撮影中****
「最近気付いて、今日確信した。」上野が幸せそうな声でそう話す。「…そうか」みのるはなんとか声を絞り出す。まっすぐ前を見たままハンドルを握る手に力が入る。「告白…するのか?」「そうだな。初めて本当に欲しいと思ってるよ。」「…そうか。」
会話が途切れ、居心地の悪さを破ったのは上野。
「俺は遠慮はしない。」車は赤信号で停まる。「俺は遠慮はしない。行動を起こさずに言い訳したりもしない。何より自分の気持ちに嘘はつかない!」上野は隣に座るみのるを睨むほどの強い視線で見つめた。みのるは前を向いたまま「あぁ」と声を出すのがやっと。
「俺は、欲しいものはほしいし、手に入れるために最大限の努力を惜しまない。お前はどうするんだ?」「…えっ?」不意に投げ掛けられた問いかけにみのるは驚く。
「そうやってウジウジしている間にどこの馬の骨かも解らない奴に持ってかれちまうんだよ。それを考えれば俺は優良物件だ。お前だって俺になら安心して巻かせられるだろう?」「……。」「俺達の事応援してくれよ。」「なんで応援しなきゃいけないんだ?」「お前は『大切なものは作らない』んだろ?だからまゆみちゃんにもアプローチしない。」「…あぁ」「なら俺を応援してくれてもいいじゃないか?」「……。」みのるは無言で上野を睨む。が信号が変わったので前に向き直って車を走らせる。
「ふっ、仕方ないなぁ。それじゃあ応援は諦める。」上野は小さく息を吐いて車窓に目を向ける。「あぁ……。」みのるは少しの安堵を感じて相槌を打。
「ただ…」「ただ、なんだ?」
「邪魔はしないでくれっ!」
上野は窓ガラスに映るみのるを見ていた。車を操る恋敵は表情こそ変えていないがこの宣言に心中穏やかではないだろう。上野は右の拳を強く握っていた。
みのるは上野の宣戦布告に何も言い返す事が出来ずにいる。車の運転に意識を集中する事でなんとか自分を保っているような状態だ。隣に座る恋敵の上野が頼もしく思える自分が悔しかった。
上野は「じゃあまた明日」と車を降りた。静かに滑り出すみのるの車を見送って一人呟く。「本当にそれでいいのかよ?」
みのるは上野とのやり取りを思い返していた。上野の言葉は容赦なくみのるに突き刺さっている。上野ならまゆみを幸せに出来るだろうと思いつつもそんな遠くない将来を想像する事すら心が拒否する。そんな自分にため息と笑いしか出てこなかった。
「最近気付いて、今日確信した。」上野が幸せそうな声でそう話す。「…そうか」みのるはなんとか声を絞り出す。まっすぐ前を見たままハンドルを握る手に力が入る。「告白…するのか?」「そうだな。初めて本当に欲しいと思ってるよ。」「…そうか。」
会話が途切れ、居心地の悪さを破ったのは上野。
「俺は遠慮はしない。」車は赤信号で停まる。「俺は遠慮はしない。行動を起こさずに言い訳したりもしない。何より自分の気持ちに嘘はつかない!」上野は隣に座るみのるを睨むほどの強い視線で見つめた。みのるは前を向いたまま「あぁ」と声を出すのがやっと。
「俺は、欲しいものはほしいし、手に入れるために最大限の努力を惜しまない。お前はどうするんだ?」「…えっ?」不意に投げ掛けられた問いかけにみのるは驚く。
「そうやってウジウジしている間にどこの馬の骨かも解らない奴に持ってかれちまうんだよ。それを考えれば俺は優良物件だ。お前だって俺になら安心して巻かせられるだろう?」「……。」「俺達の事応援してくれよ。」「なんで応援しなきゃいけないんだ?」「お前は『大切なものは作らない』んだろ?だからまゆみちゃんにもアプローチしない。」「…あぁ」「なら俺を応援してくれてもいいじゃないか?」「……。」みのるは無言で上野を睨む。が信号が変わったので前に向き直って車を走らせる。
「ふっ、仕方ないなぁ。それじゃあ応援は諦める。」上野は小さく息を吐いて車窓に目を向ける。「あぁ……。」みのるは少しの安堵を感じて相槌を打。
「ただ…」「ただ、なんだ?」
「邪魔はしないでくれっ!」
上野は窓ガラスに映るみのるを見ていた。車を操る恋敵は表情こそ変えていないがこの宣言に心中穏やかではないだろう。上野は右の拳を強く握っていた。
みのるは上野の宣戦布告に何も言い返す事が出来ずにいる。車の運転に意識を集中する事でなんとか自分を保っているような状態だ。隣に座る恋敵の上野が頼もしく思える自分が悔しかった。
上野は「じゃあまた明日」と車を降りた。静かに滑り出すみのるの車を見送って一人呟く。「本当にそれでいいのかよ?」
みのるは上野とのやり取りを思い返していた。上野の言葉は容赦なくみのるに突き刺さっている。上野ならまゆみを幸せに出来るだろうと思いつつもそんな遠くない将来を想像する事すら心が拒否する。そんな自分にため息と笑いしか出てこなかった。