撮影中****
突然現れたみのるにまゆみは驚いたが満面の笑みでみのるを見る。上野はまだ複雑な顔でまゆみの傍に立っている。
「佐伯くん、どうしたの?」
まゆみの疑問にみのるは「用事でこっちに来たんだ。たまたまこの道を通り掛かったら高橋さんによく似た後ろ姿が目に入ってね。ビンゴだったよ。」と答える。「そうなんだぁ、びっくりしちゃった。びっくりといえばね、今日、初めてボウリングをしたの。上野くんって凄く上手なんだよ?」まゆみが視線を上野に向けると「それほどでもないさ。」と上野は謙遜する。「だって上野くんのスコア表には沢山黒い三角があったじゃない?」「あぉ、まぁね。」まゆみ優位の会話。みのるはそれをこれ以上聞いていたくないと思った。
「高橋さん家、この近くだよね。二人とも乗りなよ、送るよ。」と話を遮るように提案する。その提案に二人は素直に従い、上野はまゆみを後部座席に座らせた後助手席に廻って乗り込んだ。まゆみの案内で家の前まで来て、今度はみのるが車を降りて後部座席のまゆみを車から下ろす。上野も車から降りて見送る。
「上野くん、今日はありがとう、楽しかったわ。佐伯くんも送ってくれてありがとう。」
「いや、また時間がある時一緒に遊びにいこうよ。」と上野は返す。それをみのるは横目で睨む。
「うん、また行きたいわ。今度は佐伯くんも一緒に、ね?」とまゆみはいつもの笑顔を向ける。みのるは呼ばれた名前に驚いてハッとまゆみを見る。まゆみの笑顔を直視してしまい、一瞬そのまま固まるが、「あぁ」となんとかぎこちない返事を返す。
「ほら、門限があるんだろ?そろそろ行った方がいいんじゃない?」とどこまでも軽いが柔らかい上野の言葉にまゆみは腕時計を見て「うん、それじゃ、また明日、学校で、ね?」と軽く手を振って家の玄関に向かって歩き出す。その後ろ姿を二人の男が見つめていた。
まゆみが建物の中に姿を消すと上野が小さくため息をついて「俺も送ってくれよ?」と助手席に乗り込む。みのるは「あぁ」と相槌を打って運転席に乗り込むとゆっくり車を走らせた。
車内は緊迫していた。いやに冷たい空気がそこにあった。その私語厳禁状態を破ったのはみのるだった。
「どういうつもりだ?」「なにがだよ?」「高橋さんの事だよ。好き…なのか?」「あぁ、そうみたいだ。」「『みたいだ』って人事みたいだな?」みのるはその言葉に否定の意味をこめるのがやっとだった。
突然現れたみのるにまゆみは驚いたが満面の笑みでみのるを見る。上野はまだ複雑な顔でまゆみの傍に立っている。
「佐伯くん、どうしたの?」
まゆみの疑問にみのるは「用事でこっちに来たんだ。たまたまこの道を通り掛かったら高橋さんによく似た後ろ姿が目に入ってね。ビンゴだったよ。」と答える。「そうなんだぁ、びっくりしちゃった。びっくりといえばね、今日、初めてボウリングをしたの。上野くんって凄く上手なんだよ?」まゆみが視線を上野に向けると「それほどでもないさ。」と上野は謙遜する。「だって上野くんのスコア表には沢山黒い三角があったじゃない?」「あぉ、まぁね。」まゆみ優位の会話。みのるはそれをこれ以上聞いていたくないと思った。
「高橋さん家、この近くだよね。二人とも乗りなよ、送るよ。」と話を遮るように提案する。その提案に二人は素直に従い、上野はまゆみを後部座席に座らせた後助手席に廻って乗り込んだ。まゆみの案内で家の前まで来て、今度はみのるが車を降りて後部座席のまゆみを車から下ろす。上野も車から降りて見送る。
「上野くん、今日はありがとう、楽しかったわ。佐伯くんも送ってくれてありがとう。」
「いや、また時間がある時一緒に遊びにいこうよ。」と上野は返す。それをみのるは横目で睨む。
「うん、また行きたいわ。今度は佐伯くんも一緒に、ね?」とまゆみはいつもの笑顔を向ける。みのるは呼ばれた名前に驚いてハッとまゆみを見る。まゆみの笑顔を直視してしまい、一瞬そのまま固まるが、「あぁ」となんとかぎこちない返事を返す。
「ほら、門限があるんだろ?そろそろ行った方がいいんじゃない?」とどこまでも軽いが柔らかい上野の言葉にまゆみは腕時計を見て「うん、それじゃ、また明日、学校で、ね?」と軽く手を振って家の玄関に向かって歩き出す。その後ろ姿を二人の男が見つめていた。
まゆみが建物の中に姿を消すと上野が小さくため息をついて「俺も送ってくれよ?」と助手席に乗り込む。みのるは「あぁ」と相槌を打って運転席に乗り込むとゆっくり車を走らせた。
車内は緊迫していた。いやに冷たい空気がそこにあった。その私語厳禁状態を破ったのはみのるだった。
「どういうつもりだ?」「なにがだよ?」「高橋さんの事だよ。好き…なのか?」「あぁ、そうみたいだ。」「『みたいだ』って人事みたいだな?」みのるはその言葉に否定の意味をこめるのがやっとだった。