G病院で同部屋だった山田さんと、母が何ヶ月ぶりに電話で話をした。山田さんの娘さんは昏睡状態

だったのだが、私たちが転院してすぐに、天国へと召されたそうだ。山田さんのもう1人の娘さんが勤務

しているデパートにたまたま用事があった母が、娘さんの売り場に顔を出し、話ができたのだ。


「母は未だに立ち上がれないんです」


 それを聞いた母は言葉を失くし、2人はしばらく涙していたそうだ。次の日、山田さんご本人が電話を

くれた。お互いに、あれからどうしただろう、と気にかけつつ、それぞれの生活に精一杯だった。


 あのG病院で、生死と隣り合わせだった日々を思い出すと、胸がズキンと痛み、なんとも表現しがた

い悲しみが私を支配する。あのとき一緒だった患者さんたち、そしてそのご家族たちは、今頃どうして

いるのだろう。知りたいような、知りたくないような、複雑な心境だ。


 励ましあい、一緒に闘ったいわば同志たちの、不幸な知らせは聞きたくない。きっと、回復して、

今頃は笑顔で過ごしている、そう思っていたほうがいい。




あの世に行っても、魂は不滅で、愛する人たちをちゃんと見守っている。そんなことを身をもって感じる

毎日だ。
まだ、父がいないことが信じられず、父のいない生活に慣れることもない。父を失った悲しみは大きい
けれど、得るものもたくさんあるはず。


 ハワイ好きだった父の影響で、私はハワイに関する活動をしている。私が子供の頃から外国と縁が

あったのも、自由に好きなことだけをやってこられたのも父のおかげだ。



「アロハオエ、あなたにさようなら。

甘い思い出が私の元へ戻ってきて、過去の記憶が蘇る。

 最愛のあなた、あなたは私のもの。

真実の愛は決して去ることはない」



父の魂は今自由になって、好きなところを飛び回っているだろう。

そして、いつでも私に寄り添ってくれていることだろう。


父のエッセンスは私の中に流れ、永遠に生き続ける。

父が私の中に植えつけてくれた種は、ちょっとずつ成長し、いつか大輪の花を咲かせることだろう。


ありがとう、お父さん。こんなにもたくさんのギフトを与えてくれて本当にありがとう。


今度はいつどこに生まれ変わってくるのかなぁ? 

また会う日まで、ちょっと寂しいけどしばしのお別れ。

来世でもきっと会おうネ!