こんにちは、mihaです。

 

前回はゲームによる悪影響で不幸になってしまう、、、かもしれないという話をしました。

今回はそのようにならないためにはどうすればいいのか?という話をします。

 

少し長くなるかもしれない、難しい単語がでるかもしれない。

分かりやすくなるよう善処しますがある程度はご愛嬌ということで。

 

 

それではまず結論から言うと老化と同様にゲームは脳を縮小し劣化させます。記憶力や注意力、意欲の低下が生じゲーム以外の意欲が薄れます。劣化による負のスパイラルで将来認知症にもかかりやすくなるでしょう。

「え、自分はもう既に手遅れかも?」

という方もいるかもしれませんが一方で脳は回復することが分かっています。それも急速に。

 

端的に話すと

20年も前から「思考に使う回路と筋肉に使う回路は同じである」という事と「筋肉を動かし心拍数を上げることで記憶力や認知能力が改善する」という2点がいくつもの文献により明らかになり、その結論は今でも覆っていません。筋肉の収縮により心拍数が上昇しいくつかのホルモンが分泌され、それが脳細胞を活性化させ脳内のニューロンに働きかける事で脳機能を向上させるという訳です。つまるところ脳の回復を促すものは怪しげな概念や勉強ではなく運動なのです。

 

しかも皆さんが危惧するような1時間もマラソンするであったり短距離走を繰り返すとかでなく、1日に30分室内でする運動で大丈夫なのです。

 

 

さて、ここからどういった原理なのか詳しく解説していきましょう。

人がゲームをしている時、その人の頭の中では何が起きているのでしょうか?

 

ストレスというのは非常に広義な意味を持つ言葉です。例えば歩いている時に足へストレスかかるんだよね、というような意味であったり職場の上司がしんどくてストレスかかるんだよね、であったり。私たちは様々な状況に応じてストレスという意味を分けて使いがちですが脳は違います。脳はストレスの種類や、その善悪さえも区別しないのです。つまり体へのストレスも心へのストレスも、どのような刺激も脳は同じ電気信号として処理するのです。

 

これがゲーマーにとってどういう意味を指すのか。

極端な例で言うと虎と出くわし命の危機に瀕した脳とゲームで興奮状態になった脳の反応は同じだということです。つまりゲームで興奮しているとき脳は命に危機が迫っていると感じ、生存の為に緊急事態宣言を出すわけです。

(興奮とは例えば悔しいイライラする、など強い感情のことを指します)

 

より詳しく言うとまず命の危機にあると認識した脳はノルアドレナリンやドーパミンを分泌し心拍数を速くし、呼吸を浅くすることで脳への血流を増加させます。また同時に警報センサーである扁桃体を活性化させコルチゾールと呼ばれるストレス作用ホルモンの濃度を高める事で目の前のことに対しての注意力と記憶力を奮い立たせるのです。

 

この機能は自然界であれば有用です。危機に対してより集中力を高めその状況を記憶することは狩猟採集時代であれば生存に必要な進化だと言えるでしょう。しかし私たちの生活は大きく変化しました。遺伝子は狩猟採集時代のままにも関わらず。

このギャップが脳の低下を招きます。ゲームで興奮すると脳は命に危機が迫っていると誤認します。通常コルチゾールは記憶を促しますが逆に高濃度では生存に必要な情報以外は全てカットすることが分かっています。つまりゲームで興奮すると別に命に危険があるわけじゃないのにコルチゾールが大量に分泌されニューロンを蝕み続けるのです。この働きが長時間続くとどうなるでしょう?

 

外部から長時間遮断された脳内のニューロンは不要なものとして死滅し海馬は縮小します。海馬が縮小すると記憶力や注意力が低下し認識能力にも影響が出ることで理性的な判断ができなくなります。つまりゲームにより感情のコントロール力が衰えるのは理性を担う海馬の機能が低下し警報を鳴らし続ける扁桃体からの情報をうまく処理できないためです。

 

さらに悪い事に興奮により得られたノルアドレナリンやドーパミンは脳の報酬中枢を刺激します。例えば人間はカロリーの高いものを食べると報酬中枢が刺激され美味しいと認識します。これは本来であれば常に飢餓状態であった狩猟採集時代を生き抜くための進化であり、高カロリーな食物を探すためのモチベーションに繋がるものでした。

 

しかしゲームにより刺激された報酬中枢は生存本能からさらなるドーパミンを求めて記憶を探り実行に移すよう指令を出します。つまり脳が体にゲームをするよう促すのです。これがゲーム依存の原理であり、モルヒネやコカインといった薬物依存の原理でもあります。薬物依存はゲームとは比較にならないほどの強烈なドーパミン分泌により報酬中枢と記憶にそれを刻み込むため厳密には違いますが報酬中枢が暴走し理性的判断を欠く、という意味では同じです。

 

