サイド蓮
「バカ…、大好き」
俺はその可愛い告白に舞い上がる気持ちを抑えて髪を鋤いていた手で彼女の頭を鷲掴みにする。驚いて俺を見上げてくるキョーコちゃん。「目がうさぎさんみたいに真っ赤だよ」と頬を突っついて笑うとぷぅっと突っつかれた頬を膨らませて俺を睨む。そんな顔は危険だと今度しっかり教えてあげなくてはいけないな。
俺は彼女の抗議の目を無視して片手で彼女を抱き上げて立ち上がる。「きゃっ」と小さな悲鳴を上げて俺にしがみつくキョーコちゃん。「下ろしてくださいっ」「いやだ(笑)」「そんな、子供みたいに言わないで下ろしてくださいっ!」彼女はバタバタと暴れだす。
「こらこら、暴れたら危ないよ。君こそ子供みたいに暴れないで?」「もぉっ!敦賀さん、意地悪しないでくださいっ!」「ほら、暴れたら危ないよ。ちゃんと大人しくしなきゃだめじゃないか(笑)」「ど、どこに連れていくんですかっ!」「ん?あぁ、洗面所だよ。そんなに真っ赤に泣き腫らした目のまま眠ってしまったら明日の朝には大変な異になっちゃうよ?」「えっ、あっ、ありがとうございます。でも、自分で歩けますから、下ろしてくださいっ!」「ぃやだっ(クスクス)」
俺はまだ腕の中で暴れるキョーコちゃんを落としてしまわないように抱え直してずんずん洗面所に進む。そしてドレッサーの前でやっと彼女を解放した。
「…ありがとうございます…」
キョーコちゃんは小さな消えそうな声でそう告げる。俺はにっこり笑って彼女の頭をくしゃっと撫でてから「どういたしまして。」と言って洗面所を出た。そしてキッチンに入って氷を小さめに砕いて濡らしたタオルにくるみ、ジップロックのビニール袋に入れてまたタオルでくるんで保冷剤を作った。洗面所から出てきたキョーコちゃんにそれを手渡してソファに促す。キョーコちゃんは促されるままに保冷剤を受け取ってソファに座る。目元にそれをあてがって冷やし始めた。「気持ちいい…」
俺は隣に腰かけてさっきキョーコちゃんから取り上げてテーブルに置いた台本を手に取った。
さっきまでキョーコちゃんはこの台本のせいで泣いていた。何故泣いていたのか聞きたい、でも聞けない…。沈黙は思いの外重かった。
「バカ…、大好き」
俺はその可愛い告白に舞い上がる気持ちを抑えて髪を鋤いていた手で彼女の頭を鷲掴みにする。驚いて俺を見上げてくるキョーコちゃん。「目がうさぎさんみたいに真っ赤だよ」と頬を突っついて笑うとぷぅっと突っつかれた頬を膨らませて俺を睨む。そんな顔は危険だと今度しっかり教えてあげなくてはいけないな。
俺は彼女の抗議の目を無視して片手で彼女を抱き上げて立ち上がる。「きゃっ」と小さな悲鳴を上げて俺にしがみつくキョーコちゃん。「下ろしてくださいっ」「いやだ(笑)」「そんな、子供みたいに言わないで下ろしてくださいっ!」彼女はバタバタと暴れだす。
「こらこら、暴れたら危ないよ。君こそ子供みたいに暴れないで?」「もぉっ!敦賀さん、意地悪しないでくださいっ!」「ほら、暴れたら危ないよ。ちゃんと大人しくしなきゃだめじゃないか(笑)」「ど、どこに連れていくんですかっ!」「ん?あぁ、洗面所だよ。そんなに真っ赤に泣き腫らした目のまま眠ってしまったら明日の朝には大変な異になっちゃうよ?」「えっ、あっ、ありがとうございます。でも、自分で歩けますから、下ろしてくださいっ!」「ぃやだっ(クスクス)」
俺はまだ腕の中で暴れるキョーコちゃんを落としてしまわないように抱え直してずんずん洗面所に進む。そしてドレッサーの前でやっと彼女を解放した。
「…ありがとうございます…」
キョーコちゃんは小さな消えそうな声でそう告げる。俺はにっこり笑って彼女の頭をくしゃっと撫でてから「どういたしまして。」と言って洗面所を出た。そしてキッチンに入って氷を小さめに砕いて濡らしたタオルにくるみ、ジップロックのビニール袋に入れてまたタオルでくるんで保冷剤を作った。洗面所から出てきたキョーコちゃんにそれを手渡してソファに促す。キョーコちゃんは促されるままに保冷剤を受け取ってソファに座る。目元にそれをあてがって冷やし始めた。「気持ちいい…」
俺は隣に腰かけてさっきキョーコちゃんから取り上げてテーブルに置いた台本を手に取った。
さっきまでキョーコちゃんはこの台本のせいで泣いていた。何故泣いていたのか聞きたい、でも聞けない…。沈黙は思いの外重かった。