★秋風ToMoYoの戯れ事風味★ 以心伝心小説列伝(>_<)
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小説…さくらの戯れ事日記③

…けれど…美穂りんの失恋の気持ちを慰めるには、ある問題がありました

…それは…

私たち④人のうち、千夏ちゃん以外は男の子と付き合った経験が無いんです…

だから、美穂りんの気持ちが、なんとなくしか分かりません…

「じゅん君との楽しかった記憶が、次から次に想い出されて、どうしても頭から離れない…嫌いになれないよ…」

美穂りんは、体操座りで下を向きながら、小さな声で呟きます…

…さくらは、少し思考を巡らせて…

「美穂りん、難しく考えないで、単純に考えようよ…
大好きだった元彼を忘れられない、嫌いになれないのはさ…
大好きなケーキを食べると体型が崩れるのが分かっていながら、それでも絶対にケーキを忘れられない、嫌いになれないのと一緒だよ…
本能が好きと意識したものを、自分の意思で消し去るなんて絶対に出来ないんだから…
人間は、そんな簡単に割り切れる生物じゃないんだよ…
だから、あまり深く思い詰めて自分を責めないで欲しいな…
彼との楽しかった記憶は、ゆっくりと思い出に変えていけばいいんだから…」

美穂りんも、さくらの言葉に頷いてはいるんだけど、納得している気配は感じられません…

…それはそうだよね…

誰も突っ込まなかったけれど、恋愛経験したことないくせに、知った風なことを言ってるんじゃないよ…と、みんなに思われたかも知れません…

でもさ、慰めの言葉なんて、辞書で調べたって、そんな沢山の種類は出て来ないんだから、恋愛経験があっても無くても、思いつく言葉を並べるしかないじゃない?

さくらが美穂りんの肩を抱きながら、そんな思考を巡らせていると、突然スクッと千夏ちゃんが立ち上がり…

「こんなとこでお酒飲みながらグチグチ言ってるから、いつまでもウジウジ立ち直れないのよ、外出るよ、海行くよッ」

…大きな声で、そう言いました…

…絶対に今の言葉、さくらの母親まで聞こえたと思う…

チューハイを、わざわざバッグに隠してさくらの部屋まで持って来た理由…あなたには分からないんですか…千夏ちゃん…

そう突っ込みたい思いはありましたが、今日は美穂りんの励まし最優先なので、その思いは封印しました

「…そうね、少し酔いが醒めたら海に行きましょ、気分が晴れるかもしれないもんね」

智子ちゃんも、そう言って同意しました

まだ泣き足りない様子の美穂りんでしたが、ハンカチで涙を拭き、烏龍茶を胃に流し込み、海に出かける準備を始めている様子です…

自転車は飲酒してても法律的には問題ないから気軽で安心です

危険なことには変わり無いんですけどね…(笑)

小説…さくらの戯れ事日記②

高校二年の春…

その日、さくらの部屋は暗い雰囲気に包まれていました

原因は、美穂りんの失恋です

さくらと千夏ちゃん、それに直子ちゃんと智子ちゃんの④人は、美穂りんを元気付けようと、チューハイとツマミとお菓子を抱えるほど買い込んで、さくらの家に集合していました

