ホワイトデー 4テーブルの上に右手を差し出すと、敦賀さんはその手を左手で下から受け取り、右手でジャケットのポケットを探ってから私の手の上に重ねた。私は敦賀さんの大きな手の暖かさに安心しながらも、敦賀さんの優しくも切なそうな表情に戸惑ってしまう。このドキドキは不意に手を握られて驚いたからだと自分に言い訳していると、私の右手に何かを握られて敦賀さんの両手が離れていった。支えと温もりを失った私の右手は凄く小さく見えて、寂しさを感じる。でも、そこには私の掌ほどの大きさのものが握らされていた。