まーくんのお母さんに、本郷を紹介する。

「おばちゃん、コイツ院長先生の息子。同じ高校だったんだ、それで」
「…あら!見た事ある顔だと思ったら奏多くんじゃない!大きくなって」

話の途中でおばちゃんが声を上げて、本郷は無言で頭をこくりと下げた。
そうだった。幼稚園の頃、まーくんは本郷とケンカして大怪我したんだった。あの時もここに入院したんだっけ。
うわぁ、おばちゃんは本郷の事あんまりよく思ってないのかも。

「えっと俺、本郷に連絡してここに受け入れてもらったの。だからね、もう本郷は…」

なんで俺が必死に言い訳してるんだろ。
でも助けてくれたのはほんとなんだよ。

「ああ!だから院長先生が手術してくれるのね。ありがたいわ、奏多くんありがとうね」

おばちゃんにお礼を言われて、本郷はめずらしくうっすら赤くなってモゾモゾしている。
そんな本郷に構わず、「こんなに立派になって!あのちっちゃかった奏多くんがねえ!」とかなんとか言って、おばちゃんは本郷の腕をバンバン叩いた。

「…手術ってほどのことはしません。今、中で処置しているんで」

本郷の言葉にきょとんとする。

「へ?じゃあ穴開けなくていいの?」
「だから今、開けてるんだ」

え、え?ここで?
病室で身体に穴、開けてるってこと!?
俺はてっきり手術室に移動するんだろうと思っていたからびっくりした。

「なななんでここで?大丈夫なの?」
「局所麻酔するから大丈夫だ」
「や、そーゆー事じゃなくて」

どうやって穴を開けるのかはさっぱりわからないけど、まるで自分の胸元に穴が開けられてるみたいに感じてゾワゾワする。
まーくん。まーくん、痛いよね…。

俺は心底震え上がってしまった。