三国志・水滸伝シリーズに続く北方謙三氏の描く壮大な歴史長編

 

   チンギス紀『火眼』





テムジン(のちのチンギス・カン)の父イェスゲィは、モンゴル族

キャト氏の長でありモンゴルをひとつにまとめるはずだったが、

不意を突かれタタル族に殺害されてしまう、そのときテムジンは

わずか10歳だった。モンゴルの主導権を巡って、同族のタイチ

ウト氏が台頭、弱体化したキャト氏に敵対するようになる。

ある事情から異母弟を討ったテムジンは独り、タイチウト氏を避け

いったん南の地へ向かうのだが・・・・。

(本の帯より)



チンギス・カン又はチンギス・ハン

モンゴル帝国の初代皇帝。

大小様々な集団に分かれてお互いに抗争していたモンゴルの遊牧民

諸部族を一代で統一し、中国・中央アジア・イラン・東ヨーロッパなどを

次々に征服し、最終的には当時の世界人口の半数以上を統治するに

至る人類史上最大規模の世界帝国であるモンゴル帝国の基盤を築き

上げた。

(Wikipediaより)



北方謙三氏の描く歴史小説は相変わらず人物描写がいい。

所謂主役から端役までキャラ設定されて魅力的でありキャラ読み派

の私としては非常に楽しい。

「チンギス・カン」という人物、いろんな逸話や諸説を聞くけれども

私自身はモンゴルの覇者というくらいの知識しかなかったので読んで

いて面白く本の中に引き込まれていった。


この『火眼』では南へと逃げたテムジンが、やがて氏族のもとへと

戻るまでが描かれている。

13歳から14歳になるまでの僅か一年間の逃亡生活。

厳しくも逞しく、そしてテムジンがいろんな覚悟を決める為の時間。

もうねぇ、とてもそんな子供には思えないほど『漢』ですわ。

正直、こんな13歳いないだろ?と現代の私は思ってしまう。

日本でも昔は元服が確か15歳くらいだったと思うのだが、子供で

いられる期間が短いほど生きるに厳しい時代だったとも言えるの

かもしれない。


そしてここでは後に関わるであろう人物や周囲の情勢など伏線が

多々あり物語の本番はこれからと否が応でも期待が高まってくる。


ただひとつの難点といえるのは、名前。

これは水滸伝でも痛感したのだが、人の名前や氏族の名前。

どれがどれだがわからなくなってくる、まして今度はカタカナメイン。

漢字よりはと思っていたが・・・・アカン・・・ごっちゃ満開である。

巻頭に氏族ごとに名前が紹介されてるのがせめてもの救いか。

常ににらめっこしながら読み進むことになるので・・・

時間がかかるんだよ~あせる




by鬼灯