「……かずぅ、おはよぉ」

半分寝言みたいな挨拶。
俺はむぅ〜んと思いっきりその口にもう一度ちゅーをしてやった。寝起きのまーくんは「ん?んう??」と混乱してる模様。
伸びあがって布団から飛び出した裸の肩がひんやりして、またまーくんの腕の中にもそもそ戻ると、ガッツリ抱き込まれて今度は俺がちゅー攻めにあった。息、息できないって!
ようやく解放されたところで気がついた。

「えぇ、なにおまえだけちゃっかりぱんつ履いてんだよ!?」

別に裸ん坊なのが恥ずかしいわけじゃないけどさ。いつもならね。でもこーゆー状況で、俺だけってさあ。

「え?だってかず寝ちゃうから。ぐったりしてて重いし、布団敷いて寝かすだけでぱんつまで行き着かなかったっ」
「……誰のせいなの」
「ぐふふ、ぱんつくらいで拗ねないの!」
「そーゆーことじゃな…」
「それよかかず、こんなんなってるよ?どうせ脱ぐんだから同じだろ?大丈夫大丈夫!」

って、なに触ってんだよ!
ああぁ、だから男の身体ってわかりやす過ぎて困る!否定もできやしない。
大丈夫大丈夫じゃないんだよ、ほんと、二回重ねる時はろくなことがないんだから。

「だったら、おまえも脱げっ」

俺はまーくんのぱんつに手を突っ込んで反撃に出る。ひゃははと笑うまーくんを見て悟った。

……これじゃあ思うつぼじゃん。

案の定、まーくんペースでコトが進み、俺はますます声が枯れそうになってしまった。


朝からのイチャイチャで、俺はぐったり×2。
なのにあいつは涼しい顔で「ちょっと走ってこようかなっ」って出かけて行った。
嘘だろ、体力おばけかよ。
………俺、一緒に住んだりして大丈夫かな。死なないかな俺、とか早くも心配になる。
ぼーぜんと見送り、俺は二度寝に突入した。


その日はお互い二限目からだったから、ほんと助かった。
朝は昨日のカレーで簡単に済ませ、慌ただしく玄関を出る。そこでアパートの住人と鉢合わせ。この前見かけた中年のおっさんだ。
おっさんと目が合って、俺は無意識にまーくんの背中に隠れてちょこんと頭を下げた。

「おはよーございます!昨日引っ越してきました!よろしくお願いします!」

バカでかい声でまーくんがニコニコ挨拶した。