俺は口を尖らせて、潤くんの隣に避難した。
今ここで一番安心安全なのはここだけだよ。潤くんは俺のこと天使とか言わないもん。

「ほら、冷めないうちに食べなよ」

そう言って、熱々のピザを勧めてくれた。このピザ、潤くんが作ったんだって!
一口食べて更にびっくり。すっごい美味しいじゃん!

「え、料理とかするんだ?」
「最近、少しね。気分転換に」

気分転換?
聞けば、部屋にこもって勉強ばっかりしてるんだって。そういえば、元々色白な潤くんだけど、ちょっと青白く見える。

「そんなに大変なの、法学部って」
「うーん…、まぁ覚えること多いしね」
「そっかぁ」

潤くんは真面目でストイックだからね。コンを詰めがちなんだよな。
「にのは覚えるのが早いからうらやましい」って潤くんは言う。でも俺、興味がある事しか覚えられないもん。そう返したら笑ってた。

と、そこへまーくんがやって来て、俺の隣に座った。何も言わず、横目で様子を窺ってるみたいだったから、俺は無言で持っていたピザをまーくんの口に突っ込んだ、

「あふぃ!あ、ふまっ!」

美味い、のね。そうでしょうそうでしょう。
俺は、まるで自分の手柄のようにニマニマふんぞり返って、潤くんにどつかれた。
溶けた熱いチーズに舌を火傷しそうになりながらも、まーくんは俺を見てニコニコした。
まぁ、もういいよ、リボンの事は。
でも次やったら家出するからね。

「もう年末かぁ…お正月は家に帰るの?」

潤くんに聞かれてハッとする。
そうだ、あと一週間もすればお正月だ。
俺はなんにも考えていなかった。