買い物 3

お店を出るともう夜の街並みで、敦賀さんはさりげなく時計を確認してこちらへ振り向いた。
『何か食べて帰ろうか？』と神々スマイル。ま、眩しすぎる（汗）
一瞬目を背けると周りの気温が2℃は下がったようなひんやりした空気が敦賀さんから流れてくる。
『ひぃっ！』と怯える私に敦賀さんはクスッと笑った。なんだか思いっきりからかってらっしゃいますね？!?
『近くにハンバーグの美味しいお店があるって聞いたんだ。一緒に行ってくださいますか、お嬢さん？』
そう言いながら然り気無くエスコートする。私はされるがままに歩き出し、そのハンバーグの美味しいお店に入った。
いつものように最近のお仕事の事や他愛ない会話で楽しい時間は流れていく。この人は本当に素敵な人だなぁと思いながら、敦賀さんの仕草や言葉にドギマギしてしまう私。この人と長い時間一緒にいたら心臓がいくつあってもたりないと思う。危険だって頭の奥で警報が鳴り響いているのに気づかないふりをしてしまう私は、もうすでに敦賀さんに恋してしまっているのだろう。叶わない、届かない気持だって判ってるのに止められない私は、それでも、この一時を大事にしたくて、今だけは夢を見させてほしいと祈りながら敦賀さんのそばで同じ時を過ごせる幸せを実感していた。