22時
ゆっくり、ゆっくりと前足を動かし始める。
まるで歩いているかのように。
時折、後ろ足も動く。
目は真っ直ぐ前を見据えている。
小さいけれどフッフッと息を荒くする。
そして「ナオン」と時々一声鳴く。
これは、ここじゃないどこか。
どこかへピーは行ってるんだ。
ゆっくりゆっくり歩いているんだ。
もう、ピーがいなくなってしまうのが分かった。
夫が帰ってくるまで行かないで欲しいけど、ピーは素早いしせっかちだから先に行ってしまうだろう。
ピーが無事に辿り着けるように祈った。
頑張れピーちゃん。
1:12
ニャッ!と大きく一声鳴き、手足を突っ張り硬直させ、口を大きく開け舌を突き出す。
手足の指を目一杯広げ爪を立て、一瞬悶えた後、静かに息を引き取る。
ここじやないどこかに辿り着いたみたいだ。
一生懸命、歩いた。
ピーちゃん、お疲れ様でした。
