撮影中****
「佐伯くんって…笑うの下手ね?」
ひとみの独り言のような指摘。だが、聞いたみのる本人は勿論、上野とまゆみまで凍りついた。
「…、そう?」
何とか返事を返して席に着くみのるに「だってちゃんと笑ってないもの?」とひとみは追い討ちをかける。
「まぁまぁ、そのくらいにしてやってくれよ。うちの社長は繊細なんだよ。」と苦笑しながら場を和ませようとする上野と、「ひ、ひとみちゃん、そんな思った事そのまま言葉にしちゃだめよ?」と小声でひとみに抗議するまゆみ。当のひとみは「何が悪いの?」と意に介さない。まゆみはそんなひとみの態度にはらはらしながら上野の方を見るが、上野はいつも通り穏やかだ。その事にちょっとホッとする。
「上野くんも佐伯くんのフォローばっかりしないで、もっと目立てばいいのになぁ?」
「「えっ?」」
さすがにこの台詞には上野もまゆみも驚いた。テーブルに頬杖を突いて独り言のように呟いたひとみは驚いた二人をみて「なに?」と暢気に返す。
上野とまゆみは顔を見合わせてくすくす笑い始めた。みのるは一人取り残されてばつが悪そうに別の所に視線を泳がせていた。
「あはは、そんな事言われたのは初めてだよ!」と凄く嬉しそうに笑う上野と、ひとみの無遠慮な物言いにアタフタするしかないまゆみ。
「私、思った事は口に出すタイプなの。黙ってたら疲れちゃうじゃない?」と悪びれもせずに答えるひとみ。
囲んだテーブルに笑いが戻って、まゆみはほっとした。ひとみの言葉はシンプルで的確で、まゆみ達の心に風を吹き込む。まゆみは以前からひとみのこの奔放さを羨ましく思ってきた。決して真似は出来ない。たまに聞いていて冷や汗が出るくらいの言葉達。だが、彼女の言葉は真っ直ぐ胸に届く。それは彼女の人柄からくるものなのだろうとまゆみは思う。
何かにつけてネガに入るまゆみにとって、ひとみの存在は眩しくてキラキラと輝く光のようだ。まゆみはそこで、自分の目の前には大切な人がこんなにもいるという事を自覚した。それは驚きと幸せを運んできた。そして暖かいかぜがまゆみに吹いた瞬間だった。
「佐伯くんって…笑うの下手ね?」
ひとみの独り言のような指摘。だが、聞いたみのる本人は勿論、上野とまゆみまで凍りついた。
「…、そう?」
何とか返事を返して席に着くみのるに「だってちゃんと笑ってないもの?」とひとみは追い討ちをかける。
「まぁまぁ、そのくらいにしてやってくれよ。うちの社長は繊細なんだよ。」と苦笑しながら場を和ませようとする上野と、「ひ、ひとみちゃん、そんな思った事そのまま言葉にしちゃだめよ?」と小声でひとみに抗議するまゆみ。当のひとみは「何が悪いの?」と意に介さない。まゆみはそんなひとみの態度にはらはらしながら上野の方を見るが、上野はいつも通り穏やかだ。その事にちょっとホッとする。
「上野くんも佐伯くんのフォローばっかりしないで、もっと目立てばいいのになぁ?」
「「えっ?」」
さすがにこの台詞には上野もまゆみも驚いた。テーブルに頬杖を突いて独り言のように呟いたひとみは驚いた二人をみて「なに?」と暢気に返す。
上野とまゆみは顔を見合わせてくすくす笑い始めた。みのるは一人取り残されてばつが悪そうに別の所に視線を泳がせていた。
「あはは、そんな事言われたのは初めてだよ!」と凄く嬉しそうに笑う上野と、ひとみの無遠慮な物言いにアタフタするしかないまゆみ。
「私、思った事は口に出すタイプなの。黙ってたら疲れちゃうじゃない?」と悪びれもせずに答えるひとみ。
囲んだテーブルに笑いが戻って、まゆみはほっとした。ひとみの言葉はシンプルで的確で、まゆみ達の心に風を吹き込む。まゆみは以前からひとみのこの奔放さを羨ましく思ってきた。決して真似は出来ない。たまに聞いていて冷や汗が出るくらいの言葉達。だが、彼女の言葉は真っ直ぐ胸に届く。それは彼女の人柄からくるものなのだろうとまゆみは思う。
何かにつけてネガに入るまゆみにとって、ひとみの存在は眩しくてキラキラと輝く光のようだ。まゆみはそこで、自分の目の前には大切な人がこんなにもいるという事を自覚した。それは驚きと幸せを運んできた。そして暖かいかぜがまゆみに吹いた瞬間だった。