カメラは動き、敦賀蓮、貴島秀人、京子を映す。
「佐伯みのる役の敦賀蓮です。みのるはなんだか俺に近いような気がします。不器用でかなりへたれですから。だからこそ難しい役どころですが、彼の視線を通して俺たちの年代の等身大の悩みや弱さが表現できればと思います。あ、それから、まゆみちゃんとの恋愛模様にはかなり力入れてますっ!」というと極上スマイルのまま左側に並んでいるキョーコの肩をスッと抱き寄せる。キョーコはとっさの事に対応出来ずに「きゃっ!」と小さな悲鳴を上げて蓮の体にしがみつく格好になる。驚きと羞恥に頬を染めながら上目遣いに睨んでくるキョーコに、蓮はといえばそれを逃がさないように自分の胸に抱え込む。そこに反対側に立つ貴島秀人から抗議の声があがる。
「こらそこっ!いちゃつきすぎなんだよぉっ!本番以外はもう少し離れようとか思わない?」「あれ?上野、いたんだ…。気づいてなかったよ。」蓮は本当に驚いたという顔で貴島を見る。すると貴島は「だめだこりゃ…」という身振りでため息を吐く。しかし気を取り直してカメラに視線を戻す。
「上野和樹役の貴島秀人です。隣の二人がずっとこんな感じなんで毎日あてられちゃって、目のやり場に困っています。俺もまゆみちゃんみたいな可愛いカノジョが欲しいですよ、まったく!」「まゆみちゃんは俺のだからあげないよっ。」ついさっきまでニコニコしていた蓮の視線は急に鋭く貴島を刺す。
「あはは、参ったなぁ、まゆみちゃんには手は出さないよ。俺は自分を大事にしてるし、何よりまゆみちゃんにはみのるしか見えちゃないんだからさ。」痛いほど突き刺さる蓮の視線から逃れるように身を捩りながら貴島は苦笑混じりに返す。
「あの…」と腕の中から控え目に発したキョーコに蓮は「ん?」とまた極上スマイルを炸裂させる。
「離していただけませんか?」「ぃやだ。俺のだから(笑)」また腕の拘束を強める。
「く、苦しいです。みのるくん、離して、お願いっ」小首を傾げてお願いされてしまい、蓮は固まり腕の力が緩む。そのタイミングを逃さず蓮の腕から逃げたキョーコは衣装を整える仕草のあとこう言い放つ。「私は誰のものでもありませんっ!」
その言葉にクリティカルダメージを受けて呆然とする蓮と面白そうに笑う貴島。「みのるくん、ふられてやんのぉ。まゆみちゃん、ナイスリアクションだよ!」貴島はあからさまに意気消沈する蓮の肩を叩きながら笑いを堪える事が出来ない。(つづく)
「佐伯みのる役の敦賀蓮です。みのるはなんだか俺に近いような気がします。不器用でかなりへたれですから。だからこそ難しい役どころですが、彼の視線を通して俺たちの年代の等身大の悩みや弱さが表現できればと思います。あ、それから、まゆみちゃんとの恋愛模様にはかなり力入れてますっ!」というと極上スマイルのまま左側に並んでいるキョーコの肩をスッと抱き寄せる。キョーコはとっさの事に対応出来ずに「きゃっ!」と小さな悲鳴を上げて蓮の体にしがみつく格好になる。驚きと羞恥に頬を染めながら上目遣いに睨んでくるキョーコに、蓮はといえばそれを逃がさないように自分の胸に抱え込む。そこに反対側に立つ貴島秀人から抗議の声があがる。
「こらそこっ!いちゃつきすぎなんだよぉっ!本番以外はもう少し離れようとか思わない?」「あれ?上野、いたんだ…。気づいてなかったよ。」蓮は本当に驚いたという顔で貴島を見る。すると貴島は「だめだこりゃ…」という身振りでため息を吐く。しかし気を取り直してカメラに視線を戻す。
「上野和樹役の貴島秀人です。隣の二人がずっとこんな感じなんで毎日あてられちゃって、目のやり場に困っています。俺もまゆみちゃんみたいな可愛いカノジョが欲しいですよ、まったく!」「まゆみちゃんは俺のだからあげないよっ。」ついさっきまでニコニコしていた蓮の視線は急に鋭く貴島を刺す。
「あはは、参ったなぁ、まゆみちゃんには手は出さないよ。俺は自分を大事にしてるし、何よりまゆみちゃんにはみのるしか見えちゃないんだからさ。」痛いほど突き刺さる蓮の視線から逃れるように身を捩りながら貴島は苦笑混じりに返す。
「あの…」と腕の中から控え目に発したキョーコに蓮は「ん?」とまた極上スマイルを炸裂させる。
「離していただけませんか?」「ぃやだ。俺のだから(笑)」また腕の拘束を強める。
「く、苦しいです。みのるくん、離して、お願いっ」小首を傾げてお願いされてしまい、蓮は固まり腕の力が緩む。そのタイミングを逃さず蓮の腕から逃げたキョーコは衣装を整える仕草のあとこう言い放つ。「私は誰のものでもありませんっ!」
その言葉にクリティカルダメージを受けて呆然とする蓮と面白そうに笑う貴島。「みのるくん、ふられてやんのぉ。まゆみちゃん、ナイスリアクションだよ!」貴島はあからさまに意気消沈する蓮の肩を叩きながら笑いを堪える事が出来ない。(つづく)