あの阿岐本親分が帰ってきた
今野敏、任侠シリーズ第四弾、今度は銭湯だ!?
『 任侠浴場 』
~銭湯には、日本人の大事な思い出が詰まってるんだ~
東京のとある町に事務所を構えるヤクザの親分、阿岐本雄蔵は
困った人をほっとけない上、文化事業好きな性格の困りもの。
そのせいで組員たちは、これまで出版社、高校、病院などの経営
再建に携わる羽目になってきた。
今度の舞台は赤坂の路地裏にある古びた銭湯!
世の中はどんどん世知辛くなって、ヤクザ稼業も楽じゃないが、
阿岐本、代貸の日村はじめ個性的な面々は、銭湯にお客を取り
戻すことができるのか!?
(帯裏文より)
今野敏氏といえばドラマ化された「班長」安積班シリーズなどの
警察ものが多い中で、このシリーズの主役はヤクザの親分。
所謂昔の任侠といったコテコテの義理人情タイプである。
話自体は親分ではなく代貸の日村誠司を通して語られていく。
この代貸の日村、その世界ではなかなかではあるが如何せん
親分に振り回されて気苦労が絶えない苦労人である。
親分を含め僅か6人しかいない阿岐本組が、世間を相手取り
堅気の商売をヤクザとしてでなくまっとうなやり方で再建していく
さまは痛快とも言えよう。
「世の中どんどん厳しくなるが、
それでも捨てちゃいけないもんがある」
このシリーズの一貫したテーマではないかという気がする。
by鬼灯