情報屋のにの。
あの可愛い容姿で、裏社会にもさらりと入り込み、屈強な男どもとも怪しげなオヤジ達とも渡り合っていたらしい。
持ち前の愛嬌と度胸だけでやっていけるものなのか、心配は尽きなかった。ひょっとして色仕掛けも駆使してるのでは…と、疑った事もある。

「そんな訳ないじゃん」

笑顔で軽くあしらわれた。でも茶色の瞳に少しばかり「怒り」が含まれている気がしたから、その言葉を信じている。もちろん今もだ。

「にのはそんなこと、しない」
「ではやはり新機能をつけるのは、意味ないのではないですか?」

アンドロイドに言われて、雅紀は「あっ…」と声が出た。経験があった方がいいのか悪いのか、わからなくなる。

「まぁ、決めるのはニノさまです。博士はいい顔なさらないと思いますけど」
「…本郷博士、嫌がるかな」
「怒るでしょうね」
「……ううぅ、だろうね」


なにやら暗雲立ちこめる機能追加だったが、にのは迷うことなく予定通り実行したのだった。

智は裏用に売るため改造された「白雪」の下半身をどこからか入手してきて、にののボディに組み込んだらしい。
「新品手に入れんの、苦労したんだからな」と、がんばったアピールをするので、雅紀は智の大好物を差し入れした。

「えー、どこが変わったのかよくわかんなぁい」

そう言って、にのは智のがんばったアピールをあさっての方向に葬り去ったが、これがにの独特の愛情表現なのは皆んなわかっている。にのは照れ屋さんなのだ。

「胸でもつけるか。デッカイの」
「ヤダよ!別に俺、女になりたいわけじゃないもん」

智の冗談にぷんと口を尖らせたにのだったが、雅紀をチラ見して、すぐ下を向いた。

「まーくんはデッカイのが好きだったよね。俺、そうしたほうがいい?」

驚いた雅紀が即答する。

「んなわけないだろ!何言ってんの!?」
「だって…」
「俺はにのがいいの!にののままがいいの!」

にのは頬を赤くした。そう、耳だけでなく、頬も赤くなれるようにしてもらったのだ。
「あとは泣けるようにしてあげたいんだけど…」と潤は言うが、それは簡単にはいかないらしい。
にの本人的には、「泣く」よりお股にアレをつけて欲しいらしいが、智に「ただのお飾り」に過ぎないと言われ、しょんぼりわんこ化していたという。