蓮と貴島の掛け合いがテンポよく進むせいでキョーコはまだ挨拶すら出来ずにいた。

「ねぇ、そろそろからかうの止めてくれない?」「だって、みのるも、まゆみちゃんも…からかうと百面相し、てくれるから、面白い、んだもの。」笑いすぎて涙目になりながら貴島が息も絶え絶えに訴える。
「なにそれっ?百面相ってあり得ないわ!」と貴島を睨んでキョーコが口を尖らせる。貴島はその表情に一瞬目を奪われてしまう。蓮がそれを見逃すはずもなく、綺麗な笑顔を張り付けたまま怒りオーラを放ち始める。
蓮の怒りにいち早く気づいたのは勿論キョーコで、慌てて挨拶を始める。
「こ、こんな二人ですが本当に仲がいいんですよ。あ、高橋まゆみ役の京子です。こんな素敵な男性に挟まれて撮影現場はとっても賑やかです。特に、上野くんの自然体な魅力と佐伯くんのちょっと翳のある表情が毎日私をドキドキさせてくれます。これからの展開がすごぉく楽しみです。
「俺って魅力的?」貴島がおどけて言うとキョーコはにっこり笑って「えぇ、凄く!」と答える。「俺って翳あるの?」とちょっと寂しそうに聞く蓮に答えたのは貴島だった。「鼻が高いからかげになってんじゃねぇ?」「な?どういう意味だよ?」と蓮の抗議の声。
「こらっ、またけんかになっちゃうでしょ?」キョーコが慌てて二人の間に入る。「はぁ、仲が良すぎるのも考え物ね。喧嘩ばっかりするんならもぉ口きかないんだからっ!」といってそっぽをむいたキョーコに男二人が慌て始める。「まゆみちゃん、機嫌直そうね?」貴島がキョーコの顔を覗き込むとキョーコはぷいっとそっぽをむく。すると反対側にいた蓮がまたキョーコを覗き込む。「ごめんね、君を取られちゃいそうで、つい(汗)」
キョーコは恥ずかしくなり顔を真っ赤にして俯いてしまった。そしてぐっと顔を上げて蓮を睨んで「知りませんっ!」と言い放つ。
「困ったなぁ、悪ふざけが過ぎたよ、みのる…。」「そうだな、そろそろ真面目に番宣しようか。ね、まゆみちゃん?」
「やっとその気になってくれましたか!」
「「うん。」」
キョーコ「毎週月曜日夜9時」
蓮「君の言い訳、俺の嘘」
貴島「只今好評放映中です。」
蓮「今週はちょっと見所なんだよね。」
キョーコ「えっ、そうなんですか?」
貴島「うん。事件が起こるらしいよ。」
キョーコ「事件って何ですか?」
蓮「それは見たらすぐ解るさ。」
「「「皆さん、お楽しみに!」」」