まーくんはおかわりしたカレーを食べながら、今日出かけた訳を話してくれた。
バイト先の学童で仲良くなった子ども達の中に、サッカークラブに通っている子がいて、そこはお父さん達がほぼボランティアでサッカーを教えているらしい。
今日はいつも来てくれるお父さん達が都合つかなくて、急遽助っ人を頼まれたんだって。せいさんみたいに学童まで迎えに来るような大甘なその子のお父さんとは顔見知りになってて、ひとり親家庭で苦労してるのも知っていたから断れなかったみたいだ。
「え、まーくんに?だってサッカーだよ?学校の授業くらいしかやったことないじゃん」
「休み時間にやったりはしてたよ。サッカー部の友達多かったからね」
……知ってるよ。教室の窓から見てたもん。
めっちゃカッコよかったけど、それは経験者とは言わないよね。
まーくんなら野球、もしくは部活でやってたバスケじゃない?それをいきなりサッカーってさぁ。
「上手いねえって言われたよ?センスあるって。子ども達も喜んでくれたしさ」
えぇー、そうなんだ?
まぁね、まーくんは運動神経バツグンだから、なんでもできちゃうよね。
「未経験のお父さんもいて、子どもと一緒に練習して上手くなったりしてるんだって。だから俺もやれると思うんだ」
「………は?やるって」
「俺、しばらく手伝うことになった!」
「はあぁぁぁ!?」
待て待て待て。
ただでさえ忙しくしてるのに、何増やしてんだよ。しかもボランティアなんだよな?
驚いた勢いで俺はちゃぶ台に膝をぶつけた。
まーくんは「ちゃんとバイト代出る」とか「しばらくの間だから」とかあれこれ言って、俺のぶつけた膝をヨシヨシした。
いやいや、ごまかせるか!
何事にも全力なまーくんだから、闇雲に突っ走りそうで心配になるんだよ。
「そんな顔しないの。ちゃんとかずとの時間もあるよ!それ大事だからっ」
ちちち違うし。別にそんなこと言ってない。
そう否定する俺の耳は真っ赤だったんだろう。まーくんはうれしそうに笑って、食べ終えた食器を鼻歌交じりで洗い出した。
それから二人でお風呂に入る。
まーくんがスケベな気分にならないかと、ちょっと警戒しながら入ったものの、そうはならなかった。狭い湯船に無理くり二人で浸かったらもうギッチギチ。お湯が無くなるんじゃないかってぐらいで、そんな余裕は全くナシ。のぼせやすい俺はさっさと洗って逃げ出した。
ほっとしたような、少し残念なような…。
べべべ別に期待してた訳じゃないけど!
まぁ、疲れてるよな〜ってバスタオルで身体を拭いていたら、そのまま後ろから抱きかかえられて、隣の部屋に拉致された。
えっ、ちょっと、ぱんつくらい履かせろや!