コース7日目。
いつも通りのスケジュールで瞑想をしていた。
すると突然、元夫とのいざこざが走馬灯のように脳裏を駆け抜けはじめた。
すっかり忘れていた小さなことが、たくさん蘇ってきた。
瞑想に集中しなきゃ!と思いながらも、走馬灯は止まらない。
それを見つめながら、じわじわと涙が溢れでる。
その瞬間、胸腺からボロっと何かが外れたような感覚があった。
それは、彼との別れを決意した時から抱え込んできた罪悪感だった。
でもそれは、わたしの自己満の上での罪悪感であって、言い換えれば執着心だと気づいた。
この執着のエネルギーを、わたしは彼に送り続けていたんだ。
別れてからは彼の幸せを心から願えるようになっていたのに、こんなに重たいエネルギーを同時に送りつけていたなんて。
そのことに気づいたら、呼吸がとてもラクになった。
というか、今まで呼吸が苦しかったことがわかった。

これからは彼が幸せに生きてることだけを祈れば良いんだ。

素晴らしい気づきを得ることができた。



そして、その晩。
一日を終えてへとへとになってベッドに倒れこんだ。
周りでは、まだみんな寝る準備をしていて、たくさんの物音がしていた。
そんな中、男性がひとり部屋に入ってきた。
私は目を閉じていながら、その光景を見てる不思議な体験だった。
四角い顔に角刈り。
黒縁の眼鏡。
歳は30代半ばくらいだけど、古い時代感があり、ずいぶんと歳上のように思えた。

この人は、この世の人ではないな。

これは、いわゆる周波数が重なってしまっている状態なんだよね⁈
チャンネルを変えなきゃ‼︎
でも変え方がわからない。

そうこうしてるうちに、私が彼に気がついていることに気づかれてしまった。

その瞬間、右脇腹に激痛がはしった。

ヤバいよー。

その時、昨年の夏に一度だけお会いしたヒーラーさんを思い出した。
彼女は、この世に止まっている魂を天へお送りしてると言ってた。
尊い魂に対して、除霊なんておこがましい話で、昇華のお手伝いをするのが本来のかたちだそうだ。
それを思い出せたことで、彼の魂をピカピカに磨くことを思いついた。
その瞬間、「高林」という文字が脳裏に浮かんだ。

この人、高林さんていうのかな。

高林さん、ピカピカだよ!
いいね~‼︎めっちゃピカピカ!

そんなことをイメージしてたら、敷地内の木の下で、体育座りで微笑んでる高林さんのイメージが浮かんできた。

その瞬間、わたしは眠りに落ちた。
今となっては、この体験が夢か現実かはわからない。

9日目。
聖なる沈黙が解けた。
あまりにもあっさりとしていて、話をして良いのかよくわからなかった。
ホールの外から男性陣の楽しそうな声が聞こえてくる。
とりあえず、トイレ棟へ移動してみた。

ホールの外はとても眩しくて、サングラスをかけて歩いた。
久しぶりに人と会話することに、今までにない緊張感が全身を支配する。
トイレ棟の付近で、数人の人が楽しそうに会話していた。
わたしは、ひとりで立っている方に、「お疲れ様でした」と声をかけた。
にこやかに、「お疲れ様でした。」と、返ってきた。

本当に話して良いんだ。

部屋に戻ると、3人の方が各々のベッドの上でくつろいでいた。
ひとりひとりに、「お疲れ様でした!」と声をかけた。
そしたら、「話しかけてくれてありがとう。」と言われた。
その瞬間、汗と笑いと涙が同時に溢れた。
こんなにも人と話さなかったのは生まれて初めてで、身体が示した反応も初めてのもので、びっくりした。

その後は、名前を知らない仲間たちといっぱい話した。
めちゃめちゃ仲良くなれた。
嬉しかった。

会話をすると、みんな全く印象が違かった。
今までの無表情と違い、みんな笑顔。
笑った顔の方が、全員150倍増でキュートだった。



そして、あっという間に10日コースは終了。
帰宅の準備をして、食堂で食事をしてから奉仕者の方々からお話を聞き、掃除など分担で行った。
わたしはスリッパと長靴を洗った。
帰りたくない気持ちがとてもに大きくて、泣きたくなった。

そしたら、心と身体が離れ離れになるような、なんとも説明し難い感覚を感じた。

ヴィパッサナーでは、不思議な初めて体験が多い。


終了してから、あっという間にひと月以上経ってしまったが、今までとは何かが変わったことを実感してる。

その何かが何なのかを説明できるのは、まだ先になりそう。

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