『この度は私こと敦賀蓮と隣におります京子の事故と療養につきましてご心配とご迷惑をおかけしました事を心よりお詫び申し上げます。』

記者会見の壇上ですっと立ち上がり、蓮はそう挨拶すると隣のキョーコ、二人を挟むようにして立つ椹、松島共々深々と頭を下げた。フラッシュの光の嵐。こうして、復帰最初の仕事は記者会見から始まった。

『それではみなさんからの質問を受け付けます。今回敦賀、京子は復帰はしておりますが本日が最初の活動となりますので、お手柔らかにお願い出来れば幸いです。』司会者がそういうと一斉に質問の手が上がる。

記『お二人の体調についてですが、もう万全と判断させていただいてよろしいですか?』
蓮『はい。外傷などは特にありませんでしたし、ただ、やはりいくつかの検査と様子観察をと医師の方から指示されていましたので、一週間のお休みを頂きました。』
記『では、活動の方はフル稼働という事ですね。』
蓮『はい、この一週間ご迷惑をおかけしましたので今まで以上に励みたいと考えています。』
記『京子さんはいかがですか?』
キョ『はい、敦賀さん同様、精一杯お仕事させて頂きたいです。』
記『ところで、事故の話ですが、停車中にトラックに追突されたと伺ってますが、詳細について聞かせていただけますか?』
蓮『はい。トラックの運転手の方は急病で俺の車にぶつかる形で停車したそうです。当初運転手の方も意識が無かったそうですが、今は病院で快方に向かっていると伺いまして、俺も安心しています。』
記『敦賀さんは事故当時の事を覚えておられますか?』
蓮『はい、まだはっきりとは思い出せないんです。サービスエリアで休憩と飲み物を買おうと車を止めて、その後強い衝撃をうけて。その次は病院の天井でした。』
記『京子さんはいかがですか?』
キョ『はい、私もあまりはっきり覚えてなくて…。凄く強い衝撃を受けて…、次に気づいたら病院のベッドの上でした。』
二人とも事故の状況を覚えていないと項垂れる姿にフラッシュの嵐は激しくない、記者達はあちこちから質問を投げ掛ける。
記『事故当日お二人はオフでしたよね?どこへ向かってらしたんですか?』
記者はここからが聞きたい訳だ。フラッシュの嵐はまた激しくなる。

ここからが記者との駆け引きだ。