二人でプラプラ街を歩く。

キーホルダーは最初にテキトーに入ったお店で、二人お揃いの物を買った。星をあしらったごくシンプルなやつ。俺、物を選ぶ時あんまり迷わないタイプなんだよね。さっさと決めちゃう。今回、これでも悩んだほう。
真新しい鍵を慎重に取り付ける。
ようやく居場所が決まって、鍵もきっと喜んでるね。俺は満足して、そのキーホルダーをポケットに押し込んだ。

そのあと電器屋さんでたこ足配線用のコードを購入。だって絶対コンセント足りないもん。今どき学校もパソコン必須だし、ゲーム機も繋がなきゃだし。
それからようやくハンバーガー屋さんで少し遅めのお昼を食べた。
ハンバーガー片手に、今週の漫画雑誌の感想をダラダラ話していたら、まーくんのケータイが鳴り出した。

「はい。……えっ、そうなの?」

チラッと見えた、画面に表示された名前は俺の知らないものだった。バイト関係かな。少し困っているみたいな顔でやり取りしているまーくんを、俺はポテトを齧りながら見て見ぬふり。
電話を終えたまーくんは、俺を見て眉を下げた。

「ごめん、ちょっと用事ができちゃった」
「えっ…」

俺は続く言葉が飛びだす前になんとか飲み込んだ。マジで?とかなんで?とか今?とか、…ヤダとか。
心にどっと湧き出た気持ちが顔に出ないように、更にポテトを飲み込む。
だってホントに困った顔をしてたから。

「バイト?」
「そう。最近始めた学童関係」
「日曜日もやってんの、学童って」
「やってないんだけど…、スタッフさんからのSOSって感じ?」

意味がわからない。
まーくんは「後で詳しく説明する」と言って、慌てて残ってるハンバーガーとコーラを平らげた。

「ごめんね。できるだけ早く帰るから」

大きな手が俺の頭をぽんぽんする。
やっぱり少し顔に出てたかな。
「俺は夫の帰りを待つ奥さんかっ」とツッコんだら、まーくんはくしゃりと笑って、

「じゃあ、行ってらっしゃいのチューする?」

とか言うから、本日二度目の頭ひと叩きをお見舞いしておいた。