排出量取引―世界標準をリードしたい
世界共通の課題となっている脱温暖化をめぐって産業界に変化が出てきた。
反対論が強かった二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出量取引を始めるかどうか議論してもいい、と言い出したのだ。
排出量取引とは企業などに排出枠を割り当て、枠が余れば売り、不足すれば買うことができる制度である。
政府は、産業界の代表も交えた「地球温暖化問題に関する懇談会」をつくり、3月から会合を開く。この問題が最大の焦点となるのはまちがいない。
産業界が方針を転換したことを歓迎したい。CO2を、ただで大量に出せる時代は終わりつつあるからだ。
背景には、人間の活動による温暖化の深刻さを指摘した科学研究がある。昨年ノーベル平和賞を受けた「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の報告だ。脱温暖化は、紛争抑止と並ぶ安全保障上のテーマとなった。
排出量取引は人間が考え出したなかなか柔軟な制度である。CO2は人が生きている限り出すことを避けられない。だから、一定の枠を超えても罰するのではなく、売買で解決しようという知恵だ。
やり方には、さまざまある。
一つは、排出枠を工場や発電所などの排出源に割り当てる方式だ。もう一つは、枠を燃料流通の上流である石油元売り業者などに配分する方式だ。
割り当ての方法も、排出実績などをもとに無償で配る方法と、競売で買わせる方法がある。
工場などへ無償配分する場合、割り当てを適正にしないと、すでに排出を減らした企業が不利になったり、削減努力なしに枠が売られたりする心配がある。
05年に始まった欧州連合の排出量取引は排出源方式で、大半が無償割り当てだ。だが、欠点が明らかになって、13年以降は競売を大幅にふやす案が検討されている。
排出量取引への機運が議会や州レベルで高まっている米国では、一部で上流方式をとる案が出ている。これは元栓のところで排出量に枠をはめることができるが、排出企業が枠をにらみつつ省エネに努めるという状況はつくれない。
いま排出量取引は、欧州から世界に広がろうとしている。大切なのは、これらの長短を比べて公平で効果的な方式を見いだすことだ。
福田首相はこの1月、日本も排出削減の数値目標を掲げることを宣言した。地球全体の排出削減目標を、国に分配することには同意したことになる。
次は、これを産業界に分配し、それぞれの企業が目標に向けて努力する仕組みをつくるときだろう。
どのような制度にするのか、具体的な設計は早ければ早いほどよい。それを世界標準に反映できるからだ。
日本が脱温暖化の環境戦略で存在感を高める好機である。
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二酸化炭素の売買か・・確かにすばらしい制度ゃぁ![]()







