俺たちのことを話す。
今回突然降ってわいたまーくんとの同棲話のために話さなきゃならないかと思ったわけだけど。
本当は、話していいのか迷ってた。
知ってほしいような気持ちと知らないほうがいいんじゃないかって言う気持ちが、同じくらいの比率で存在している。
いや、どっちかって言ったら、知らせない方がみんな平和なのかなって気がしてる。
今どき結婚しない男なんてたくさんいるんだし、ずっと二人でルームシェアしててもよくない?

「俺、俺は…」

話す事で母さんたちが驚いたり、悲しんだりするのはやっぱりツラいし。どう考えたってショック受けるのは間違いないじゃん。そんなこと、わざわざする必要あるのかな。

「俺は…」
「あんたの気持ちだけじゃダメだよ。雅紀くんとよく話さないと」

姉ちゃんにピシリと言われる。
「うん…」と俯く俺の両肩に姉ちゃんがぽんっと手を置いた。

「まぁ、どっちにしたってわたしは二人を応援してるからさ!」

姉ちゃんの手が温かかった。
思わず鼻の奥がツンとしたけど、姉ちゃんは続けて「あと、お金のこともしっかり話さないとダメだからねっ」とちょっとコワイ顔をした。
そっか、そりゃそうだ。
やっぱり女って現実的なんだなぁ。
俺は神妙な顔で頷いた。


そんなこんなで迎えた週末。
アパートを見に行くと思うと、朝早くに目が覚めてしまった。
まだ母さんにルームシェアの話はしてない。
まーくんとも深い話はしていない。
まーくんがバイトで忙しいのもあるけど、なんとなく気が進まなくて。
まずは部屋を見てからだって…我ながら言い訳がましいんだけどさ。

ピコンとスマホが鳴る。
まーくんからのメール。まーくんも早起きしたみたい。やっぱりそわそわしてんのかな。
それだけでにやけてしまう俺。
ちょっとヤバいよなぁ。