「なにをやってる!おまえは小学生か」

本郷の三白眼にちびっと怯みつつ、俺は負けじと言い返した。

「しかたないじゃんっ。神様にお願いしても、まーくん気に入られちゃって連れてかれたらどーすんの!?」
「は?何の話だ。とりあえず落ち着け」

落ち着けと言われても、苦しそうなまーくんの姿が目に焼きついて落ち着いてなどいられるかっての。
構わず腕を振り払おうとすると、

「…昔から思っていたが、やっぱりおまえはバカだったんだな」

なんて、めっちゃ失礼な事を言われた。
なんだよぉ。俺だって、昔から「超感じ悪いヤツ」って思ってたけどね!最近見直してきたところだったのにぃ。助けてくれたことを忘れそうなくらいムッとした。

「星でも神でも構わんが、そもそもアイツは命にかかわる状態じゃない。おまえは大袈裟すぎるんだ。大人しく病室の外で待ってろ」
「だって、だって、身体に穴開けてんだよ?コワイじゃん、ただ事じゃないじゃん!」
「溜まった空気を出してるだけだ」

そ、そ、そーなの?
俺は脱力してその場に座り込んだ。
あとから知ったんだけど、本当に重症な時は手術するんだって。本郷にそう言ったはずだと言われても、テンパってた俺はわかっちゃぁいなかった。

少しボーゼンとしていたら、ポケットにねじ込んだスマホが鳴り出した。菅田からだ。よく見れば何度も着信記録が残っていた。
全然気がつかなかった…。

「二宮くん、大丈夫?」

開口一番、菅田に聞かれた。
心配そうな、優しい声に涙が出そうになる。
だから顔を上げて空を見上げた。

「だいじょぶ。ごめんね」

俺は菅田に事情を話した。
チカッとまた星が流れたような気がした。