撮影中****
みのる、上野、まゆみは四回生になり、それぞれ大学に出る機会はかなり少なくなった。みのると上野は起業に向けて本格的に動き始め、まゆみは養父からの見合いの話を断ってから少しずつ『自分探し』をし始めた。
そんな中、上野から『どうしても書類整理が追いつかない』と言われて、二人がオフィスとして借りた部屋に出向いた時にかなり驚かされた。
戸惑いながらインターホンを押して返って来たのは女性の声。扉を開けて出迎えたのは、なんとひとみだった。
「まゆみちゃん、遅いよぉ。もう大変なんだからっ!早く入って!仕事は山ほどあるんだからねっ!」と言いながら既にまゆみの手を掴んで問答無用で部屋の中へまゆみをひっぱり込んでいく。
「えっ、ちょっ、ちょっとひとみちゃん、まって、えっ、なんで?」と動揺しながら廊下を通って広い応接間に連れてこられたまゆみはキョロキョロと辺りを見回す。
広いリビングの奥にはゆったり座れるソファセットが置かれ、みのるが腰かけて書類を見ていた。ひとみに連れられてまゆみが入って来た事に気づいてまゆみに視線を移して「やぁ」と声をかける。
「こ、こんにちは。」とまゆみはぎこちない挨拶になってしまった。
タイミングよく隣の部屋から出てきた上野が「あ、まゆみちゃん来てくれたんだね。まぁ、座ってよ。」とみのるが座るソファの向かい側にまゆみを座らせる。上野はみのるの隣に座ってみのるが手に持っていた書類を取り上げて揃えてテーブルの隅に片付けてしまった。
「まゆみちゃん驚いた?」
「えぇ、ひとみちゃんまでいるし…」
「私も上野くんに頼まれて手伝ってるの。」とひとみはいつの間にか四人分のカップを持って皆の前に置いてまゆみの横にポスンと腰を落とした。
「こいつはこんなだし、俺は割と外回りをするから書類の整理やスケジュール調整がなかなか難しくてね。ひとみちゃんには本当に助けられてるよ。」
「私には…出来る事はないわ…」と俯いてしまうまゆみにひとみが告げる。「私のサポートよ。一人じゃこなしきれないんだもの!」
「まゆみちゃんももう卒論終わってるんだよね?就活もあまり積極的にしてないなら少しの間手伝ってもらえないかなぁ…?」
どこまでも柔らかい口調の上野。視線をみのるに移すがみのるは俯いているので視線が合う事はない。
上野がまゆみの視線に気付いて、肘でみのるの体をつついた。
みのる、上野、まゆみは四回生になり、それぞれ大学に出る機会はかなり少なくなった。みのると上野は起業に向けて本格的に動き始め、まゆみは養父からの見合いの話を断ってから少しずつ『自分探し』をし始めた。
そんな中、上野から『どうしても書類整理が追いつかない』と言われて、二人がオフィスとして借りた部屋に出向いた時にかなり驚かされた。
戸惑いながらインターホンを押して返って来たのは女性の声。扉を開けて出迎えたのは、なんとひとみだった。
「まゆみちゃん、遅いよぉ。もう大変なんだからっ!早く入って!仕事は山ほどあるんだからねっ!」と言いながら既にまゆみの手を掴んで問答無用で部屋の中へまゆみをひっぱり込んでいく。
「えっ、ちょっ、ちょっとひとみちゃん、まって、えっ、なんで?」と動揺しながら廊下を通って広い応接間に連れてこられたまゆみはキョロキョロと辺りを見回す。
広いリビングの奥にはゆったり座れるソファセットが置かれ、みのるが腰かけて書類を見ていた。ひとみに連れられてまゆみが入って来た事に気づいてまゆみに視線を移して「やぁ」と声をかける。
「こ、こんにちは。」とまゆみはぎこちない挨拶になってしまった。
タイミングよく隣の部屋から出てきた上野が「あ、まゆみちゃん来てくれたんだね。まぁ、座ってよ。」とみのるが座るソファの向かい側にまゆみを座らせる。上野はみのるの隣に座ってみのるが手に持っていた書類を取り上げて揃えてテーブルの隅に片付けてしまった。
「まゆみちゃん驚いた?」
「えぇ、ひとみちゃんまでいるし…」
「私も上野くんに頼まれて手伝ってるの。」とひとみはいつの間にか四人分のカップを持って皆の前に置いてまゆみの横にポスンと腰を落とした。
「こいつはこんなだし、俺は割と外回りをするから書類の整理やスケジュール調整がなかなか難しくてね。ひとみちゃんには本当に助けられてるよ。」
「私には…出来る事はないわ…」と俯いてしまうまゆみにひとみが告げる。「私のサポートよ。一人じゃこなしきれないんだもの!」
「まゆみちゃんももう卒論終わってるんだよね?就活もあまり積極的にしてないなら少しの間手伝ってもらえないかなぁ…?」
どこまでも柔らかい口調の上野。視線をみのるに移すがみのるは俯いているので視線が合う事はない。
上野がまゆみの視線に気付いて、肘でみのるの体をつついた。