75年です
私が中学生の時、8月15日の朝刊一面見出しに「戦後30年」と大きく載っていました
新聞を広げた父が「もう、30年経ったのか…」と呟いたのを覚えています
翌年の夏休みでした
仕事人間の父が急に休みが取れたからと、一度きりの家族旅行に行くことになり、条件が整った広島に決定!
もちろん原爆資料館も行きました
数年前に修学旅行で長崎の原爆資料館に行き、衝撃を受けていた私は、あまり見たくなかったのかもしれません
ほとんど覚えてないのです
もう一度行って、見ておくべき場所だと思いました
大林監督がお元気だったら、桜隊だけの映画も撮って欲しかったです
人は悲しいドラマを見ると、どうしたらこんな思いをしなくて済むか考えるはずですから…
CM出身の監督らしいアート系の映像は独特で楽しいのですが、
3時間もずっと見せられると正直少しくたびれました
それはたぶん私のほうが歳をとってしまったからでしょう
監督は残りの命をかけて、戦争するなーって叫んでいる
そのメッセージは強烈に伝わって来ました
しかし、横尾忠則のイラストのようなコラージュの映像、アニメのような風景の色彩、ヒロイン吉田玲ちゃんの清々しさ、途中に何度も読まれる中原中也の詩までもが
大林監督の独自の世界観はどこか
「カワイイ」のです
これ、今や日本の文化
CM時代から磨かれた監督のセンスの良さ、ファンが多いはずだなぁと納得しました
私はほとんど気がつかなかったですが

本当に尊敬されて、愛された監督だったのですね
"キネマの玉手箱"にはフタが閉まらないほどたくさんの宝ものが入っていました



