「…なんだったんだ、ありゃあ」

智の言葉に皆、我に返る。
雅紀は背中に張りついていたにのを、また腕に抱えなおし、博士が出ていったドアにしかめっ面をしてみせた。それからにのの頭についていたリボンをそっと外しにかかる。

「ま、まぁ、博士も不自由してるんだろうしな。落ち着いたら考えてみてもいいかもな」

翔が遠慮がちに促した。彼は内心、博士はにのを心配してわざわざ送ってきたのではないかと想像していた。

「心配するな雅紀!いざとなりゃ、金稼いであいつにおNEWの白雪買ってやるゼ!!」

ドヤ顔で智がガッツポーズをする。
そして、「あいつにゃ世話になったしな!」と白い歯をキラリとさせた。
智が言うと、なんだかヤバい仕事を請け負ってきて、本当に実現できそうな気がするのが、またコワイところだ。


そのまま五人でおかえりパーティとなり、夕方過ぎまで賑やかに過ごした。

にのは皆に囲まれてニコニコしっぱなし。
用意されたチキンやピザ、ケーキは食べられないが(口にすると後の処理がかなり面倒)、智と潤のピザの取り合いや、口いっぱいほうばってリスになってる翔を眺めて、クスクス笑っている。
そんなにのを見て、雅紀は心の底からホッとした。

またこんな日が来るなんて。

気を抜くと泣けてくる。先程の本郷博士に対する態度を反省したくなるくらいだ。
あまりに見つめ過ぎたのか、にのが顔を上げ雅紀を見つめ返してきた。

「…なに、泣いてんの」

キュッと上がる口角。
いつものにの。うれしいのにわざとそんな言い方をする。照れ屋のにの。

「…泣いてねーし」

雅紀もわざと雑に返した。
にのの耳が赤くなるのを見て、胸がドキドキした。


おかえりパーティもお開きとなり、皆が帰り支度を始めたところで、智がちょいちょいと雅紀を部屋の隅に呼んだ。

「どしたの、リーダー?」

智はデコが当たりそうなほど顔を寄せて、雅紀に囁いた。

「今の白雪ボディにはついてないけどよ、そーゆー機能…つけるか?」
「そーゆー…?」
「だって、ラブラブなんだろ、おまえ達」

意味がわかって、雅紀の顔が赤く爆発する。
「べべべ別にっ、そんな、そそそんな」とアワアワした雅紀だが、智はいたって真面目だ。

「俺もよくわかんねぇんだけど、調べとくから、いつでも言ってくれ」

そう言って帰っていく智を、雅紀はボーゼンと見送った。