ここまでの話で長時間のストレスはコルチゾールがニューロンを蝕みニューロン同士の接続を分断することが分かりました。それに伴い海馬機能を著しく低下することで精神的に不安定になり理性的な判断力も衰えます。そして過剰なドーパミンによる報酬中枢の暴走でゲーム以外を魅力的に感じる事もできなくなり他人や物事に関心が示せなくなるのです。

 

こうして頭の悪いゲーマーが誕生します。

本来ニューロンというのは筋肉と同じで使って傷ついても時間を置けば回復するものです。しかし連日ゲームをし、連日ストレスを感じるとニューロンの回復が間に合わず脳は劣化の一途を辿ります。

 

さて非常に暗い話を続けてきましたがここからは明るい話です。

 

「コルチゾールが悪さをするならゲーム自体ストレスが絶えないしやめるしか無いじゃん?」

そう考える方、少し待ってください。

では逆に脳細胞の成長を促すものは何だと思いますか?

 

答えはコルチゾールなのです。

このホルモンは適切な濃度では海馬全体の記憶を促す作用があることが分かっており実際にニューロンにコルチゾールを少量与えるとニューロンの樹上突起の成長が観測されました。これはより多くのことを効率的に記憶できるようになることを意味します。

 

細胞は適度なストレスを与える事で成長することが知られており例えば1980年に行われた実験では微量の放射能を浴び続けている作業員約3万人とそうでない作業員3万人の向こう8年における死亡率を比較したところ被曝し続けているグループの方が死亡率が24%低かったのです。この研究での調査により適度なストレスは細胞を健康にすることが分かりこれは脳細胞も例外ではありません。強すぎるストレスは細胞を破壊しますが適度なストレスであれば傷ついた後、回復し更に強くなるのです。(細胞が健康になるとはミトコンドリア機能の向上などを指しますがテーマと関係ないので割愛します)

 

ここで冒頭の運動が意味をもちます。

運動することで心拍数が上昇し脳がノルアドレナリンやドーパミンを分泌します。しかしゲームとは違い高レベルなストレスが無いため命の危機ではないと認識した脳は扁桃体を動かしません。扁桃体が動かないとコルチゾールの分泌もされませんので海馬では適切な濃度のコルチゾールが維持されます。これで脳は運動がゲームに代わるドーパミン生成手段だと記憶し報酬中枢の暴走も起きません。しかも心拍数の上昇が必ずしも命に関わるものではないと学んだ脳はストレスを感じるベースラインを引き上げます。要はゲームをしてもイライラしづらくなり、ゲームが適度なストレスを感じるものに変化します。

 

運動による利点はそれだけではありません。

運動によりBDNF(脳由来神経栄養因子)と呼ばれるホルモンが分泌されます。これは脳への肥料みたいなものでニューロンの成長を助けます。、さらに心拍数の上昇(限界値の8割以上)により海馬の毛細血管が3割増加することも知られており新たな血管より栄養が送られニューロンが新しく誕生することで記憶力や認識能力が向上、複雑な思考を可能とします。

 

アルコール中毒者だったある被験者は運動後、嬉しそうにこうコメントしたそうです

「頭の中の霧が晴れたようだった」と。

 

ここまでの文献情報や実際の数値、名称などかなり割愛しましたが運動をすることで人間の脳は回復成長することが知られており、例えば数週間運動をすると記憶力が2割、普段ストレスを感じている人の場合は5割上昇することが分かっています。その他にも65歳以上の方に運動をしてもらうことでそうでない人に比べ認識能力が2割回復したという報告もあります。また1500人を対象に朝30分運動を行った後、その日1日の気分を調査した結果97%が良くなったと回答しています。多くの先行研究が運動の絶大な効果を主張しています。

 

運動の仕方はここではHIITをお勧めしておきます。

4分間で45分間のマラソンと同等のエネルギーを消費でき、室内でも簡単にできるものです。運動強度は心拍数が限界の8割以上(女性の場合は6割以上)にして休憩時間と合わせて30分するようにしてください

(限界心拍数の8割とは呼吸に必死で会話が途切れ途切れになる程度)。

 

ただ時間に関しては厳密に30分でなくとも10分でも効果はありますので毎日続けられる程度で大丈夫です。大事なことは運動を習慣化し常に脳を活性化させ続けることです。またなるべく朝に行うようにしてください。朝行うことで脳内でニューロンが活性化しその日の新しい知識を迎え入れやすくなります。

 

また「本田圭佑HIIT」で検索するとかなりキツイやり方が出てきますので紹介しておきます。

 

私の場合は筋肉と脳の回復期間を考え高強度の運動と中強度の運動を日ごとで交互に行い、連日で同じ筋肉を使わないようにしています。繰り返しますが大事なのは心拍数なのでダラダラすると効果が無くなる事は知っておいてください。

 

 

今回の話はこれで以上です。

脳のスペックを上げる話はこの先もしていく予定ですがそのうちの1つとして検討してみては如何でしょうか?運動は現状分かっている中で最も効果があるものだと私は感じています。

 

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ありがとうございました。