その夜、キョーコは蓮のベッドの中にいた。二人で寝転んでも広々としたキングサイズのベッドで、二人は小さく丸まって眠る。幼い兄妹がそうするように、一緒に眠る事が二人にとって自然な事だった。
蓮が目覚めた時、蓮の周りは真っ白で酷く無機質だった。自分自身の存在さえもよく解らない。ただ白いだけな空間にぽつんと蓮は存在した。それが、キョーコを見た瞬間に蓮の世界に色があるという事を実感した。キョーコの存在は蓮に温もりを与え、蓮の世界を総天然色にしていった。
キョーコが目覚めた時、最初に見たのは蓮の顔だった。その端整な顔は当たり前のようにそこにあって、キョーコの世界はそこから始まった。
二人にとっての出会い、それは現実には三度目の出会いになるが、二人にとっては世界の始まりであり、二人の歩みはそこから始まった。だから、二人が一緒にいるのは至極当たり前の事。まるでエデンのアダムとイブの如く二人の時間は永遠で幸せなもの。ここが本当にエデンなら、世界が二人のためだけにあるのなら、そのまま幸せな時間はゆっくりと流れ、二人で穏やかな日々を過ごせるだろう。
ここには二人を誘惑する蛇も居なければ禁断の果実もない。二人にとって小さく唯一の世界。エデンなのだから。
だが、ここは日本で、この世界には40億人以上の人がひしめき合っている。二人は蛇に誘惑されたりしていない。ましてや禁断の果実を口にしてもいない。しかし、今いる聖地、エデンが如く安全な場所から出ていかなければならない。追い出されるのではなく自分の意思て。そして、自分のあるべき姿を、居るべき場所を見つけ出さなければならない。自分の手で。準備は何もない。あるのは自分の身体と心。お互いを確かめ合う事のできる確かな存在。そしていつでも帰れる拠点としてのエデン。一歩外に踏み出す瞬間は既に間近に迫っている。
蓮が目覚めた時、蓮の周りは真っ白で酷く無機質だった。自分自身の存在さえもよく解らない。ただ白いだけな空間にぽつんと蓮は存在した。それが、キョーコを見た瞬間に蓮の世界に色があるという事を実感した。キョーコの存在は蓮に温もりを与え、蓮の世界を総天然色にしていった。
キョーコが目覚めた時、最初に見たのは蓮の顔だった。その端整な顔は当たり前のようにそこにあって、キョーコの世界はそこから始まった。
二人にとっての出会い、それは現実には三度目の出会いになるが、二人にとっては世界の始まりであり、二人の歩みはそこから始まった。だから、二人が一緒にいるのは至極当たり前の事。まるでエデンのアダムとイブの如く二人の時間は永遠で幸せなもの。ここが本当にエデンなら、世界が二人のためだけにあるのなら、そのまま幸せな時間はゆっくりと流れ、二人で穏やかな日々を過ごせるだろう。
ここには二人を誘惑する蛇も居なければ禁断の果実もない。二人にとって小さく唯一の世界。エデンなのだから。
だが、ここは日本で、この世界には40億人以上の人がひしめき合っている。二人は蛇に誘惑されたりしていない。ましてや禁断の果実を口にしてもいない。しかし、今いる聖地、エデンが如く安全な場所から出ていかなければならない。追い出されるのではなく自分の意思て。そして、自分のあるべき姿を、居るべき場所を見つけ出さなければならない。自分の手で。準備は何もない。あるのは自分の身体と心。お互いを確かめ合う事のできる確かな存在。そしていつでも帰れる拠点としてのエデン。一歩外に踏み出す瞬間は既に間近に迫っている。