そこで美穂りんは、涙が枯れるまで泣いて、チューハイで涙を補給して、また泣く…それを繰り返し続けていました

さくら達は、交互に声をかけては下がり、次の人が声をかけては下がり…の繰り返しを続けました…

…終着駅は、いつまで経っても見えません…

さくらは、美穂りんには内緒で美穂りんの元彼氏に接触して問い詰めていました…

…どうして、何が原因でさくらの大切な美穂りんを傷付けたの…と…

そこで聞かされた彼の言葉によると、フラれた原因は、美穂りんの彼氏を独占したいという気持ちだったそうです…

普段は淡泊な性格の美穂りんなのですが…

美穂りんの元彼は、ひととおりの経緯と弁明を話した後、俺の話が信用できないのなら…と、携帯のメール履歴と着信履歴を見せてきました

親友のメールを見るなんて出来ないよ…と、最初は断ったんですが…

どうしても彼の話が信用出来ずに、彼の誇大な被害妄想なのではないかと思い…

罪悪感はありましたが、少しだけ読ませていただきました…

ごめんなさいね、美穂りん…

そこには、さくらが知ってる普段の美穂りんとは、まるで別の人格を持った美穂りんがいました

その、あまりのギャップに、さくらは心底驚かされました…

はっきり言って…その独占欲は半端ではありません…

①日平均 100回に及ぶメール、返信が遅ければ電話がかかってくる、だいたい②時間おきに、今、誰と、何処にいるのかの確認のメール、そこから続くメールの無限ループ…

その上、メールのコメントが短いと、素っ気ないよ…とか気持ちが込もってないんだけど…などの批判の嵐…

①日何時間、メールに費やしてるんだ…あんたらは…

さくらは、無言で突っ込みました…

美穂りんには悪いけど…さくらが同じ立場で、相手の彼氏がこんな独占欲の強い性格なら、①日も持たずに拒絶…するかも…しれない…です…

…そこでさくらは、美穂りん復縁の道は断念し、 美穂りんを励ます会を開催したというわけ

小説…さくらの戯れ事日記①

今日は、さくらもシュウちゃんも仕事が休みなので、さくらは昨日から、シュウちゃん家にお泊りしていました

少し大きめのシングルベッドの上で、今、シュウちゃんは安らかに就寝しております…

さくらはその隣で、小さく背伸びしました

現在、朝の八時過ぎ…

シュウちゃんの痩せているけど大きめの体は、さくらがゴロゴロと転がってもびくともしません…

ほんとに気持ち良さそうです…

さくらはシュウちゃんの耳元で、蚊の鳴くような小さな声でささやきます…

『しゅうちゃん、朝だよ…

天気がいいよ…

お腹が空いたよ…

愛してるよ…』

…反応なし…

…仕方ないか…

…う~ん…

…なんか淋しい…

…なんか楽しい事ないかなぁ…

…そうだッ!!…

『エイッ!!!』

しゅうちゃんの体を、両手で思いきり押してみました…

しゅうちゃんのベッドには、手すりが付いていないので、動かすことが出来れば、簡単に落とせます…(笑)

さくらの小さな戯れ…いたずらですけど…何か?

だって、どんな反応するのか無性に見てみたくなったんですもの…m(__)m

それに、確かめたいこともあったし…

ベッドの下には、柔らかいマットが敷いてあるので、痛くはない…はず?

「いってー、なにすんだよ、さくら…」

…やっぱ、柔らかいマットが敷いてあっても、ベッドから落ちたら痛いよね…

…思いつきとはいえ…

…少し反省…

…でも…

「だいじょうぶ?しゅうちゃん、めずらしく寝相が悪かったみたいだねぇ…」

さくらは、とぼけて心配顔をしてみます

「お…お前、今さっき…エイッって言って俺を落としただろッ!!」

さくらの口元が緩みます…

しゅうちゃんは語るに落ちました…

フラグ成立、確定です

「さくらがエイッて声を出したのを覚えてるって事は、やっぱ、しゅうちゃんは狸寝入りしてたんだね…ってことは、さっきのさくらのつぶやきも聞こえてたんでしょ?シカトしたんでしょ?違いますかぁ?」

…はい、みなさんの想像のとおりです…

わざわざ『エイッ』っと掛け声をあげたのは、しゅうちゃんがさくらの声をシカトしてるのか、本当に聞こえてないのかを確かめるためでした…

「…ジョイフル…行くか?」

小さなあくびをしながら、しゅうちゃんが言いました…

ジョイフルは、鹿児島では一番のシェアを誇るファミレスですo(^-^)o

『うん、行く♪』

さくらは嬉しくて、元気に答えます!!

もしかしたら怒ってるかな…

ベッドから落としたのは少しやりすぎだったかな…

…と、多少心配していたので…しゅうちゃんが気にしてない様子を見て、安心して嬉しくなったんですo(^-^)o

さくらが、しゅうちゃんをベッドから落としたのと、しゅうちゃんがさくらのささやきを無視したことは、暗黙の了解で罪の相殺…

…チャラになりました…

こんな感じで、さくらとしゅうちゃんは、毎日、平穏で平凡で幸せな日々を送っております…

…もしかしたら、しゅうちゃんは迷惑なのかもしれないけれど…ね…


さくらは、ある事件をきっかけに、生まれた時の純粋な性格の人格が壊れてしまいました…

それをさらに、自分の意思で徹底的に壊しました…

世の中を甘く見るな、世界は喰うか喰われるかの弱肉強食が主流なんだ…と、自分自身を責め続けて、純粋な人格…愛情に満ちた『少女』を粉々に砕いて封印しました

そして、鬱で自暴自棄な人格が誕生することになります…

その人格は、本当に投げやりな性格で、孤独に思考を巡らせることを好み、警戒心が強く、他人を信じず、世間に何の興味も持たないという、やっかいな人格…漆黒の闇を好む『魔女』です

その後、しゅうちゃんとの出会いで、さくらが砕いて封印していた純粋な『少女』も復活し、自暴自棄な人格の『魔女』の登場も少なくなりました

そのかわり、新しく形成された二種類の人格が顔を出します…

この二種類の新たな人格は、壊れた『少女』の人格を、失望した世界の中で機能させるために作られた人格です…

戯れ事の鋼鎧で身を纏った『猫娘』の人格と…

常識的な解釈のドレスに身を包んだ『妖狐』の人格です

戯れ事を吹いている時は、穏やかだけれど空虚な心の『猫娘』

常識な解釈をしいる時は 、疑心暗鬼で自虐的傾向の心『妖狐』

その『猫娘』の戯れ事と『妖狐』の常識的解釈のおかげで、自分の存在意義を諭され、たまに顔を出すようになった純粋な人格の『少女』と、決して消えることの無い、自暴自棄の人格『魔女』、合計④種類の人格を使い分け、さくらの文章は形成されています…

さくらが、これからお話するのは、今のさくらの眼前に広がっている平穏な世界が、漆黒の闇に包まれて、周囲が何も見えなくなった時期の話…

さくらの『少女』が『魔女』に変質していった頃のお話です…

ちなみに、これは60%が真実で、60%が作り話です…

百分率になってないじゃん…などとは突っ込まないでください…

嘘の中に紛れた真実が10%あり、真実の中に紛れた嘘が10%あると解釈してください…

もちろん、どれが真実でどれが虚偽なのかの説明なんて野暮な真似をするつもりはありません…

…みなさんの想像におまかせします…

まぁ、簡単に言うと、真実と虚偽が50%ずつなんですが…(笑)

…それでは…

さくらの戯れ事日記を披露します…