「蓮の奴、いい顔をするようになったな。」出演者達と軽い打ち合わせを終えた新開は社に近づきながら声をかけた。「そうですか?ありがとうございます。」と社は返す。「おいおい、俺を見くびるなよな。これでも色んな役者を観て撮って来たんだ。人を見る目は確かだと思うぞ。」新開は社に苦笑しながら抗議する。「すいません。そんなつもりじゃないんですが。」社も苦笑するしかない。「敦賀蓮といえば品行方正な温厚紳士、誰にでも穏やかに接する春の日差しのような人だ。業界一いい男、抱かれたい男No.1。しかし、その反面人に深入りしない。感情を表に出さない。相手に気づかれないようにやんわり距離をとっている。演技以外では人形みたいなもんだった。面白みのない奴だったよ。」「はぁ、重ねてすいません。」「それがどうだ、今の蓮はちゃんと『敦賀蓮』でありながら一歩前に出てちゃんとみんなと向き合ってやがる。いったい何があった?」「いや、最近では事故にあった以外に特に変化はないと思いますよ。」「そうか、それならそれで構わんが、これまでの敦賀蓮に今の等身大の若者らしさが合わされば無敵だよな!」「えぇ、ありがとうございます。」「クスクス、君は相変わらず本題をかわすのが上手だな。君から真相を聞き出すのは難しそうだが、きっと何かあったんだろう?」と新開は社に疑いの視線を送る。社はただ穏やかに笑うだけだった。新開は社を問い詰めるのを早々に諦め、視線を出演者の方にうつす。
「あぁ、なるほど。キョーコちゃんの魔法か…。」新開の声は小さすぎて社は聞き取る事が出来なかった。
「はい?」と聞き返す社に新開は答える。
「ほら、見てみなよ。あそこにみのるとまゆみを地でいってるバカップルがいるぜっ!」
社は驚いて新開の視線を辿った。その先にはキョーコにだけ甘やかな笑顔を送る蓮と、はにかみながらもそれわ真っ正面から受け止めているキョーコの姿があった。二人は今、まさに恋をしていた。
「あぁ、なるほど。キョーコちゃんの魔法か…。」新開の声は小さすぎて社は聞き取る事が出来なかった。
「はい?」と聞き返す社に新開は答える。
「ほら、見てみなよ。あそこにみのるとまゆみを地でいってるバカップルがいるぜっ!」
社は驚いて新開の視線を辿った。その先にはキョーコにだけ甘やかな笑顔を送る蓮と、はにかみながらもそれわ真っ正面から受け止めているキョーコの姿があった。二人は今、まさに恋をしていた。