『あの、汗かかれたでしょうから、お着替えになりますか?』
さすが彼女だ。ちゃんと俺の着替えがテーブルの端に置いてある。

『ありがとう。軽くシャワーあびてくるよ。いつかみたく風邪って訳ではないみたいだよ。過労でオーバービートしたっぽいから。だいぶしっかり休めたみたいだからもう大丈夫。心配させてすまなかったね、色々ありがとう。』
そういう俺にまだ心配そうな視線を向けながら、『それならシャワーの後に喉ごしのいいものをご用意しておきますね。』とニッコリ笑いかけてくれる彼女。実はさ、その笑顔だけで俺の疲れなんてどっかに飛んでいってしまうんだって事、君は気づいていないんだろうな。

バスルームから出ると俺のための軽食が用意されていた。喉ごしのいいあっさりしたスープは俺の体に幸せを運んでくれる。彼女はキッチンで夕食とその後の何食分かの料理を用意してくれているらしい。
食べ終わって空になった食器をキッチンまで持っていくと、『あ、ありがとうございます。置いておいて下さればよかったのに。』と笑顔で俺から食器を受け取り、もう既にほとんど片付け終わったシンクに置いて洗い始める。その姿をながめながら(いい奥さんになるよなぁ)と考えていたら彼女が驚いた顔で俺を凝視しているのに気づく。