社さんの言葉は珍しく厳しくて、敦賀さんもその勢いに負けて首を縦に振ってくれた。これで少しは休養してもらえる。そんな安心感を持ってしまった。
その直後、敦賀さんはまた眠ってしまった。今は眠る事が仕事といってもいい時期だろう。社さんと松島主任は病状も落ち着いたし、事務所への報告とスケジュール調整もあるので、後はラブミー部への依頼という事で、私を残して帰られた。
敦賀さんの眠りの妨げにならないように、少し離れた所に置かれたテーブルセットの椅子に腰かけて新しい台本を読んでいた。敦賀さんの目覚める気配に近づくと体が震えている。
「敦賀さん、寒いですか?」と声をかけても震えているだけで返事は返らない。「電気毛布の温度を上げますから、暑くなったら言ってくださいね?」というと、辛うじて首を縦に振ってくれたのが見てとれた。そしてまた敦賀さんは眠ってしまった。
台本を読んでいると「…クッ!」という呻き声で敦賀さんが起きた事に気付いた。
「痛みますか?」と聞くと弱々しく頷かれ、枕元にあったナースコールを取り上げて押した。「すいません。痛みがきついようなのでお願いします。」と伝えると看護師さんが程なく来て下さって、痛み止めのボトルを点滴に足してくださった。
「すぐに楽になりますよ。次は六時間以上後じゃないと使えませんからね。」と説明して部屋を出る看護師さんに頭を下げて時計を確認する。次は4時位まで痛み止めは使えないのね…。
敦賀さんに向き直り「少し水分取りますか?」と聞けばまた弱々しく頷いてくれたので大将が持たせてくれたお水のボトルにストローを指して敦賀さんの口にストローを差し込んだ。敦賀さんはゆっくり一口飲んで、小さな声で「ありがとう」と言ってくれた。掠れたその声がとても痛々しい。私は不安を振り払うように笑顔で「遠慮しないで何でも言ってくださいね。」という。すると神々しい程の笑顔が返ってして驚いてしまった。そして敦賀さんはまた眠りについた。
夜中にまた敦賀さんは目を醒ました。「…くっ」という痛みを堪える呻き声に私の体が弾かれたように跳ね上がる。
「敦賀さん、痛いんですね。ん~、困ったな。まだ痛み止め使えるまで二時間はあるわ。」
「ありがとう、大丈夫、我慢できるから。」
「はい、でも…」
「どうしたの?」
「何か出来る事はないですか?」
「さっきのお水を」
「はい、どうぞ。」
敦賀さんの口許にストローを差し込んだ。
その直後、敦賀さんはまた眠ってしまった。今は眠る事が仕事といってもいい時期だろう。社さんと松島主任は病状も落ち着いたし、事務所への報告とスケジュール調整もあるので、後はラブミー部への依頼という事で、私を残して帰られた。
敦賀さんの眠りの妨げにならないように、少し離れた所に置かれたテーブルセットの椅子に腰かけて新しい台本を読んでいた。敦賀さんの目覚める気配に近づくと体が震えている。
「敦賀さん、寒いですか?」と声をかけても震えているだけで返事は返らない。「電気毛布の温度を上げますから、暑くなったら言ってくださいね?」というと、辛うじて首を縦に振ってくれたのが見てとれた。そしてまた敦賀さんは眠ってしまった。
台本を読んでいると「…クッ!」という呻き声で敦賀さんが起きた事に気付いた。
「痛みますか?」と聞くと弱々しく頷かれ、枕元にあったナースコールを取り上げて押した。「すいません。痛みがきついようなのでお願いします。」と伝えると看護師さんが程なく来て下さって、痛み止めのボトルを点滴に足してくださった。
「すぐに楽になりますよ。次は六時間以上後じゃないと使えませんからね。」と説明して部屋を出る看護師さんに頭を下げて時計を確認する。次は4時位まで痛み止めは使えないのね…。
敦賀さんに向き直り「少し水分取りますか?」と聞けばまた弱々しく頷いてくれたので大将が持たせてくれたお水のボトルにストローを指して敦賀さんの口にストローを差し込んだ。敦賀さんはゆっくり一口飲んで、小さな声で「ありがとう」と言ってくれた。掠れたその声がとても痛々しい。私は不安を振り払うように笑顔で「遠慮しないで何でも言ってくださいね。」という。すると神々しい程の笑顔が返ってして驚いてしまった。そして敦賀さんはまた眠りについた。
夜中にまた敦賀さんは目を醒ました。「…くっ」という痛みを堪える呻き声に私の体が弾かれたように跳ね上がる。
「敦賀さん、痛いんですね。ん~、困ったな。まだ痛み止め使えるまで二時間はあるわ。」
「ありがとう、大丈夫、我慢できるから。」
「はい、でも…」
「どうしたの?」
「何か出来る事はないですか?」
「さっきのお水を」
「はい、どうぞ。」
敦賀さんの口許にストローを差し込んだ。