WOWOWオンデマンドにて
5月27日まで
収録日・収録場所
出演
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高畑充希
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成田凌
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小池栄子
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伊藤万理華
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池津祥子
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後藤剛範
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小日向星一
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八十田勇一
〈ミュージシャン〉
バイオリン:磯部舞子
ヴィオラ:島岡万理子
チェロ:松尾佳奈
ピアノ:大谷愛
スタッフ
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作・演出
根本宗子
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衣裳
神田恵介(keisuke kanda)
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テーマ曲
「青春の続き」/高畑充希 作詞作編曲:椎名林檎
作演出の根本宗子は中村勘九郎の幼馴染という素地がかなり強力なんでしょう
2009年の劇団旗揚げから現在に至るまで、2016年『夏果て幸せの果て』が第60回岸田國士戯曲賞最終候補、その後も2019年『愛犬ポリーの死、そして家族の話』、2020年『クラッシャー女中』、2021年『もっとも大いなる愛へ』が最終候補になるものの、2022年のSNSミュージカル作品「20歳の花」が、第25回文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門で新人賞受賞というのが今のところ唯一の受賞歴です
もちろん何とか賞の受賞が評価のすべてではありませんけどもね
一幕での不可思議なやりとりのすべてが二幕で紐解かれていく展開です
幕開けからずっと大量のセリフをそれなりのスピードをもって間髪入れず俳優たちが畳みかけていきます
更に時計に見立てられた回り舞台が時を刻むように回り続けます
この間断なく続くセリフと動き続ける舞台とがわたしにはだいぶうるさかったです
仕立てと仕掛けとをみていくお芝居なので心理的な表現は選択されません
けれど同じ場面同じセリフを何度も繰り返すことが決まっているがために最初から表現が抑えられていてほとんどのセリフに発見と新鮮味がなく聞くのにストレスがあります
そして間断ないセリフの応酬が優先され相手役のセリフを受け取る人がいません
全ての演技が仕掛けのために貢献し消耗されていきます
二幕になるとその仕立てと仕掛けとが紐解かれていくのでどうしてそうしていたのかはわかります
たった一つの要素が加わっただけで丸っきり違う意味に見てくるお芝居を一度に二回みられるわけですから
高畑充希の相手役成田凌演じるのが「聞いてもまともに答えない」人物なんですね
心の内を言葉にせず彼女の言ってほしいことを言わず遂には自分の本心を理解できてないないっていう人物
この人物が舞台全体を不可解にしているとわたしは思いました
相手のセリフに心を動かされてもいませんし相手のセリフに答えてもいません
言葉の上では会話ではあっても目の前のたった今発せられた言葉に反応してはいません
なので成田凌の役が説得力を持って見えてこないんです
だからなぜ彼だけ本質を反らして回答していると断定できるのかわかりませんし心の内を言わないことにもう一つ仕掛けでもあるのかと勘繰りましたがありませんでした
心理的な表現が選択はされないけれど裏うちれた本心がラストに向けて言葉として表れていきます
涙ながらのセリフもありますし伊藤万理華は演じている役のことがよく伝わってとてもよかったです
作演出家は何故「舞台上で誰ともやり取りしない役」を登場させる脚本を描きながら舞台上の他の俳優たちに心の交流を要求していないのでしょうか
自分で書き上げたものを自分で潰す演出している理由が全くわかりません
高畑充希の役も結局求めるだけで自分の側は歩み寄ってはいないんです
実際めちゃくちゃ大きな目に遭うのは彼女なのにそのことを通じて出来るようになったのはさらけ出すことだけで人としての成長は歌う内容の中にしか見られないんですね
いつも同じところで足踏みしてだんだん沈んで行っている人生から一歩前にでたわけですから
舞台上では一切事が起こってないんですよね高畑充希の身には
せっかく目の前で舞台上で動き話す俳優たちと同じ時間を共にしていながらわたしたちに与えられるのは種明かしだけ
眉間にしわが寄ってうーんと考え込んでしまうだけでした
テレビで見る人が目の前にいる好きな人の息遣いと汗が見られる
それだけが舞台演劇の魅力と言われているようでがっくりしています
高畑充希の歌はよくわからないがなりが気になりました
こちらの温度まで上がるような体験を今目の前でことが起きてそれを出演者とともに経験し代わりに泣き代わりに笑いたい
まるで自分のことのようにそのことに浸って洗われて劇場をできるときにはすっかり別人になっていたい
違う世界を通って元居る世界に戻っても体験の後では違うように見えるそんな時間を過ごしたい
まさに「宝飾時計」の舞台上で見せたことをわたしに与えてほしい