「…で、そういう事を言う奴は信用ならないと思うわけだ」
「だってあの変態オヤジも俺のこと、『妖精』とか『天使』とか言ったんだよ!?」

俺の話を聞いた翔ちゃんが、慰めるかのように俺の頭をよしよし撫でた。

今日は12月25日、正真正銘クリスマス。
翔ちゃん家のクリスマスパーティに、まーくんとお呼ばれして上がり込んでいた。
そして、克実ちゃんとのいざこざを翔ちゃんに報告したところ。翔ちゃんも潤くんも大野さんも、かつて俺が変態オヤジに襲われたことを知っているから、つい話しちゃう。

「俺のどこ見たらそんなふうに思うのか、すっごい訳わかんない!気持ち悪ぅ」
「そうかなあ?俺には天使に見える時もあるけどね。いや、小悪魔かな?」
「えぇ、嘘でしょ、なにそれ」

ニコニコする翔ちゃんに俺はぶーたれる。
そんな俺を翔ちゃんは引き寄せて、「かーわいい」とぎゅうぎゅう抱きしめた。

「でも昨夜はきっと天使だったよね、雅紀の可愛い天使だもんな。大丈夫?寝てないんじゃない?辛かったら布団用意させるよ」

なんて小声で囁かれて、俺は返事もできずに、ただただ顔を真っ赤に爆発させた。
昨日はまーくんのお誕生日で、そんで、そんで、夜…。う、う、うわぁ…。

「ぎ」
「もぉ!翔ちゃん!」

速攻でまーくんが俺と翔ちゃんをひっぺがしに飛んできてくれた。
よよよかった。思い出して叫びそうになっちゃった。だって、だって、まーくんホントにリボンを用意してたんだよ!?信じらんない!
俺、プレゼントじゃないのにさあ、もーー!
服を脱がしてリボン…とか、恥ずかしくて死ぬかと思ったっての。このド助平め!
…あれ?もしかしてまーくんも変態?

「…もーーー!!」
「いってぇ!」

俺を抱えているまーくんの足を思い切り踏んずけてやった。まーくんは驚いて「なんでなんで?」と突っかかってくるから、もう一発頭を叩いておいた。

「仲良きことは美しきかな」

笑顔で俺たちを眺めている翔ちゃんの横で、ワインを飲んでいた大野さんが、もう酔ってるのかふにゃふにゃ声で言った。

「そーいや、俺もにののこと、ホタルの精として絵に描いたなぁ」

そーじゃん!
みんな、どーかしてんじゃないの。